水戸興信所 探偵よろず日記

はい!こちらよろず相談室

依頼者 内田幸一(32)会社員 独身
対象者 女ストーカー

調査目的 ストーカー対策・女の身元調べ

相談概要
携帯電話の出会い系で知り合った(自称)青木加奈子と性的関係を持って交際1カ月。彼女は、感情の起伏が激しく情緒不安定というか、精神的異常を感じた。普通の人間ではないと思い、理由も言わず逃げるように一方的な別れ方をした。間もなく、昼夜の別なく自宅と会社に無言電話が入るようになった。青木と交際中に、聞かれるまま、自宅、会社の電話を教えたことがあるので別れた青木の行為だと直感した。

特に、会社へいたずら電話が頻繁に入り、事務員に僕の名前を言って呼び出して出ると切れている。中傷電話がかかってくる。会社に事情を説明して対策を検討していただいて、僕の呼び出しについては、「業務中」を理由に呼出しに応じないことにしてくれた。無視すると会社の門付近を歩き回るようになった。避けるように裏門から出退勤を続けると、ある日電車の改札口に立っていた。あわててホームに戻り次の電車で一駅先で降りてバスで会社まで来た。不気味さを感じるあの女性とは怖くて話し合いはできない。

このまま会社にいたずら電話が続けば私は解雇される。また、自宅付近の住民に僕を誹謗中傷する投書があり、両親もノイローゼになってしまった。僕もおびえ続けてうつになった。このような状態が3カ月続いている。
警察に相談すると、「電話がかかってきた時間。回数(着信記録)をメモしておくように。できれば、会話録音をとるように」とか、「手紙、ビラなどを保存しておくように」など指導してくれたが、「電話の逆探知」などは、よほどの犯罪でなければだめだと言われた。警察は今のところあてにすることはできない。
僕として、女の住所を突き止めて対策を立てたい。何かいい方法を教えてほしい。

調査結果
女の携帯電話番号から、所有者・住所氏名の情報を取得した(2003年5月個人情報保護に関する法律制定以前は、闇・データバンク屋に問い合わせると、個人の情報、例えば銀行口座・残高、勤務先、健康保険証番号、家庭の固定電話などほとんどなんでも個人情報が有料で入手できた)。女の実家の固定電話も判明した。固定電話の住所から、女の住民票、戸籍謄本を入手して家族構成も分かった。女の自宅から行動調査をした結果、昼は、「便利屋」でアルバイトをしていた。夜は週3日風俗店でバイトをしていることが分かった。

女への対応
依頼者は、女の携帯番号へ電話した。「あなたの本名は○○ですね。勤務先は○○。夜のバイトは○○ですね。住所は東京都世田谷区○○町〇番✖号、父母の名前は○○・・。こんご、今までのようなストーカー行為を止めないと、こちらから仕返しをするか、警察に貴女のことを訴える。あなたの情報すべてがわかったので、警察はすぐに動いてくれるから・・」と告げた。
それ以降、電話攻撃、手紙は止まり、会社、駅の待ち伏せもなくなった。

探偵の眼
ストーカー対策は、行為者が元夫とか、元彼など身元が分かっている場合と、身元分からない者によるストーカーなのかによって、対策が分かれます。身元が分かっているストーカー対策は、覚悟のうえでやっているのですから難航します。躊躇することなく警察へ相談することです。身元が分からないストーカーの場合は、この事例のように正体を暴けばあっさり引く場合が結構あります。高齢化社会を映し出す面白い事例があります。一人暮らしの70歳の男性は、スーパーの椅子に座っている65歳くらいの女性に声をかけ、意気投合してお茶飲み友達になりました。以後、毎日男性宅に来て部屋の掃除・庭の掃除をしたり、手紙を毎日届けにきたり、男性の先祖代々の墓地掃除をしたりしました。女を疎ましく思った男性は、女に一方的に絶交を申し渡したところ、女は毎日通って道路に立って監視を続けるようになり、一日300回も無言電話をかけ続けて警察に逮捕されました。
本題の内田幸一や、スーパーで声をかけた70歳の男性のように、女性からストカー攻撃を受けないためには、恨まれない別れ方をすることですね。それ以前に(交際前に)、男女ともに、その人の言動を観察してストーカー気質があるかどうか見抜くことが一番の対策なのですが・・・。



依頼人 山内典子 (28)保育園勤務
対象者 高崎 勉 (34)会社員 妻子あり 仮名
※ これは事件簿を参考にしたフィクションです。
調査目的
高崎勉の身許調べ

相談概要 
出会い系メールで知り合った高崎勉という男性と結婚を前提で交際していた。先日、突然別れを言いだされた。詐欺的で不誠実な態度が許せないので身許を調べてほしい。
私は、婿取りの立場です。適齢期も過ぎる頃なので相手には「結婚することが前提」と言って交際を始めた。温泉旅行、デズニーランド等に行き、家に来て母に「典子さんの婿として結婚させてください。」と挨拶をした。
交際して半年が過ぎたとき彼が、「実は、あなたと知合った当時交際していた女性がいて、その人は私を捨て別の男に走った。その女性が今になって、僕のところに戻るといってきたので受け入れ、あなたと別れたい。二度と僕に電話しないでほしい」と言われたので、口論の末別れた。
数日後、高崎から「先日は感情的になってゴメン。今までとおり月に三日くらい会いませんか?」と電話が有った。「そのようないい加減な気持ちで交際できない」と答えたが、真意を聞くために彼に会った。彼が、「僕の彼女には内緒で、あなたとこのまま付き合っていきたい。その女はあなたの存在を知らないから、その人ともうまくやりたい。」と、身勝手に、自由な恋愛を続けたたい、と言った。
高崎はいままで言訳ばかりして、自宅と、勤務先を教えてくれなかったので手がかりは携帯電話番号だけ。身元を暴いてはっきり進路を決めたい。

調査結果
携帯番号から所有者住所・氏名を割出した(10数年前は簡単に調べられた)。高崎は、妻と二人の子とアパート暮らしだった。
大手総合電機メーカー系列会社に勤務する係長。自由に行動できる立場を利用して、午後は公園駐車場やまんが喫茶店めぐりが定期コースになっている。出会い系でゲットしたと思われるその都度代わる女性と、週1回くらいラブホテルへ入っていた。
結婚詐欺に遭ったことを知った依頼人は、「このまま別れるだけでは気が済まない。奴に復讐したい」と悔しがった。

その後の経過
数日後、依頼者は計画を立ててきた。「高崎勉の希望する自由恋愛を受入れたふりをして彼とデートするのでその場面をビデオ撮影してほしい」。「撮影した写真を高崎の勤務先と奥さんに郵送する。写真に同封する文案を作成してほしい」、という怪文書で彼に復讐するものだった。

依頼者が、男とデートする日時を指定したのは男の勤務日(仕事中に遊んでいる場面を撮影する)でした。
男と依頼者が公園でデートしている時間帯、食事している時間帯、ラブホテルに入る時間帯、ラブホテルから出る時間帯などは事前に依頼者からメールが入るので完璧に男の勤務上の規律違反・夫婦としての不倫状況の証拠写真撮影は完了しました。※ラブホに入って、しばらく時間を経てから女探偵から、依頼者の勤務の同僚を装って緊急・急用の偽装電話を入れたので、依頼者は次回に男とデートする約束をして二人は何事もなくラブホテルを出るという工作も成功した。

怪文書
「高崎勉の仮面を剥ぐ」という文書の入った封書に、高崎が出会い系サイトで知り合ったと思われる女と勤務時間中にラブホテルへ出入りする写真数名分(依頼者の写真も入っている)が同封された文書が、高崎の勤務先と取引先、高崎の自宅・奥さま宛てに送られた。依頼者の男に対する憎悪の激しさが伝わる。

探偵の眼
「出会い系サイトで知合った相手と結婚を前提に交際をした。週1~2回デートしてラブホテルに入り、お金も数十万貸した。最近プッツリ連絡が途絶えた。結婚詐欺のようなので相手の居所を探してほしい」、という調査依頼は同業者間の情報交換によると、相当数に上ります。被害者の男女別では70%が女性、残りが男性のような印象を受けます。女性の方が結婚願望が強いのですね。結婚詐欺師たちが手ぐすね引いて待ち構えていることを忘れないように。金銭など被害の額が大きい場合・事件性がある場合は恥ずかしがらずに警察に相談すべきです。男が結婚詐欺に遭う場合、相手の女はプロが多いようです。結婚を夢見、女の肉体を得るための代償は大きいです。投資したお金は戻ってきません。

男性はネットや結婚紹介所などで婚活をするとき、元夫や交際相手が7人が死亡したという婚活女詐欺師「筧千佐子」や、首都圏連続不審死事件・婚活大量殺人事件の犯人「木島佳苗」(平成29年5月9日死刑確定)など、色仕掛けで男を誘う女詐欺師がどこにでも蠢いていることに留意してください。



画像はイメージ



依頼者 (被告)上野知美(27)OL
対象者 (原告)山田茂樹(26)会社員 共に仮名
※これは事件簿を参考にしたフィクションです。

調査目的
   結婚調査 結婚調査とは次のようなことを調べます。※家庭環境 ※家庭状況 両親・姉妹姉妹について、同居か否か、生死の別、勤務先や近隣の評判 ※住居の位置 土地 建物は自己所有か否か、家族の円満さ 近隣との付き合い 心身に欠陥のあるもの(精薄者、不具者、疾病で病床に臥している者)はいないかか ※病死した家族がいる場合の病名 ※持て余されている者(浪費家、乱暴者、盗癖や賭博癖のあるもの)はいないか ※特定思想の信奉者あるいは特定の宗教を信仰しているものはいないか ※両親と本人の近隣の評判

本人について
※家の宗教・本人の宗教 ※日常の行動 ※交友関係(友人の氏名・性格・素行など) ※異性関係(ボーイフレンド・ガールフレンド、既婚者、夫婦仲など)※金の使い振り(金銭上のトラブル、借財など) ※盗癖、酒癖の悪さなど悪癖のうわさの有無

調査結果
    対象者が婚約不履行の裁判を起こしたため結婚調査は中止して、訴状にたいする答弁書の原案を作成した。

解説
山田茂樹と上野知美が婚約。結婚式・披露宴会場を予約して、山田が結婚披露宴招待状を発送した。知美は、交際6カ月間の山田の人間性に不信感が募って煩悶のすえ結婚を断念、婚約の解消を申し入れた。しばらくして、山田から婚約不履行による損害賠償の訴訟をおこされた。知美は、自分の一方的な都合で破談にしたのではなく、相手の人間性に問題があったからと、争うことにした。
この陳述書は、相手の訴状に対して婚約破棄にいたる心情と経緯を聞き取って作成したもので、資料として弁護士に提出したものです。


陳 述 書
被告 上 野 知 美
1 略

2 結納を交わし、結婚式場を予約して新居になるアパートを借りてまでして、私から婚約解消を申し入れなければならなかった背景・事情を申し述べます。

3 6カ月余りの婚約期間にわかった、お互いの大きな性格の隔たりについて、話しあって整理しなければならないことを原告に伝えました。
「私への過度の束縛と監視、過度の甘えを止めてほしい」。「優柔不断は困る、もっと自主性をもってほしい」。「金銭的にけちけちしないでほしい」。「神経質で怒りっぽい性格を直すように」などです。それでも結婚に踏み切れない、どうしても払拭できないものがあるので、気持ちの整理がつくまで結婚式をキャンセルしたい、と伝えました。
どうしても拭えないものとは、前述の他にたとえば、原告の度を越した怒り方とか、他人の前でお話しができないのに、私には、異常なほど多弁になり、どうでもよいことを延々と続けること、その他のことは以下に述べることにします。

ある日、私と原告、結婚式場の支配人3人で話しあいました。
私が、「彼は、結婚しても性格が変わるとは思えない。例えいま直しても絶対に我慢しきれなくなるし、我慢しながら生活するのはおかしいと思う。」と言うと、「結婚してからよくなることもあるジャン」と言いました。
支配人は原告に、「人の性格はすぐ直るような問題ではないんだよ。ハイ結婚しました、といって今日から変われるの?」と、私に同調すると、原告はふてくされて黙ってしまいました。式場からの帰路、「やはりどうしても結婚できない」と伝えると、原告が感情的になって泣き喚いたりしたので、その話は止めました。数日してから原告は婚約の解消を承諾しました。「もう考えは変わらないの?」と未練がましく言う原告に、はっきりその意志がないことを伝えました。

交際期間中に感じていた隔たりについて、このままの状態で結婚しても性格の相違で結婚生活が破たんすることは明らかと考えて、婚約の解消を申し入れたのです。よって、訴状にある、「理由も告げず一方的に結婚の取りやめを告げた」のではありません。

3 婚約したころから原告の横暴な言動が目立ち、性格的な違いも顕著になりました。
例えば、車で走行中に渋滞に巻き込まれたり、赤信号で度々停止を余儀なくされたり、私が何かの拍子でドアのガラスを少し叩いたくらいで激怒するなど、何かにつけて怒りっぽく、怒り出したら制御ができません。わたしがいままでに体験したこともない怒り方です。なにが原因で原告に怒られているのか理解できないことが度々あります。原告には自制心が無いらしいことが分かり、怖さを感じるようになりました。

4 アパートのカーテンのヒダが不揃いだとそれが気にかかり、それを一つ一揃えてから閉めるのです。玄関のドア、くるまのドアの鍵をかけても、「ノブ」を10回以上ガタガタと引っ張って確認します。室内が少しでも散らかっていると用事があって出かける前でも整理することを優先します。
また、住所など書いてある紙を捨てるときは、必ずシュレッターのよううに細かく1枚1枚ちぎって捨てるなど、病的と思われる神経質、清潔癖、度を越した几帳面さなど、原告の性格に私は大きな隔たりを感じました。

5 私が、ドライブしようと誘うと原告は、ガソリン代がもったいない、と反対し、冬、車中で会話するとき、ガソリンがもったいない、とエンジンを止めて何時間も平気で会話を続けます。外食はお金がもったいないとのことで嫌がり、駐車場の料金加算がもったいない、と何度も口にしながらついてくるので、デパートなどで買い物もゆっくりできません。私のお金の使い方にも細かく干渉し、洋服を買うとき、「ほんとうにこれでいいの?もう少し考えたら?もっと安いのがあるかもよ。」などと口を挟んでついて回るので、欲しいものもほとんど買えませんでした。
また、原告は母親に出費させることを極端に避けるのに、私の親には平気で出費させてお礼も言えません。新婚で住むためのアパート賃借の支払い、家具類、家電、生活用品など全て私と私の母親が支払いました。

原告の徹底したケチぶりと自己中心の考えは、私に相いれないものでした。

6 原告は一人でコンビニにも行けず、他人との挨拶もできず、協調性もなく友人もほとんどいません。病院にも1人で行けず、私に会社を休ませて同行させます。また、考えごとに一貫性がなく、物事を自分で決められず私に決めさせたにもかかわらず、後から必ずねちねち愚痴と文句をいいます。
私が何か意見を言えばすぐ逆ギレします。周囲に人がいることなどお構いなしに激高する姿を見るたび、結婚する意志が失せていき、原告の情緒不安定ぶりは、精神的に障害があるのではないか、と深刻に考えました。

私がたまに女友達とでかけると、「何時に帰るのか」「今何を食べているのか」。8時9時になると、「まだ帰らないのか」と執拗にメールを入れつづけ、すぐに返信しないと激しく怒ります。私が一人で外出すると怒る。どこに行く時もメールを入れないと怒る。友達と一緒だというと、友達を電話に出させて確認する。など原告の特異な性格を知るにつけて困惑するばかりになりました。

7 原告は、過去に自律神経失調症になり会社を1カ月休んだそうです。「俺が会社を辞めると困るから、みんな何も言えないんだ」と得意げに話す原告をみて、結婚相手としての信頼感が日に日に失せていきました。

8 私は、日時が経つたび原告に失望し、不信感が募るばかりで将来に希望も持てず、会うことさえ嫌悪するようになりました。
交際中に生理不順になり、医者からストレスによる生理不順と診断されました。
二人の対照的な性格を相互に克服することは難しいと思います。それぞれに簡単に変えられない生活信条とか価値観もあるとおもいます。

婚約そのものが間違っていました。解消を申し入れるまでに1週間で4キロ痩せるほど悩みました。その結果、意に反して結婚してすぐに破局を迎えるより、婚約の解消の方が、より良い選択だと結論を出したのです。

原告は、婚約解消は全面的に私の責任であるとして、損害賠償請求の裁判を起こしてきましたが納得できません。原告の資質によることも原因の一端として考慮してください。そのうえで私は相応の和解金を支払う用意はあります。

裁判結果
原告が被告に慰謝料支払いと、結婚準備費用全額の請求を求めた裁判は、「和解」で終わりました。和解条件は、被告(上野知美)が原告(山田茂樹)に慰謝料を支払う必要はなく、結婚準備の諸費用は原告・被告折半で支払う、ということになり、実質的に被告・知美の勝利でした。

この陳述書は人格障害者の人間性があらわれています。女性が結婚相手を点検するための教材になるとよいです。

結婚2年目で実家に帰った妻との離婚

依頼者 青山幹夫(50) 妻 花子(48) 長男 一郎(25)  すべて仮名

※これは事件簿を参考にしたフィクションです。

相談目的
実家に帰っている一郎の妻 美由紀(24)と協議離婚を成立させること。

相談概要
1 交際中の妻はスポーツ好きの明るい女性だった。結婚して2年になるが、結婚間もなく、しだいに妻の態度が変わってきた。家族の団らんに加わらず(一郎夫婦は両親幹夫・花子と同居)、夫婦の自室に一人でこもるようになった。
2 夜の夫婦関係も拒むようになり、帰宅後や土日でも家族と会話することなく、食事も一人で取るようになり、とにかく口を閉ざしてしまい家族から孤立した。
3 ある日、私たちが団らんしながら、台所にいた美由紀を少しひやかすと美由紀は庖丁を振りかざして、狂人のような形相で私たちに突進してきた。幹夫が取り押さえた。美由紀は泣き騒いであばれたが一郎が自室に閉じ込めた。
4 隣県に住む、美由紀の実家に事情を知らせた。夜中に両親が迎えに来て、しばらく実家で美由紀を静養させるといって連れ帰った。
5 それから半年になるが、先方から何も言ってこない。あのようなキチガイ女と早く離婚したい。幸い子どもがいないから、離婚条件は無条件ということで双方とも名目の如何を問わず金銭的な要求はしない、との誓約書と離婚届に印を押して、早く美由紀の荷物を引き取る事。結婚後に共働きで買ったエアコンや冷蔵庫など家電品は青山家においていくこと。

妻 美由紀の実家訪問

 美由紀さんのご両親は多くの東北人にみられる朴訥な人。挨拶のあと私は「お互いに性格が合わない不幸な結婚でした。青山家では、金銭的なやり取りをしない無条件で離婚したいといっています。」と離婚話を切り出した。
 ご両親は、後ろに下がって座って私の話を聞いていた娘さんに、「お前も言いたいことをこの人に言ってみろ」と促した。おとなしく控えて私の話を聞いていた美由紀さんが青山家で暮らした2年間の様子を話し始めた。その話しぶりは、包丁を振りかざして義父母と夫に突撃するような人柄とは見受けられず、教養のある物静かな印象の女性だ。ご両親も、娘さんの話にじっと耳を傾けるだけで口をはさむことはなかった。母親の悲しそうな表情が痛々しい。
美由紀さんの説明した青山家での結婚生活

1 夫、一郎はマザコンで自分の意見を言えず、すべて母親の指示命令に従う人なので、私の意見や希望など一つも通らなかった。
2 義母は、嫉妬心が強い人で一郎さんを私に奪われたという意識を常に抱いているようで、私に冷たく当たった。
一郎さんとお風呂に入っていると、義母が突然浴室のドアを開けて中の様子を見ることが度々あった。
3 義父母と一郎さんはお酒が好きで、特に義父母はビール12本と焼酎4合瓶1本を晩酌として毎晩飲んでいた。私はこのような晩酌の場に付き合いきれないため一人で部屋にこもるようになった。
4 義母は、深夜私たちの寝室の脇の廊下で中の様子を聞いていたようで、そのままその場で寝てしまうこともあり、私がトイレに起きたとき廊下で寝ている姿を何度も見たことがある。
5 義母は、酒乱気味の人でお酒が入ると大声で私の悪口を言いだす。夫は私をかばってくれることもなく、何一つ反抗が許されない環境の中で私は体調を崩し、うつ状態になってることを自覚した。
6 いつものように、家族の晩酌で喧騒が激しくなったとき、私は何かの用事で台所にいたところ、義母が私に罵詈雑言を浴びせかけてきた。その日は特にひどい騒ぎ方だったため、私の心の糸が切れてしまい包丁を持って、居間で騒いでいる家族の前に行って包丁を振り回してしまった。精神が錯乱して抑制がきかなかったです。

離婚することに異存はありませんが、私が一方的に悪者にされて離婚することに納得できません。せめて気持ちだけでも慰謝料が欲しいです。

よろず相談室がうごく
 筆者は、青山家の話と、美由紀さんの説明が真逆であるが美由紀さんの話が正しいと、即座に判断できた。私は美由紀さんに「あなたの希望が通るような離婚にしてみせます」と約束して美由紀宅を辞した。青山家の言い分として「幸い子どもがいないから離婚条件は無条件。金銭のやり取りはなし」とのことだが、子どもがいなくても離婚は女性の方がハンディキャツプを負うことになる。夫だけ無傷で妻を突き放す青山家の魂胆が腹立たしい。

美由紀さんの意向を伝える
この美由紀さんの意向は、ほどんとが私の創作であり青山親子は震え上がった。

 「美由紀さんの心の病・精神状態はひどい。彼女は『私はもう一生結婚はしない。一郎が結婚したら毎晩そこへ乗り込んで騒いでやる。一郎夫婦が私みたいに壊れるまで嫌がらせを続ける。どうせ私は精神病者だ。精神病院の薬も服用している。あの義母にいじめられたために精神がおかしくなったようなものだ。とにかくあの家族が平和でいることを許さない。』と言っている。復讐の執念が相当強いですよ。少しばかりの慰謝料では納得しないと思う。このさい会社からお金を借りてまで多めの慰謝料を支払って和解した方が将来的に安心できると思う。」と説得して、過分な慰謝料を支払って離婚が成立した。

 今回のように、依頼者側の主張よりも相手方に理があり、相手方の立場になって和解を行うことは信義違反ではないと思っています。離婚話も交通事故も双方の意見をしっかり聞くべきであることを再認識した事件でした。

依頼者 西野由紀子(30)会社員
対象者 西野一郎(65)無職

※これは事件簿を参考にしたフィクションです。

調査目的
父、一郎の行動調査

相談概要
一郎の娘、由紀子 談。 地方公務員の父は10年前に妻を亡くした。真面目一筋で働き、定年退職後、母のいない寂しさを紛らわすために居酒屋通いとパチンコ店の常連となった。

近頃、金遣いが荒くなった。時々女から電話がかかってくる。遊んで帰る夜の帰宅が極端に遅くなった。服装に無頓着だった父が真新しい流行りの衣服を着用するようになった。浮ついた日常が気にかかり父の預金通帳を見ると、300万円、300万円、400万円と立て続けにおろしていた。まとまったお金をどこに使ったのか問い質したところ、「株式に投資している」との答え。どこの銘柄なのか、どこの証券会社と取引しているのか聞くと、言を左右にする。しばらく冷戦状態が続いたあと、父は「飲み屋で中年の女と知り合った。女は、俺と一緒になって老後の世話をしてくれる、と言ってくれた。しかし、『同居している息子がサラ金に追われていて、あなたに迷惑がかかるから当分会わない方が良いと思う。

一生懸命働いてサラ金問題を清算するまで待って』と言うので、母子が愛おしくて借金分300万円を女に渡した。しばらくして、『別れた夫に復縁しょうと付きまとわれているので完全な手切れ金が必要』というのでその300万を渡した。さらに、『実は、あなたと知合う前に複数の男性と交際していた。その人たちと交際を絶つために清算金400万円が必要。清算ができたらあなただけに尽くしたい』と言うのでそれを信じて渡した」。

このまま続くと、その女に父の退職金を全部貢がされ、そのうえ土地建物も担保に入れて借金されそうです。父の交際している女の素姓を調べてください。このままでは女のために破産しそうです。助けてください。

調査結果
西野一郎と居酒屋を出て、自宅に帰る女を尾行してアパートを突き止めた。アパートに駐車していた女の車の番号から、住所・氏名。住民票から戸籍を入手して身元を割出した。女は、山田真理子(50)といい、未亡人で子供はおらずアパートで1人住まいしている。
女の氏名・住所・生年月日を元に「サラ金リスト」を入手した(個人情報保護法制定以前は、「データ屋」に問合せると、銀行・サラ金の残高、借入状況、勤務先名、固定・携帯電話番号の所有者住所氏名、勤務先などほとんどの個人情報を入手できたが現在データ屋は存在しない)。

女を数日尾行した結果、居酒屋、パチンコ店で中高年の男性に声をかけて誘い食事したりカラオケに行ったりしたあとラブホテルに入った。女が狙い定めた中高齢者は必ず女の誘いに乗った。女は年齢に不相応な衣装をまとい、厚化粧、ネックレス、イヤリング、指輪などで満鑑飾にして男にしなだれかかって街中を歩く。すれ違って振り向く男女の失笑など意に介さない。

パチンコ店の常連さんと、カラオケ店の受付さんに被害事情を説明して女の事を尋ねると、「あのエロ気違いババアは、毎日男漁りしている。あんな化け物にカモにされるスケベ爺さんも多い。」と、女に対する反感も露わな回答を得た。
山田真理子があちこちで熟年男性に声をかけている場面、男性とレストランで食事しているところ、男性の車に乗る場面など複数の男性とのッーショット写真集、真理子に子どもが存在しない戸籍謄本、サラ金地獄の状態がわかるサラ金リスト(アコム・アイフル・武富士などの借入金額、返済状況、残高などの一覧)を依頼者由紀子さんに渡した。

依頼者は父に探偵の報告書をみせると「騙されてたのか・・」と深く悔いて娘に謝ったが、詐欺で女を告訴しても「あの女からお金は取り戻せない」とあきらめたという。

探偵の眼
古狐の老人狩りターゲットにされて、高くついた定年後の社会勉強でした。「女性免疫のない仕事一筋人間」にすり寄る不良女狐が爪を磨いて狙っています。

過日、NHKのクローズアップ現代で高齢者の「婚活」を放映していました。恥も外聞もなく結婚相談所主催の見合いパーティに嬉々として参加している老男女をみると、先ごろの筧千佐子(68)という化けそこないの女狐に財産と命を奪われた高齢男性が7人とも11人ともいわれる事件がうなずけます。
筧千佐子の周囲で不審死を遂げた夫や内縁の夫が次々と出てくると、マスコミは「底なし沼の様相になった」「内縁関係の被害者が続々と出る可能性がある」(捜査関係者)、と報じた。

高齢者・資産家で独身をターゲットにした「後妻業」という再婚を生業とした本まで出版される時勢になりました。ネットで、筧千佐子に関して「女性は最後に売るものがあるから・・・普通の寂しい男どもはコロリといくだろうねー」のコメントが的を得ています。
筧千佐子事件は世の独身高齢者に多くの教訓を与えたのを機に、25年も前の西野一郎さん父子を思い出して記事にしました。

 



その女性、優子(33)は、私の知合いのA子に連れられて事務所にきた。二人は友達だ。

相談の概要
これは事件簿を参考にしたフィクションです。

以下、離婚調停申立てまでは、優子の告白から。優子の愛人の胸に刃を突き立てる事件はA子の説明に基づいたものです。

私(優子)は福島の出身で、こちらで知り合った人と結婚した。現在、町のスーパー勤務。夫は自動車販売店を自営。4歳の男の子と三人暮らし。

結婚して少しずつ、夫の性格の異常さが分かった。最初は、私を心配しての干渉だと思ったがそうではなかった。私が勤務中にたびたびポケットベルが鳴り(注・携帯電話が無い時代)、30分以内に連絡を取らないと帰宅してから「お前は何か隠してる」など、男関係を根堀り葉堀り詮索された。自宅前で仁王立ちになって私の帰宅を待ち、10分でも遅れると夕食を抜かれて深夜までいびられた。買物に出かけていてもポケベルが鳴り居場所の確認をする。人前でバカにされたり、会話はどこでも命令口調で自尊心がボロボロになっていく。ポケット、バックなど中の持ち物を点検し、友だちと付き合うことも制限された。監視癖が異常に強く、見えない檻に監禁されたような生活になった。

最初は精神的苦痛が多かったが、子どもができてから、体に対する暴力が始まった。

ある日疲れていたときに性行為をされた。いやがっていることが夫に伝わってしまい、素っ裸のまま殴る蹴るの暴行を受けた。
持ち物、服装、下着の点検の執拗さは増すばかりで、私の対応が気に入らない(従順でない)と髪の毛を引っ張って引きずり回したり、蹴飛ばしたりする。帰宅が遅れたある夜、いつもと同じ罵詈雑言が始まったため、強く反抗した。その日以来、精神的・肉体的暴力が一層増した。この時期にはっきり離婚を決意した。

夫がある日、「実家へ帰って、子どもをしばらく預けて爺ちゃん婆ちゃんを喜ばしてやれ」と言うので、実家に帰り久しぶりに友達と食事したりして、二日後の夜、帰宅した。少し遅かったが夫は何も言わないのでホッとして風呂に入った。出たところ夫が脱衣所に入ってきて、私の手に手錠をはめた。鳥肌が立った頭が真っ白になり思考が停止し抵抗できないでいるうち、口にガムテープを巻かれた。

深夜、車に乗せられて山道を走り、市街地から30キロ離れた山中で手錠と口に巻いたガムテープを外して裸のまま放り出され車は走り去った。バス停にしゃがみ込んで通りかかった車に乗せてもらった。私の経緯を聞いた仕事帰りの運転手さんは「それは殺人行為と同じだから」と、警察へ行こうとしたがそれを断ってA子の部屋へ送ってもらった。

A子の機転で、知合いの経営するナイトクラブの寮に入り、クラブで働くこととして、マネージャーが夫の元へ挨拶に行った。
「これから優子さんはうちの商品ですから勝手に連れ出したりしないでくださいね。夫婦の離婚のことは裁判所でやってください。」と凄まれて、夫は反抗できず、調停離婚が成立した。夫の稚拙な、手錠・裸体による懲らしめ行為は、私に離婚というご褒美が転がり込んだ

次に、A子からの聞き書き。
優子は母子でアパートを借り、もとのスーパーの店員を続けた。客の宮崎と親しくなって愛人となった。宮崎は保険代理店業をしており妻子がいる。前夫のDVから命からがら逃げだした優子は、その反動なのか宮崎に傾倒した。しかし宮崎にとって優子は単なるキープ女だった。宮崎は酒が入ると人が変わる。宮崎はKというスナックの常連で、酔うと店から連夜、優子に電話を入れた。卑猥な話をくどくどつづけ、電話口の向こうから女どもの嬌笑が聞こえ、嘲笑いが漏れたりして、侮辱され屈辱感が一杯になった。宮崎への愛が嫉妬に、そして憎悪に変わるのに時間は要らなかった。

或る夜の電話で、酔った宮崎が優子の女性器の相を冷やかし始めた。優子はバックに包丁を忍ばせてタクシーでスナックKに乗りつけた。ホステスをはべらせている宮崎に突進、包丁を握って体当たりした。二人は重なり合って椅子ごともんどりうって床に倒れた。胸に包丁を突き立てられた宮崎は「グゥ」と呻いただけで絶命。即死だった。優子の報復は達成された。

私は、痴情のもつれ殺人で逮捕され、新聞に載った被疑者名を見て驚きました。DV夫に苛め抜かれやっと離婚して平凡な暮らしをしているはずなのに、スナックで男を刺し殺すなんて・・・。私が面談して離婚調停をサポートした女性と一致できなかった。

A子が預かっていた子を祖母が引き取りに来た。A子にお世話になったことお礼を言って、「優子は男運が悪すぎる。可哀そうな子だ」とつぶやい顔が悲惨だったそうです。

筆者は宮崎と面識があります。好景気の余波で保険成金になり、小さな街中で夜の帝王ぶっていました。母子家庭で必死に生きている優子を愚弄した末に、刺殺されたのは因果応報自業自得だと強く感じた事件です。

 

さくら吹雪



参考画



熱油をかけ傷害事件で執行猶予刑で実家に帰っている妻との離婚協議の依頼

依頼者  夫 新田次郎(38)中堅規模の土木建築会社・一級土木施工管理士

相手方  妻 新田幸恵(38)主婦           人物は仮名

※これは事件簿を参考にしたフィクションです。

次郎さん宅を訪問。コタツで一人横になっていた。温和な笑みで迎えてくれた顔と首回りがケロイドになっていて正視できない。

次郎さんの説明概要は次の通り。
バブル景気で建設業は大盛況で、毎日仕事が忙しく接待もあって連夜の午前様帰宅。土日も仕事に追われ自宅には「メシ・風呂・寝る」ために帰宅するだけ。夫婦生活もほとんどなかった。子どものいない幸恵さんは近隣との交際もなく、市内に友達もいなかった。

「たまには早く帰ってきて」「月に一度の土日くらい家にいて」と妻の願いを聞き入れず仕事と接待の飲食に明け暮れる毎日で、妻が孤立して寂しがり、夫に頼っている気持ちを見抜けなかった。事件後、わかったことだが妻は嫉妬妄想のため抑うつになり心療内科に通院していた。

一匹の猫を抱きながら深夜まで夫の帰りを待っている妻を疎ましくなった次郎さんは、深夜帰宅してケンカになるのがいやで、団地近くの公園の駐車場に車を止めて車中泊を繰り返すようになった。「女と外泊している」と邪推した妻と口論が激化する一方。元来が無口でおとなしい次郎さんは、幸恵さんにキチンと説明しないまま生活態度を改めなかった。そして、それが悲劇につながる。

沸騰した油を夫にふりかける
ある日曜日の朝。次郎さんは居間に寝転んで新聞を読んでいると、幸恵さんが鼻歌交じりで台所で何か沸かしている。笑みも浮かべていたという。次郎さんの頭上に鍋をもって無言で立った幸恵さんは中の沸騰した油を次郎さんの顔面や胸部にふりかけた。

「ギャー!」と叫んで部屋を転げまわる次郎さん。救急車で病院へ運ばれ、幸恵さんは自宅付近を放心して彷徨っているところを警察に保護されたあと逮捕された。次郎さんは一週間意識不明の危篤だったが一命はとり止めた。入院加療の後、臀部と太ももの皮膚を、顔や首、胸部などに皮膚移植して6か月後に退院。

幸恵さんは傷害罪で懲役5年、執行猶予3年の刑の裁判のあと、長野県の実家に帰っている。

長野県某市の幸恵さん宅を訪問。居間に幸恵さんのご両親、兄と妹が卓を囲んで座る。幸恵さんは別室に待機している。新田次郎の代理人としての挨拶のあと、長野県までの道のりにある観光地などを話題にした後、本題に入った。座中に緊張が走る。「新田さんは離婚に当たって何も要求しません。無条件です」とのことばに、座中の気が緩んだ。「奥さん側の言い分をうかがいます」と、私。父親が、「娘があのような事件を犯して、私どもの言い分などあろうはずがない。娘は、世間様に顔向け出来ないので遠方で暮らすことになった。アパート代や生活用品全てを援助するのだが、新田さまから気持ちだけのご援助をいただければ娘は心静かにこの地から旅立てると思います」と申訳なさそうにいう。 私は、新田さんが旅費の一部でも負担してくれる気持ちがあるなら、それは娘の行為を許してくれる証と受け止め、娘が心軽くしてよその土地で暮らせるように計らった親心だと理解した。

加害者側(幸恵さんとその家族)は、被害者に落ち度があったからこのような事件が起こった、と責任転嫁することも想定して話合いに臨んだが、母親はかしこまり、兄と妹も口をはさむことはなかった。父親は中学校の校長を定年退職した人、と次郎さんに聞いていたが、家風のよさを感じた。

月曜日に離婚届を役所からとり、幸恵さんの署名押印して新田宅へ郵送し、それが届いたら旅費の一部として金10万円を送金する。と合意して、幸恵宅を辞した。

帰って、次郎さんに顛末を報告。次郎さんから幸恵さんに渡す10万円と生命保険の受取人変更のため、証券と委任状をもらって次郎宅を出た。
四日間、離婚届が届いたとの連絡が無い。五日目の朝、次郎宅へ電話しても出ない。不審に思って近所の知り合いに次郎宅を見てもらうと、「居間に倒れて死んでいる!」と動転した声。次郎宅へ急行すると既に救急車と警察が来ていた。死因は心臓麻痺とのこと。

次郎さんの青森県の実家から両親、兄夫婦がこちらに来て葬儀を行った。ご遺族に、離婚が成立していないので土地建物の3分の2が幸恵に相続権があること。死亡保険金2000万円が受取人の幸恵に入る事を説明した。

次郎さんの兄は「土地建物の相続交渉と売却、保険金の行方などあなたにすべてを任せます」と言って、葬儀が終わると、関係各人に挨拶して帰ってしまった。金欲、物欲のない世俗離れした昔の禅僧みたいな人だ、と感じ入った。

次郎さんの死亡の状況を電話で伝えて、幸恵宅を再訪した。次郎さんの急死は、熱油火傷事件が原因らしいことは承知していた。今度こそ何を言われるのかと家族全員かしこまっていた。
郵便受けに幸恵さんの離婚届の封筒が入ったまま、死亡したので離婚は成立していない。よって、生命保険金を取得し、土地建物の相続権があること説明した。本来なら離婚が成立しており、これ等のものを取得する権利はないが、生命保険金は受取人の幸恵さんの口座に送金するよう手続きを行う。入金された保険金のうち、300万円は幸恵さんがこれから異郷で暮らすための再生資金として差し上げる、1700万円はこちらに返金してほしい。不動産を売却するが、所有権移転の時、関係書類を無条件で提出してほしい。と条件を提示して快諾を得てどちらも早々に実行できた。

次郎さん夫婦は不幸な結末になりましたが、両家の品性の良さに助けられ、後始末は円満な解決ができました。両家が憎み合うことなく和解できたことを次郎さんは喜んでいると思います。

30歳の時ふるさとを出踪、70歳で弟と再会
人物は仮名

※これは事件簿を参考にしたフィクションです。

大川二郎さん(55)が訪ねてきた。「亡父の遺産を土地区画整理のため市役所に売ることになった。兄、一郎は35年前勤務した証券会社で不祥事をおこして出踪し、以来今日まで全く消息不明である。相続手続きのため兄を探してほしい」とのこと。さらに事情を聞くと、「集金したお金の使い込みが発覚して逃走した。お金は親が弁償したので会社から告訴されず懲戒解雇ですんだ。警察に行方不明届をだしておびただしい数の行路病死者の情報も該当がなかった。30歳の時の事件で生きていれば65歳になる」という。戸籍も、住民票も当時のままで調査の手がうてない。相続手続きができず、不在者財産管理人の申立てを家庭裁判所で行い許可を得て役所との売買契約を済ませた(出踪宣告の方法もあるのだが、死亡扱いになって戸籍上から抹消されるため家族が難色を示した)。

継続して一郎さんの所在調査を依頼されたため、一年に数回、戸籍と住民票を取得して移動状況の点検を続けた。5年目に大川一郎さんの本籍と住民票が、福井県某市某町の市営住宅22号3番に転出していることが判明した。

依頼者の二郎さんに「未だ喜ぶのは早い、現地で本人確認の必要性がある」ことを告げた。つまり、裏世界では故郷を離れて暮らす浮浪者の戸籍が売買されていること。その利用目的は戸籍を買った人間が本人に成りすまし、金融機関との取引や、自分の身分ではあらゆる審査が通らない、過去の経歴に難点ある人間の不正使用が横行している現況を説明した。

わたしは福井県の当地を尋ねた。同行した女性スタッフが、市営住宅の聞き込みをおこなった。女性は好奇心が旺盛であり、対面する相手方も警戒せず話に乗ってくれるので「聞き込みは」女性が適任なのだ。年配の男女数名から概要次の回答を得た。

その奥さんの旦那さんは数十年前に病死した。いつのまにか今の旦那さんがあの部屋に住むようになった。もう30年以上も前の話だ。奥さんは和服の似合う色白のきれいな人で、小料理屋を経営しとったが、最近は店を閉めて自宅に居る。旦那さんは市内の建設会社に勤めておったが数年前に退職して自宅に居る。夫婦とも物静かな人で、会うと必ず挨拶をしてくれる、律義な人だ。夫婦仲がとてもよくて、最近は車を買って二人で買い物やドライブにでかけていると、住民はこの二人に好意的であることが伝わる。私は依頼者の人柄を知っているので、その兄(であろう)一郎さんの評判の良さがすぐに理解できた。

一郎さんが庭先で黙々と自転車みがきしている姿を目撃できた。
依頼者に現地訪問の状況を説明すると「その人は長兄に間違いありません」と確信をもって答えた。早速、二郎さん夫婦と姉らは現地に向かった。以下は二郎さんが、一郎さんと40年ぶりに再会した状況と、一郎さんが語った生活史です。

当日、ドアの前に立った三人は、「何市の大川二郎です」と名乗ると中の住人は無言で静かにドアを開けた。一目で双方は兄弟であることを認め抱き合って泣いた。落ち着きを取り戻すと、一郎は、「証券会社の不祥事を起こして、地元にいたたまれなくなって飛び出した。この40年間みんなに迷惑と心配をかけて申し訳ありません」と三名に詫びた後、部屋の隅に座っていた女性を紹介した。

以下は、一郎さんの言
故郷を出奔して東京に出たが、知人に必ず出会うだろうと思い、あてもなく福井県に流れ着いた。高度成長の時代だったので住み込みで働ける会社はいくらでもあった。私は30才だったので事務系の仕事にも就職できたが、あえて建設業の現場職を選んだ。仕事が終わると、この女性が経営している小さな居酒屋で静かに酒を飲むことだけが楽しみだった。この女性は私より10才年上なので、2年ほど通ううちに安心して身の上話をするようになった。

間もなく、この女性の旦那さんが亡くなった。しばらくしてから、この人は「私の借りてる住宅に住んでよい」と言ってくれたので同居させてもらった。当時、ここの住宅の人たちは私が住んでいることを全く知らなかったと思う。月日が経ってもこの人は、店でも、この住宅でも私の身の上を一切話さず守り通してくれた。私が今日まで無事に生活できたのはこの人のおかげだ。

この人も私も老いた。この女性にいままでお世話になった恩返しに車の運転免許証を取って、買い物や観光をさせたくて住民票を故郷からここに移した。もし、私が先に亡くなった場合は保険金の受取人になってもらうため、まもなく入籍する予定でいた。戸籍と住民票をここに移動したため、故郷の誰かが気付くことは承知していたが、このまま死んでしまったらこの人に申し訳ないと思い、新戸籍の作成・住民票の移動を実行した。

みんなと会えてうれしいが今更故郷には帰れない。この人とこの地で人生を全うしたい。

一郎さんの奥ゆかしい人柄がつたわる生活史でした。

我がままを押し通して、老妻を心身ともに疲れさせてしまう。老妻に感謝やいたわりの言葉をかけることなく経年とともに心の病におちていくご婦人の相談が気にかかる昨今です。
近年、老夫のつまらない妄想や嫉妬で老妻を殴り殺す事件。堪忍袋の緒が切れて老妻が老夫を殺害する事件が多発しています。
大川一郎さんと年上の女性の生きざまに学ぶべきことがあります。
今回は、探偵冥利に尽きる仕事でした。

依頼者 夫(31)会社員   対象者 妻 花子(29)主婦

※これは事件簿を参考にしたフィクションです。

相談概要
妻は結婚以来、「アレルギー体質なので、お風呂は実家の井戸水でなければダメ」という理由で、新婚、出産、育児の今日まで昼か夜に子どもを連れて毎日15キロ離れた実家に行くのだが、用があって電話しても不在の時が多い。実家は林の中の湧水を引水して風呂などに使用している。

最近、サラ金から督促状が届くようになった。夫婦の会話も少ない、いつでも上の空で心が家庭に向いていない感じ。寝室も別々で深夜誰かとヒソヒソ長電話している。何かいつも影があるようで信用できない。子どもが二歳のころ、僕の友達から「お前に似ていないな」と冷やかされたことが妙に引っかかるようになった。

調査結果
花子は、「自然水のお風呂に入るため実家に通う」と夫に申告したのは嘘で、自宅を出ると20キロ離れた町にあるアパートJ荘303号室に直行した。その部屋に35歳くらいの黒澤という男が住んでおり、1週間昼夜交代勤務の会社員だ。花子は男の勤務に合わせて昼か夜子供を連れて遊びに来ていたのだ。洗濯したり買い物したり、通い婚の状態。

ある昼、その男と花子、子どもは車で出かけ、とある集合住宅の一室へ入った。その家は老夫婦が住んでいて、外に漏れてくる会話を聞くと男の両親であることが分かる。

その部屋から60歳代の婦人と子どもが出てきて団地の公園で遊び始めた。二人でボール投げ、トンボ取りを楽しそうにしている光景は、何処にでも見かけるお婆ちゃんと孫の姿であり、子どもは老婦を「婆ちゃん、婆ちゃん」と楽しそうに抱きつく。慣れ親しんで遊ぶ二人の姿を見て交流の長さを感じながら、ビデオ撮影をつづけた。

夕方、男と花子、子どもは老夫婦に見送られ、「バイバイ」しながら住宅を後にした。

依頼者
依頼者と実父に、撮影したビデオを見せて説明を始めた。
ビデオ鑑賞途中で依頼人は父親に、「子どもの顔、一緒に遊んでいるお婆さんに似ていないか?鼻なんかそっくりでないか?」といい、実父も「俺もそう思いながら見ていたが言い出せなかった」と応じた。父と依頼者の顔は青ざめていた。父子が何を言いたいのか理解できた。

私は依頼人と親に「妻が、不倫の子を産んで、夫に隠し夫婦の子として出生届けをする事例は今までにも数件あった。複雑な問題なので冷静に行動するように」と言いこれからの対策を教えた。妻は、夫に疑惑を追及されると、「子どもは黒澤との間にできた子で、夫と結婚する前から関係していて、ずっと情交がつづいていた。黒澤の子にまちがいない」と白状した。

不倫の子の幕引きは大変
不倫の子を産んで、夫婦の間の子として出生届けして何食わぬ顔で四年間暮らし続けたこの妻は、夫と親族及び、妻本人の親族や友人知人に対する最大の背信・背徳行為です。
妻子を追い出した依頼者は、「あの女と子どものことを考えると吐き気がする」と、おぞましい家庭生活を話すことはなくなった。

 「妻の挙動がおかしい。何か隠しているようだ」と異口同音に訴える夫の妻を調べてみると、不倫関係がダントツ。出会い系で自由恋愛、援助交際、性風俗勤務、パチンコ、宗教活動などがベストテンです。「何か隠している」と思っている期間が長期化するほど問題は深刻になって行きます。

「あなたの子はだいじょうぶ?」DNA鑑定のNPO法人まで現れました。一昔前は、大学の附属病院で判定期間は数カ月、費用は数十万円といわれ、DNA鑑定まで持ち込むのは、よほどお金持ち夫婦の不倫の子騒動でした。現在は、鑑定期間3 週間、費用は数万円ていど、口腔内を綿棒でこすって検体ケースを返送するだけ、鑑定結果は99.999%という超簡便な鑑定になりました。しかし不倫の子の妊娠は夫婦が疑心暗鬼になる事に変わりは無く、母は産むか堕ろすか誰にも言えず一人悩み続けることになります。子の出生の秘密を終生知らない方が、父親は幸せなのか?母は子の秘密を墓場まで封印していくことができるのか?

私の知る限り、子のDNA鑑定はどのような結果がでても、夫婦と親子の信頼関係に回復不能な深刻な断絶を残しています。
そして不倫の子の出生は、当事者に離婚・認知・嫡出子否認の訴え・親子関係不存在確認訴訟・遺言書・相続・慰謝料・養育費などの避けられない修羅場が待ち受けうけるのです。

不倫の子と父親の親子関係は厄介な問題を含んでいます。
依頼者夫婦は婚姻中に妊娠出産しているので、その子は嫡出子と推定され、夫婦の戸籍に嫡出子として記載されるのです。しかし、妻が不倫して夫以外の男性の子供を妊娠することや、結婚直前まで別の男性と付き合っていて、結婚から200日を過ぎて出産したとしても、前の男性の子供の可能性があるなど(妻花子はこの事例に合致)嫡出子推定には実態に則さない問題があるのです。しかし一度編成された戸籍の訂正は簡単にできません。
夫は、DNA鑑定など親子関係が否定された証拠に基づいて嫡出否認の訴を家庭裁判所に提起することができるのですが、これは子供の妊娠中又は、出生後1年以内に限られており、この訴も断念しました。
次に、親子関係不存在確認という訴訟ができます。今回は妻も子(母が法定代理人)も協力的なので上手くいきそうですが、母子は、血液型鑑定やDNA鑑定を拒否することができ、強制することができません。
私は、「不倫の子出産後の始末」を何組か見てきましたが、年月が経過するほど難しくなっていきました。5年、10年、15年と経過していくと協力的だった関係人や当事者が身分や財産関係など環境の変化を好まなくなって(損得勘定が働き)、親子関係、戸籍について触れたくない心境に変化していくようです。
しかし、不倫の子の母親、血縁の父親、戸籍上の父親の死亡、不倫の子当人の死亡によって時間が経過するほど相続と一族の人間関係が複雑になる一方です。不倫の子の親は、自分の蒔いた種は自己責任です。きっちりけじめをつけなければなりません。

依頼者 母 守山初子(57) 人物等は仮名

※これは事件簿を参考にしたフィクションです。

相談概要
 大手電気会社に勤務する息子(30)は、たびたび山陰地方に出張し、鳥島美佐子という女性と知り合った。やがて、「結婚を前提にして遠距離交際をしている」と言い出した。息子の話。「その女性は、20歳で結婚して子供は3歳で病死。夫は酒乱で働かず水商売に出て養った。男と離婚したが、彼女の実家は継母とその子供がいて、帰れない…。世の中には苦労の多い可哀そうな人もいるんだね。」と、世間知らずの息子はしきりにその女に同情する。

暇さえあればメール交換と電話している。あまりほめた女性でもなさそうなので、交際に反対すると、それまでは、母思いで明るくて優しい息子だったのに態度が一変し、「いちいち親に指摘される歳でもない。干渉するのは止してくれ!」と、くってかかるようになった。会話の弾む楽しい食卓だったのに、家の中は無言で暗くなってしまった。

息子は女に騙されていると思う。どんな女なのか知りたい。できれば息子の交際を壊せないでしょうか。

よろず相談室が動く
 現地に飛んだ。鳥島美佐子の戸籍を入手してから実家を探し出し、近隣にある酒店の主人に話を聞くことができた。美佐子は地元で評判が悪すぎ、小さな市内で美佐子のことを知らない人がいないという。そのため結婚相手を選ぶのに、自分の過去を知らない遠方の人を標的にしていたようだ。
現地から、美佐子の知人を装って守山太郎の母親に出した手紙は、酒店のご主人の情報を元にして、同行した女性スタッフが手書したものです。太郎の父親はすでに亡くなっているのですが、そのことまで知っているのは不自然のため、あえて「ご両親様」として投函したのです。

やがて守山宅に鳥取県の小さな町から、女性名の手紙が届いた。
その手紙を読んでからの息子は、内容を即座に理解したようで、「もとの優しさが戻った」と母親から喜びの連絡がありました。

前略
ご両親様、突然のお手紙失礼いたします。
鳥島美佐子のことで是非お知らせしたいことがあります。私は、美佐子を中学時代からよく知っているものです。美佐子の両親は近所の鼻つまみ者で、母親は美佐子が小学六年の時、男と家出しました。美佐子が中学一年の時継母が入ってから生活はますます荒み、喫煙やシンナーなどで補導されるようになり、中学三年頃は暴走族に入り不登校になりました。この頃に妊娠中絶した噂もありました。進学はせず、荒んだ生活はますますひどくなり、17歳ころは入れ墨のチンピラと同棲し、覚せい剤で逮捕されたこともあります。18歳で出産した子供は精神障害児で、3歳で亡くなりました。男が覚せい剤で逮捕されたのを機に、同棲を解消してスナックで働くようになりました。

ここからの内容は、美佐子のお店で働く私の友達、富士子から聞いた話です。

美佐子は長期出張客などに近づいて肉体関係を結びます。男性が美佐子の素姓にうすうす気づいて避け始めると、「妊娠したから中絶費をよこせ」「私はヤクザの情婦だ」と脅して手切れ金を強要しています。次々と客を騙している美佐子に、ホステスたちは反感を持っているのですが、美佐子の裏行為の確証がないためママは何も言えないのです。

ある日、美佐子が「一流企業の社員と結婚する」と、自慢げにお店の同僚に守山太郎の名刺を見せびらかしました。お客で何度か来店した太郎さんを知っている富士子は、名刺の自宅住所を暗記しました。富士子から、太郎さんの話を聞き、私は手紙を出すことに決めたのです。
息子さんは騙されています。美佐子は危険で怖い女です。

阿部真理子

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