watanabe
「不倫の恋で苦しむ男たち」「不倫の恋で苦しむ女たち」亀山早苗 著
「不倫のリーガルレッスン」弁護士 日野いつみ 著
「不倫のルール」「別れのルール」家田荘子 著
このようなハウツー本が売れています。男も女も不倫願望が全くない人はいないのかも知れません。たしかに不倫の恋ほど甘美な夢心地はないのでしょう。
しかし、不倫願望のあるあなた、不倫まっただ中のあなた、不倫の愛欲から引き返せないでいるあなたは、「日野OL不倫放火殺人事件」のような悪夢になってはいけません。この事件は不倫の恋の本質が凝縮されており、「あなたの分身がこの記録の中に」いるかもしれない事件なのです。
事件の概要
1993年12月14日、東京都日野市に在住する大川宏(仮名・34)は、出社するために妻が運転する自動車で鉄道の最寄り駅に向かった。宏の日常の生活習慣と出社するための通勤経路・時間帯を熟知している宏の職場の部下で宏の元不倫相手だった北村幸恵(当時27歳)は、大川夫妻の不在時間帯に幸恵が保有していた宏の自宅の玄関ドアの合鍵を使用して宏の自宅に侵入し、宏の自宅室内と就寝中だった宏の長女(当時6歳)、長男(当時1歳)にガソリンを散布して放火し、幼児2名を殺害し宏の自宅を全焼させた。(※事実では、「就寝中だった長女と長男にガソリンを散布して放火し」の記事は誤りで、「室内に放火したため巻き添えで幼児2名が死亡した」が正式な記録)。
宏と元交際相手幸恵との不倫関係は、宏の妻に関係が発覚した後に終了していた。しかし、元不倫交際相手幸恵の宏に対する恋愛感情や、幸恵と大川宏夫妻との間に発生した紛争などから、警察は幸恵は宏に対して怨恨感情を持っていたと推測。幸恵が真犯人の可能性が高い被疑者と推定していた。しかし、警察は公判を維持し有罪判決を獲得するために必要で十分な証拠を集積できず、幸恵の逮捕に踏み切れない状況だった。が、幸恵は父親に説得され、警察の捜査が身辺に迫ったことを察知して、翌年の1994年2月6日午後、警察に出頭。事件発生から出頭前日まで、幸恵はいつも通り出勤していた。
被疑者の逮捕後の報道
被疑者北村幸恵と、幸恵の元上司である大川宏、二人の出会いと放火殺人に至るまでの経緯が明らかになると、多くのメディアは北村幸恵を騙した大川宏への非難と、「宏の妻は、幸恵が精神的に耐えられなくなって暴発するまで追い込んだ。よって宏の妻には根本的な原因と責任があり、北村幸恵は被害者である」と評価するようになり、幸恵に対して同情的な報道を繰り返した。
また、「ガソリンを散布して放火し、子供二人を焼殺し、自宅や周辺家屋も延焼させたこと」に関してメディア北村幸恵を非難せず、「成人の男女がお互いの身上を認識して不倫関係になり、結果として家庭の平穏を侵害したこと」など、メディアは責任を十分に問うことなく、幸恵に共感・同情した報道・評論を繰り返した。
加害者北村幸恵の経歴・性格・考え方
幸恵は東京都23区内で出生・生育した。幸恵は几帳面、何事に対しても真摯に取り組む、他人を安易に信用する、願望を現実と思い込む、自己と他者の性格・感受性・考え方を客観的に認識・考察する能力が低い、物事に対する執着心が強い、決断に時間がかかる優柔不断性、開放的、社交的などの性格・感受性・考え方の傾向を持っていた。
小学校から大学まで学業優秀であり、大学を卒業して就職するまで特定の男性と恋愛関係になった経験は無く、男性と性関係を持った経験も無かった。幸恵は就職後に出会った大川宏に対して恋愛感情を持ち、宏に妻子がいることを知りながら不倫関係になった。
犯行の経緯・動機
北村幸恵は大学卒業後、東京都港区に本社のある電機メーカーに就職し、府中市にある事業所のシステム開発部門に配属された。大川宏は幸恵の配属先の直属の上司であり、配属されてから間もなくお互いに恋愛感情を持つようになった。宏は妻子がおり、幸恵は独身だったが、お互いの家族状況を認識しながら不倫関係になった。1991年4月、宏の妻が流産したのを機にますます親密になり、二人だけで酒を飲み歩くようになる。同年8月6日、宏は幸恵を自宅に招き入れ性関係を持った。
不倫関係・性関係が継続する状況で、1992年、宏の妻が妊娠。妻の妊娠を知った幸恵は、避妊しながら肉体関係を持つ自分に比べて、避妊を選ぶことなく妊娠できる妻に激しく嫉妬して、2回ほど自ら避妊を拒否する。やがて同年4月に幸恵の妊娠発覚。宏は「幸恵に対していずれ妻とは離婚して幸恵と結婚するつもりだ」と虚偽の意思を伝え、「今はまだ妻の離婚が成立していないので中絶するように」と幸恵に要求。幸恵はこの要求を受け入れて中絶した。手術後、幸恵は宏にもう二度と中絶手術を受けたくないから、今後、必ず避妊するよう要求。宏は「わかった」と言うものの、実際は避妊を拒否することも度々あった。
宏の妻が臨月に入ると、宏の妻は出産のために自分の両親宅に滞在。その間、幸恵と宏は宏の自宅で同棲生活をしていた。宏は妻が第二子を出産した後も、幸恵に対して「来年になったら妻と離婚して幸恵と結婚する」言ったが実行することはなかった。
その後、幸恵は2回目の妊娠。しかし宏から再度の中絶を要求される前に自らの意思で中絶を決意。(後年弁護士に送った手紙によると、2回目の中絶理由は、宏と再婚して2人の子供を引き取るためでもあったと告白している)
1993年5月18日、不倫関係が宏の妻に発覚。宏の妻は宏を激しく非難し宏に対して、「北村幸恵との関係を選択して妻に慰謝料を支払って離婚するか、それとも、幸恵との関係を解消して妻との夫婦関係の継続するか」と、どちらかの選択を要求した。宏は幸恵との不倫関係を解消し、夫婦関係を修復して継続すると表明した。宏は妻の要求にしたがって幸恵に不倫関係の解消を電話で伝えた。
この電話の際、宏の妻は幸恵に対し、不倫関係に及んだことを責め、自分たち夫婦と家庭の平穏を幸恵に侵害されたことを厳しく非難した。これを受けて幸恵は謝罪したが、電話による厳しい抗議はその後も続き、幸恵は精神的に不安定な状態になっていた。宏の妻から「私は子を2人生んで育てているが、幸恵は2回妊娠して2回とも胎内から掻き出す女だ」と嘲笑されたことがきっかけで幸恵は中絶したことに対する自責の感情が宏家族に対する憎悪と報復感情に支配されて、宏夫婦の自宅に放火した結果子供2人が焼死した。
裁判の経過・結果
裁判において幸恵の弁護人は、この事件は、犯罪的・暴力的・破壊的な性格・感受性・考え方の傾向が全く無かった幸恵が、幸恵を性欲の対象としてもてあそぶことしか考えない宏に、虚言により騙されて心と体を傷つけられたことが原因だと主張し、被告人は犯行当時は心神耗弱だったと主張し、情状酌量による減刑を主張した。
地裁・高裁・最高裁のいずれも、大川宏が幸恵を性欲の発散の対象としか考えず、幸恵の尊厳を侵害し、幸恵に対する思いやりが無く、幸恵を虚言で騙し、幸恵の心と体をもてあそび、結果として幸恵の心と体を傷つけたことを認定し、宏を人道・道徳・倫理の観点から非難はしたが、法的な観点から宏の責任を問うことはなく、この事件の犯行の根本的な原因・責任は、幸恵の性格・感受性・考え方の短所・欠点が現象形態として作用したと認識する検察官の主張を認定し、幸恵は宏の虚言による騙し。宏により心と体をもてあそばれ、心と体を傷つけられた被害者で犯行時は心神耗弱状態だったから、減刑が適切であるという弁護人の主張は認定されなかった。
1996年1月19日 東京地裁 北村幸恵Aに無期懲役の判決
1997年10月2日 東京高裁 地裁の判決を維持し被告人・弁護人の控訴を棄却
2001年7月17日 最高裁は地裁の判決を維持し、被告人・弁護人の上告を棄却し、幸恵の無期懲役刑が確定した。
大川宏夫妻が子供2人を殺害されたことに関して、幸恵に損害賠償を求めた裁判では、幸恵の両親が大川夫妻に1500万円を支払ったことに加えて、幸恵が宏夫妻に3000万円の賠償金を支払うことで和解が成立した。
※ 事件の概要 被疑者の逮捕後の報道 加害者北村幸恵の経歴・性格・考え方 犯行の経緯・動機 裁判の経過・結果 の見出しと記事すべてはフリー百科事典「ウィキペディア」のものを転記しました。
DV夫と離婚するため、弁護士に提出する「生活の記」
妻 長野知美 (38) 夫 長野 剛 (40)公務員 仮名
1 結婚生活における夫の暴力
1 私の実家に家族で遊びに行った帰り、「新田町へ回って」と、少し遠回りを夫に頼んだところ、夫は突然酒の入った瓶を取り出して私の腰部を思い切り殴りつけた。私は気絶し、しばらくして意識が戻ったが今でも後遺症に悩んでいる。
2 ある夜、突然怒り出し、寝ている私の上布団を取り払い私の体に肘を突き立てて体重をかける、喉元に肘を突き立てる、陰毛をむしり取る、など一つの行為に40分も時間をかけ、11時頃から翌朝4時ころまで暴行を受けた。この暴行は毎夜のように続き、逃げ出しても必ず探し出されて何倍も痛めつけられるのが目に見えるので、毎日おびえながら帰宅した。
一週間繰り返し暴行を受け、全身が痛んで立てなくなった。このままでは殺される、と心底怖くなり、「病院に連れて行って」というと暴行は止んだが、外出できないように裸にされ下着は全部ハサミでずたずたに切られた。病院には行けず、全身にシップして一週間寝ていた。
3 町内を堂々と女連れで遊びまわり、そのことを知り合いの奥さんに指摘されるのが苦痛なので、夫に、「人に言われるのが嫌だからよその町へ行って遊んで」、というと、私の髪の毛をつかんで頭からビール瓶が空になるまでかけられて殴る蹴るの激しい暴行を受けた。
子供がタオルを持ってきて私の体や畳を拭いていると、夫は、革ベルトの金具の部分で子供の頭をめがけて思いきり振り落した。とっさに子供をかばった私の背中に当たり、直径10センチのどす黒いアザになった。子供の頭に当たったら死んでいたかもしれない。子供は主人に聞こえるような大声で「僕があいつを殺さないとお母さんが殺されてしまう」と叫んだ。
4 物を投げつける。足蹴り。拳と平手で殴る。髪を引っ張る。引きずり回す。腕をねじる。突き飛ばす。
生活費を入れない。大声で怒鳴る。実家や友達と会うことを制限する。殴るそぶり、物を投げるそぶりをする。人の前でバカにする。子供に危害を加えると脅す。物にあたる。などの暴力暴言は日常茶飯事で、今私と子どもが無事でいられるのが不思議だ。飼い犬も暴力の対象になり、ことある度に木刀やカマで殴られた傷が絶えずいつも怯えて震えていた。
5 夫が、サラ金・クレジットから1500万円の借金をしていることが発覚した。心配した夫の上司と夫の兄が来て「何に使ったのか」質問されると、「私は一円も使っていない。妻と子供が使った」と答えた。私は、この一言を聞いてやっと家を出る決心がついた。
6 連日、賭け事、飲酒と女遊びで3時4時の朝帰り。生活費もボーナスも入れず、私のパートの給料で生活をしてきた。にもかかわらずサラ金の借金を転嫁するため、上司と兄の前で私を罵りながら出鱈目な話を繰り広げた。
2 別居中の出来事
1 私と子供はとりあえず一人暮らしをしている姉のアパートに同居した。ある夜、夫がアパートに押しかけてきたので鍵をかけると、ドアを壊して侵入しょうとして大きなドライバーを隙間にこじ入れて、「火をつけてやる!」と罵声を上げながら、メリメリ音を出してドアを破り始めた。夜8時から11時までの騒動に、1階住む家族が出てきて立ち会ってくれ、夫と姉が話を始めた。この間、私が夫の兄を電話で呼んだことを知った途端、夫は飛ぶようにして逃げ帰った。
2 翌日、夫はアパートを管理している不動産屋さんに、「騒ぎの原因は、妻が家の鍵や車の鍵を持ち去ったから」と、謝罪もせず弁解した。事情を知っている業者が怒って、「お前頭がおかしいんじゃないか?器物破損で警察に告訴する」というと、青くなってドアの破損代を弁償する誓約書を書いた。
3 夫は、自治会長や近所の人に、「妻と子供が新興宗教に入り家を処分し財産や家財道具一切を持って逃げた」と言いふらした。別居するとき夫の兄が立ち会って所帯道具を分けた。別居中でも毎日嫌がらせに来るにもかかわらず、近所の人には「逃げた妻子の居場所が分からない」と泣きついている。
家庭を破滅させた自覚など全く感じられない。このような外面と内面の全く違う卑怯な人間とは一刻も早く離婚したい。
探偵の眼
妻・長野知美さんは、結婚して間もなく夫の浮気調査に来た人です。その時の結果は女性を日替わり定食のように取り換えて遊びまくっていました。家を新築して子供も生まれたので、夫の女遊びが分かっても離婚に踏み切れなかったそうです。離婚を決意するまで10年近くかかってしまった、と悔しそうでしたが、「夫と別れる目安が付いたので未来がひらけた」と、明るく言った表情が印象的でした。この「生活の記」は依頼者の聞き取りをまとめたものです。
下記の表はアメリカの精神科医トーマス・ホームズが、日常生活で経験的にストレスをもたらすと考えられる出来事とその度合いを発表したものです。43項目からなりそれらの項目は難度により0~100生活変化単位に採点されます。
合計を計算し、1年間で300点を超える場合は、ストレスに関する病気にかかる危険は大きく、150点であれば生活上の変化は少なく、ストレスに負ける危険は小さいとされています。
項目 採点 項目 採点
配偶者の死 100 離婚 73
夫婦の別居 65 留置場などへの拘置 63
近親者の死 63 自分のけが・病気 53
結婚 50 失業 47
夫婦仲の回復 45 退職・引退 45
家族の病気 44 妊娠 40
性生活のトラブル 39 家族がふえる 39
再就職 39 家計状況の変化 38
親友の死 37 転勤・配置転換 36
配偶者との意見の不一致 35 200万以上の借金 31
借金返済できず 30 昇格または降格 29
子供の自立 29 親戚・姑などとのトラブル29
個人的な成功 28 妻の就職・退職 26
進学または卒業 26 生活環境変化・新築改築 25
生活習慣が変わる 24 職場上司とのトラブル 23
勤務時間・労働条件変化 20 住居の変化・引っ越し 20
学校生活の変化 20 余暇の過ごし方の変化 19
宗教の変化 19 社交・交際の場が変わる 18
200万円以下の借金 17 睡眠環境の変化 16
家族団らんの変化 15 食習慣の変化 15
長期休暇 13 クリスマス・新年 12
些細な法律違反 11
熱烈な恋愛の末の結婚・・・結婚したとたんに夫(妻)が変わってしまった、という話はよく聞きます。最近、離婚うつという心の病があるのはよく知られたところで、70点はわかりますが,結婚生活のストレスが50点なのは要注意です。結婚生活を始めるにあたっては、いろいろな環境の変化がともなうのであてはまる項目はいくつも出てきますね。特に女性の場合は、たとえば「生活慣習の変化」「引っ越し」「姑などとのトラブル」「性生活のトラブル」「妊娠」「退職」「睡眠環境の変化」など、結婚を機に退職して不慣れな家事をすることになり、退職しないとすると一人前の仕事をして、二人前の家事をすることになりますね。肉体的にも精神的にも結婚はストレスがたまるのです。
結婚は、他人との生活です。幸せなはずの新婚生活は、一緒に暮らすことで束縛や不自由さを感じる夫人もずいぶん多いのです。
「夫の暴力」「異性関係」「飲酒癖の悪さ」「精神的虐待」「浪費癖」「異常性格」「生活費を渡さない」「過度の宗教活動」などは、結婚して初めて分かることが多いので、結婚イコール「クライシス」(危機、重大局面)と言われるくらい結婚は文字通り、人生で迎える分岐点なのかもしれません。
実例があります。
青年医師と結婚して、皆から祝福され幸せの絶頂であるはずの妻が新婚一カ月で、実家に逃げ帰ってきて、その若妻から生活用品の引き取りを依頼されたことがありました。生活用品を取に行くと、青年医師から妻あてに渡すよう分厚い封書三通を預かり、その手紙を若妻に読ませてもらいました。
青年医師は、妻の新婚旅行中の態度、例えば荷物のカートをボーイに運ばせたとか、リゾートホテルでのリッチな立ち振る舞いは僕の感性になじまない。浴室に一時間以上も入っていた。髪の毛にカールを巻く時間が一時間かかった。化粧を落としてベットに入った心境が理解できないなどと批判し、一カ月の新婚生活の食卓、買い物、入浴の時間の長さ、就寝時の姿、日常生活全般、衣裳、装飾品、態度、言葉使いなど身にまとうもの、家庭生活言動のすべてにわたって、清貧に生きてきた自分とはかけ離れている。もっと質素、倹約に努力してほしい。一カ月の新婚生活で常に沈んだ、疲れたようすが見受けられたが、もっと快活にくらしてほしい。
妻と、実家の家風の相違と批判を便箋50枚にわたって書き綴られていた。妻は、結婚後に手足に発疹が現れたため、実家で少し休養するつもりだったが、この手紙を読んで「この人とはとうてい暮らしていけない」と離婚を決意しました。
トーマス・ホームズのストレス・スコアで計算すると、この新婚妻のストレス・スコアが病気誘発ラインに達しています。
夫たちは結婚すると、「実家・両親、兄弟・姉妹、親戚、学歴、会社、職業、同僚、友達、経歴、性格、嗜好、容姿」等の自分自慢を縷縷展開します。
婦人たちは、この夫の「自分自慢と家風、性格の押し付け」が耐えられないくらい嫌だった。と告白します。反面、妻の人格、親、姉妹、家風、友達などは無視か軽視されています。これでは妻の結婚生活のストレスは高まる一方ですね。性格の不一致が原因で離婚に至る夫婦は見事なほど類似点が多いのです。