依頼者 妻 大内洋子(34)専業主婦
対象者 夫 大内久幸(37)大手信販会社 K支店長
調査目的
夫の退勤後の行動調査
相談概要
夫が深夜に帰宅する。週末も家にいない。「そんなに忙しいの?」と聞くと「書類整理をしている。仕事柄仕方ないだろう」と怒りを含んだ返事。夜電話すると不在の時が多いので追及すると「集金に出ていた」、「顧客の接待していた」と言い訳する。夜の夫婦生活も「疲れている」からと極端に少なくなった。心が家庭に向いていない感じ。女がいると思うが確信はない。
夫の浮気騒ぎは過去に何度かあったので、「またか」とうんざりする。夫婦のこれからの事、子供の将来のことを考えると憂鬱な日々。精神的に高揚感が無くなり、吐き気・気が沈むなど「うつ」うつ症状のため心療内科に通院している。夫の浮気が発覚するたび耐えてきたが、精神的に限界が来たようだ。夫の行動の実態をみて進路を決める。
調査結果
対象者は、同会社の別支店の独身女事務社員・山川紀子と交際していた。夜の9時過ぎ暗闇の公園路地で合流してラブホテルへ直行。0時過ぎに公園に戻りそれぞれ車で帰路に就くパターン。その公園とラブホテルは建物の構造、道路状況など張り込みが難しい。依頼者に撮影不能の状況を説明して一計を立てた。「実家の母親が寝込んだので看病のため5日間留守にする」(注・事前に実家親に事情を説明しておき、夫が在宅の深夜実家から電話をさせた)。
依頼者はベットルームに音声起動式のボイスレコーダーをセットし、探偵に部屋のカギを渡して帰省した。夜、アパート出入り口の見える近くの空き地に張込んでいると、対象者は紀子を連れて帰宅した。アパートに入る場面。朝アパートから二人で出てくるツーショットを4日分撮影した。
対象者が出勤している間に部屋に入り、ICレコーダの電池を交換し、対象者が山川紀子とセックスしている場面を自撮り撮影したビデオカメラのSDカードをダビングした。
帰宅した依頼者は、夫の浮気はある程度覚悟していたと言え現実に女を部屋に入りたことに茫然自失となった。
処方箋
数日後、夫人は、「私は、幼子を持つ母親として線が細いと思われるでしょうが、夫の行為は今後も許すことはできないと思うし、浮気性も一生治らないと判断した。」と言い、悩みぬいた結論は意外と早かった。
夫と協議離婚する。子の養育費、慰謝料などは後年うやむやになるため支払い条件を「離婚給付公正証書」として公証人役場で作成する。女に内容証明郵便で慰謝料請求する。因みに夫から慰謝料1000万円(500万円は離婚届提出時・残額は分割支払い。この養育費も取決め合意した)。女から慰謝料300万円一括支払い受領。以上の要件は探偵の案による。夫人は短期間でこれらのことを実践して帰郷した。
探偵の眼
これはバブル景気・株価が上昇して経済の狂乱的好景気を言い(1986年昭和61年~1990平成2年)、銀行などの金融機関、サラ金・信販会社など庶民金融も全盛期の時期で、高収入の対象者と女事務員は予想通り相当な預金をしていた。二人の「失楽園」が社内の噂になる事を恐れたこと、二人が結婚をする意思が強かったことなど好条件が影響しました。
そして、ベットの中のビデオ自撮りのSDカードの存在です。夫人は夫に、「貴方が女との場面を自撮りしたSD
カードを持っている。約束を破らない限りは表に出さない。支払いがすべて終わった時点で貴方に返却する」と条件を提示しました。
「うっぷん晴らしができました!!」と依頼者の声が弾んでいました。
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