水戸興信所 探偵よろず日記



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依頼者 妻 内山千恵(60)

対象者 夫 内山健三(63) 仮名

調査目的
夫の浮気調査

相談概要
夫は、大手家電メーカーを定年退職しぶらぶらしている。夫が、どのような女と付き合っているのか知りたい。結婚当初から女遊びが絶えず、今も、女から頻繁に電話がかかってくる。この女たちは何者なのか知りたい。家にいるとき、車の中、庭先、寝室、風呂、トイレ、何処にいるときも電話のコードレス子機を持ち歩き(注・携帯電話が普及していない当時の事)、「ヒソヒソ」とやさしい見たこともない口調で女と話をしている。深夜密かに、女子高校生や若いOLのアダルトビデオを見ている。

金銭は主人が管理して、私は生活費として毎月5万円だけしか貰ったことがない。とても足りないので、ずっと働きづめで生活を支えてきた。夫の給料、ボーナス、退職金はいくらもらったかとうとう教えてくれなかった。繰り返す浮気と度が過ぎたケチな夫に抗議して数回家出してビジネスホテルに泊まったが、子どもが可哀そうで戻らざるを得なかった。そのたびにほくそ笑む夫に憎悪が募った。ケチなくせに自分ではパチンコと女に1カ月30万~40万円使う。冷蔵庫のお菓子、アイスなどを私か子どもが食べると「誰が食べた!」と大騒ぎする。子どもも呆れて、冷蔵庫のものを食べるとき「これは親父のか、お袋のか?」と確認して食べる。

夫は、東北地方の貧農の出身で小さい時東京へ出て、職人の弟子をしてずいぶん苦労したらしい。大きくなったら「いろいろおいしいものを食べたい」願望を持っていた。にもかかわらず、私が食卓に色々なおかずをそろえると、「何でこんなに贅沢するんだ。誰のお金で買ってきたのだ!」と怒る。子どもを可愛がらなかった。私と子どもは、いつも不機嫌そうな夫の顔色をうかがいながらびくびく生活してきた。夫と子どもはもう何十年も口をきいたことがない。

夫を紹介されて結婚する時、どのような人か良くわからず躊躇していると叔母から、「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」(馬のよしあしは乗ってみなければわからないし、人の良し悪しは親しく付き合ってみなければわからない)、ことわざを聞いて決心したが、今思うととんでもない駄馬に乗ってしまった。息子と私はこの難破船のような家から脱出する覚悟ができている。

若いときはPTA役員、最近は団地の町内会長などをして、地区の功労者面している偽善者の本性を暴いて、いやな思い出ばかりが残るこの家を出る。去るにあたって積年の恨みを晴らす。

調査結果
対象者は、テレフォンクラブ(注・インターネットが普及する以前、男女出会いのツール)のBIP会員(援助交際などを求める女性が、テレフォンクラブにかけた電話が、男性会員の自宅に転送される仕組みになっている)。対象者は常時コードレス電話(子機)を使用するので、無線機で会話内容が傍受できた。

以下はその会話内容(女の声は省略)
1 今日は休みなの? あそぶ? 何時頃いいの 10時頃・・じゃあまたね T駅に待ってる?はい、わかった。郵便局まえの電話ボックスのところで お金?3万円でどお? じゃあ。

2 もしもし はい、こんにちは。今どこから電話しているの? いくつ? ぼく、ちかくにいるんだけど おじさん。おじさんではダメ? ダメ? 年はいくつ? 学生なの? どこ? 今? どこがいい Y町にきてくれる? お金? 5万円あげるよ・・あのさ 〇〇あるでしょう 〇〇で会おうか え? それならそこへ行くよ あなたの・・・病院?病院の駐車場がいい・・? はいわかった じゃあ3時に待ってます

電話傍受で女と会う場所が分かったので、その場所に急行して張り込み開始。対象者が待つ病院の駐車場の車に未成年の看護学生が乗り、車は郊外のラブホテルに入った。3時間後ホテルを出た車は、病院の近くにある看護学生寮に女性を送った。

探偵の眼
ある日、「地区の一住民」の差出人名で、「内山健三の正体」というビラが撒かれた。数日間にわたって録音した、健三と女たちの「援助交際の交渉」テープも同封されていました。奥さんはその騒動に乗じて弁護士さんに依頼して離婚を成立させました。慰謝料、財産分与など想定以上に獲得しました。岐路に立った依頼者は積年の恨みを晴らしました。

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