協議離婚の場合、夫婦ともに離婚の意思が確定的になり、その実行段階になると市役所住民課から「離婚届」を入手して離婚届記載で一番重要な部分は未成年の子がいる場合、その子の親権者を父母の一方にすること、妻が旧姓に戻るか離婚時の姓を継続するかくらいで、あとは保証人2名の署名と押印して窓口に提出して、職員から記載内容の点検を受けて不備がなければそれで終了。
後は、妻の持参した嫁入り道具一式をトラックに積み込んで引き上げることがつい先日までの一般的な離婚の手順でした。とこが、離婚した妻が荷物を片付けて一段落した後、友達や、両親、或いは本人が一つ一つ問題点に気が付き始めるのでした。
1.離婚の原因は夫の浮気だったのに夫から慰謝料を
もらえるのかしら。
2.この子供の養育費は私が全部持たなければいけないのかしら。
3.婚姻中に私も共働きしていたけどあの時のお金は
どうなるのかしら。
4.夫の浮気相手から慰謝料を取りたい。
5.子どもが20歳になるまで養育費を取りたい。
6.別れた夫が子どもに会いたいと言ってきたらどうしょう・・・
など、離婚することのみにとらわれて肝心な母子家庭のスタートから将来像までを考えて書面に記録することまでは深く考えていなかった、というよりその心配事をどのように書面に書くのかほどんとのひとたちがわからなかった。ということが実情だったと思います。
そして、近年(30年前位から)遅まきながら上記の項目を紙片に書いて元夫に署名・押印をしてもらうようになった・・・しかし、夫はそのような約束事を実行するような責任感はなく、紙片が空しく机の中で忘れられた存在になっていきました。
「成田離婚」という言葉がはやりだしたころから、書店には離婚本が氾濫し、数分間に1組の夫婦が離婚し、市役所に婚姻届を提出すする4組の中で1組の配偶者の夫又は妻が再婚者であるという「離婚するのは女性の権利」
であると、気恥ずかしさもなく「ニコニコ離婚講座」が多くの女性たちの支持を受ける離婚時代になりました。
そして、「離婚届」の他に、協議離婚の場合は「離婚協議書」を取り交わす知識もえるような時代になりました。ただし、離婚協議書の存在の重要性は認識しても問題はその協議書に記載されている中味と、だれがどこで作成したか、が問題なのです。
離婚前に、離婚当事者が作成しても、私たち行政書士が作成しても、弁護士が弁護士事務所で作成してもそれは構いませんが、私は、そのようなものは無いよりも有ったほうが、後々(相手方が協議書記載の内容を実行しなくなったときに)、「過去にこのような約束事があった」と、裁判の時立証資料になるだけの存在でしかありません。つまり、単なる「紙っぺら」にすぎないのです。離婚協議書を作成しても、相手がその内容を履行しなかった場合は、あなたの費用で弁護士に依頼して裁判を起こして確定しなければ何も取れません。
ではなぜ、離婚当事者、行政書士、裁判外で弁護士(この三者を民間人
と仮称します。)らが作成したものと、公証役場で公証人が作成した離婚協議書が(記載されている内容が同一であっても)効力が違うのでしょうか。答えは一つ、公証人作成の離婚協議書の末尾に「第○○条 甲(離婚する夫)は本証書記載の金銭債務を履行しない時は直ちに強制執行に服する旨認諾した。」これを強制執行認諾条項と言います。この文言を上記の民間人が書いても何らの効力もありません。
この強制執行認諾条項を入れた離婚協議書を公証役場で公証人が作成することによって、別れた夫が、離婚協議書の記載内容、例えば子の養育費の支払い。財産分与の支払い。慰謝料の支払いを無視した場合、甲の銀行預金や給料の2分の1等を差し押さえることができるのです。
つまり、公証人が作成した「離婚に関する公正証書」は、裁判を経ないで既に「勝訴判決」を得たと同じ意味を持つのです。
では、離婚協議書作成にあたって、記載してはならない(法律的に認められない)無効な項目を掲げます。
1.養育費請求権の放棄条項
2.養育費を一時金数百万円で放棄する。
3.養育費を、親権・面接交渉権と交換条件で放棄すること。
例えば、養育費はいらないから子に合わせない
4.親権者変更を申立てない合意。
5.面接交渉権放棄の合意。
6.離婚後、元夫の姓を称しない合意。
離婚協議書+離婚給付公正証書
(離婚協議書と内容は同一です)
作成希望者は事前に下記の書類等を準備してください。
1.夫婦の戸籍謄本 1通
2.住民票謄本 1通
3.印鑑証明書・夫婦 各 1通
不動産所有の場合
4.不動産登記簿謄本 1通
5.不動産評価証明書又は、固定資産税
納付通知書(離婚協議書作成する当年度の分)
6.財産分与に該当する預貯金や株式、債券などが
ある場合は、それらが明確にわかる(写し)
※ 子の親権者・監護権者などはあらかじめ決めておいてください。
※ 年金分割について
なお、年金分割についても「年金分割の合意に関する契約公正証書」を作成します。これは「離婚給付公正証書」とは個別に作成しますのでそれを作成するための書類も必要になります。
1.地方公務員関係の夫と離婚する場合は、「○○県市町村職員共済組合」にたいして、離婚する夫の「離婚特例に係る情報提供請求書」を請求して、「年金分割のための情報通知書」の交付を受けなければなりません。
2.情報提供請求書の申請に係る添付書類の主なものは、戸籍謄本、離婚した不との請求は戸籍抄本。夫、又は離婚した元夫「組合員証の写し」又は「年金証書の写し」などですが詳細については共済組合にお問い合わせください。
3.大企業に勤務している夫の場合は、その企業の組合に連絡を取って請求方法を確認してください。
4.一般の中小企業勤務の厚生年金加入の夫の場合は、その会社の属する地元の「社会保険事務所」に離婚による「年金分割情報」請求についてお問い合わせ下さい。
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