水戸興信所に寄せられる離婚と浮気のQ&Aを紹介しています。
[相談23]
財産分与の対象
離婚に当たって財産分与を求めたいのですが、どのような財産が分与の対象となるのでしょうか。私は夫の経営する会社を長期間無給で手伝ってきたのですが、それでも、会社名義の財産は、分与額を算定する際に一切考慮されないのでしょうか。その会社に従業員は夫と私しかおりません。
[答え23]
離婚に伴う財産分与には清算型財産分与、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与という三つの性格があります。清算型財産分与についていえば、夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産を分けるので、夫婦の一方が婚姻前から所有していた財産や、相続などによって単独名義で取得した財産は分与の対象になりません。
● 分与の対象となる財産の種類
現金・預貯金・不動産・車両・有価証券
退職金も、既に支払われている場合には財産分与の対象となると解されており、これを認めた裁判例も多数あります。問題は、離婚時には未だ退職金が支給されていない場合ですが、最近では、熟年離婚の増加という世相を反映してか、将来支払われる退職金も財産分与の対象になるとする傾向にあります。
● 住宅ローンが残っている不動産と財産分与
土地・建物・マンションなどの不動産について住宅ローンが残っていても財産分与の対象として清算しなければなりません。
不動産の時価がローン残高を上回る場合は、当該不動産を売却して得た代金からローンを完済した残額を分け合う、当該不動産の査定価格からローン残高を控除した金額を基に現金で清算するなどの方法がとられます。
不動産の時価がローン残高を下回る場合でも、当事者間の協議により、一方が住宅ローンを支払い続け、他方が当該不動産に居住し続けるといった方法があります。
扶養的財産分与や慰謝料的財産分与について言えば、相手(妻)に経済的満足を与えれば扶養や慰謝料支払いの目的を達するわけですから、どの財産が分与の対象とするかを問題にする必要はありません。扶養的財産分与として、夫名義の土地に使用借権、建物に賃借権の設定を命じた裁判例もあります。
夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定されます。
なお、たとえば一方の単独名義になっていても、夫婦が協力して形成した財産という実質があれば、実質的共有財産として分与の対象となります。