水戸興信所に寄せられる離婚と浮気のQ&Aを紹介しています。
[相談20]
暴力・虐待行為と離婚
夫は、私が夫に対して自分の考えを述べたり、言い返したりすると、すぐに拳を振り上げて私に殴りかからんばかりにするので、私は、いつ夫に殴られるかビクビクして、夫に言いたい事も言えません。私は、夫から実際に殴られたことはないのですが、このような場合でも離婚は認められますか?
[答え20]
夫の妻に対する、同居に耐え難い暴行、虐待が原因で夫婦関係が破綻に至れば、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し離婚することができます。暴力には、精神的な暴力も含まれますので、質問のような場合でも離婚が認められる可能性はあります。
平成13年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法)が施行され、配偶者からの暴力が許されないことが明確にされました。平成16年の法改正では、「配偶者からの身体に対する暴力」のみならず、これに準ずる「心身に有害な影響を及ぼす言動」をも含まれることになり、精神的暴力も保護の対象になることが明確になりました。
●「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるとされた判例
A 身体的暴力
1 夫が長女に対して、水を飲むと、夜中にトイレに起きてうるさいからといって、水分の摂取を禁ずるなど、口うるさく指示し思うようにならないと、妻や長女に対して殴ったり蹴ったりするなどの暴力を振るった事例。
2 妻が缶コーヒーで夫の額部を殴打したのに対し、夫が妻の顔面を手拳で殴打し、妻の歯2本が折れたなど、夫が妻に対して、相当の程度・回数の暴行・虐待に及んだ事例。
3 婚姻関係の破綻の原因が、夫が身体障害者という自らの苦しみを妻に対する暴力や妻の目の前で物にたいする破壊などでしか解消する道を見出すことができず、その行為の妻に与える影響等に対する推察ができなかったことにあるとされた事例。
4 夫が妻に対して、髪をつかんで振り回す、電話機を投げつける、包丁を持ち出し「殺してやる」などと脅かした事例。
5 妻が夫から、顔面を殴られたり、殴られて茶箪笥にぶつかり鼓膜を破ったり、食器の入った食器籠を戸に投げつけたりした事例。
B 精神的暴力
1 情緒的虐待 妻を冷遇や無視を続け、家業の経営やその経済状態について妻に何ら相談しないばかりか、日常の夫婦としての意思疎通、会話を求める妻の要請を受け付けず、その結果明確な理由もわからないまま先代からの家業を倒産に至らせた事例。
2 経済的虐待 夫が妻の両親などに対して不信感を抱いたことが遠い原因となり、ついには、夫が妻の不適切な言辞をなじって生活費を渡さなくなった事例。
3 脅し・威嚇 夫が妻に対して、「岡山弁は汚いので標準語で話せ」「食事は俺が帰るまで待っていろ」などと命令し、「前の女には殴ったり蹴ったりしたけど、お前には手を出さないでおこうと思う」などといって、妻を強制的に支配下においていた事例。
C 性的暴力
1 夫が妻に過度の性交渉要求をし、これに応じないと夫は怒って、その都度妻に暴力を加えた事例。
2 夜間に仕事に従事する夫が日中でも妻にしばしば性交渉を要求し、これを断る妻を無理やり押さえつけ、殴る蹴るなどの暴行をふるい性交渉を行うことがある事例。