watanabe
依頼者 夫(31)会社員 対象者 妻 花子(29)主婦
相談概要
妻は結婚以来、「アレルギー体質なので、お風呂は実家の井戸水でなければダメ」という理由で、新婚、出産、育児の今日まで昼か夜に子どもを連れて毎日15キロ離れた実家に行くのだが、用があって電話しても不在の時が多い。実家は林の中の湧水を引水して風呂などに使用している。
最近、サラ金から督促状が届くようになった。夫婦の会話も少ない、いつでも上の空で心が家庭に向いていない感じ。寝室も別々で深夜誰かとヒソヒソ長電話している。何かいつも影があるようで信用できない。子どもが二歳のころ、僕の友達から「お前に似ていないな」と冷やかされたことが妙に引っかかるようになった。
調査結果
花子は、「自然水のお風呂に入るため実家に通う」と夫に申告したのは嘘で、自宅を出ると20キロ離れた町にあるアパートJ荘303号室に直行した。その部屋に35歳くらいの黒澤という男が住んでおり、1週間昼夜交代勤務の会社員だ。花子は男の勤務に合わせて昼か夜子供を連れて遊びに来ていたのだ。洗濯したり買い物したり、通い婚の状態。
ある昼、その男と花子、子どもは車で出かけ、とある集合住宅の一室へ入った。その家は老夫婦が住んでいて、外に漏れてくる会話を聞くと男の両親であることが分かる。
その部屋から60歳代の婦人と子どもが出てきて団地の公園で遊び始めた。二人でボール投げ、トンボ取りを楽しそうにしている光景は、何処にでも見かけるお婆ちゃんと孫の姿であり、子どもは老婦を「婆ちゃん、婆ちゃん」と楽しそうに抱きつく。慣れ親しんで遊ぶ二人の姿を見て交流の長さを感じながら、ビデオ撮影をつづけた。
夕方、男と花子、子どもは老夫婦に見送られ、「バイバイ」しながら住宅を後にした。
依頼者
依頼者と実父に、撮影したビデオを見せて説明を始めた。
ビデオ鑑賞途中で依頼人は父親に、「子どもの顔、一緒に遊んでいるお婆さんに似ていないか?鼻なんかそっくりでないか?」といい、実父も「俺もそう思いながら見ていたが言い出せなかった」と応じた。父と依頼者の顔は青ざめていた。父子が何を言いたいのか理解できた。
私は依頼人と親に「妻が、不倫の子を産んで、夫に隠し夫婦の子として出生届けをする事例は今までにも数件あった。複雑な問題なので冷静に行動するように」と言いこれからの対策を教えた。妻は、夫に疑惑を追及されると、「子どもは黒澤との間にできた子で、夫と結婚する前から関係していて、ずっと情交がつづいていた。黒澤の子にまちがいない」と白状した。
不倫の子の幕引きは大変
不倫の子を産んで、夫婦の間の子として出生届けして何食わぬ顔で四年間暮らし続けたこの妻は、夫と親族及び、妻本人の親族や友人知人に対する最大の背信・背徳行為です。
妻子を追い出した依頼者は、「あの女と子どものことを考えると吐き気がする」と、おぞましい家庭生活を話すことはなくなった。
「妻の挙動がおかしい。何か隠しているようだ」と異口同音に訴える夫の妻を調べてみると、不倫関係がダントツ。出会い系で自由恋愛、援助交際、性風俗勤務、パチンコ、宗教活動などがベストテンです。「何か隠している」と思っている期間が長期化するほど問題は深刻になって行きます。
「あなたの子はだいじょうぶ?」DNA鑑定のNPO法人まで現れました。一昔前は、大学の附属病院で判定期間は数カ月、費用は数十万円といわれ、DNA鑑定まで持ち込むのは、よほどお金持ち夫婦の不倫の子騒動でした。現在は、鑑定期間3 週間、費用は数万円ていど、口腔内を綿棒でこすって検体ケースを返送するだけ、鑑定結果は99.999%という超簡便な鑑定になりました。しかし不倫の子の妊娠は夫婦が疑心暗鬼になる事に変わりは無く、母は産むか堕ろすか誰にも言えず一人悩み続けることになります。子の出生の秘密を終生知らない方が、父親は幸せなのか?母は子の秘密を墓場まで封印していくことができるのか?
私の知る限り、子のDNA鑑定はどのような結果がでても、夫婦と親子の信頼関係に回復不能な深刻な断絶を残しています。
そして不倫の子の出生は、当事者に離婚・認知・嫡出子否認の訴え・親子関係不存在確認訴訟・遺言書・相続・慰謝料・養育費などの避けられない修羅場が待ち受けうけるのです。
不倫の子と父親の親子関係は厄介な問題を含んでいます。
依頼者夫婦は婚姻中に妊娠出産しているので、その子は嫡出子と推定され、夫婦の戸籍に嫡出子として記載されるのです。しかし、妻が不倫して夫以外の男性の子供を妊娠することや、結婚直前まで別の男性と付き合っていて、結婚から200日を過ぎて出産したとしても、前の男性の子供の可能性があるなど(妻花子はこの事例に合致)嫡出子推定には実態に則さない問題があるのです。しかし一度編成された戸籍の訂正は簡単にできません。
夫は、DNA鑑定など親子関係が否定された証拠に基づいて嫡出否認の訴を家庭裁判所に提起することができるのですが、これは子供の妊娠中又は、出生後1年以内に限られており、この訴も断念しました。
次に、親子関係不存在確認という訴訟ができます。今回は妻も子(母が法定代理人)も協力的なので上手くいきそうですが、母子は、血液型鑑定やDNA鑑定を拒否することができ、強制することができません。
私は、「不倫の子出産後の始末」を何組か見てきましたが、年月が経過するほど難しくなっていきました。5年、10年、15年と経過していくと協力的だった関係人や当事者が身分や財産関係など環境の変化を好まなくなって(損得勘定が働き)、親子関係、戸籍について触れたくない心境に変化していくようです。
しかし、不倫の子の母親、血縁の父親、戸籍上の父親の死亡、不倫の子当人の死亡によって時間が経過するほど相続と一族の人間関係が複雑になる一方です。不倫の子の親は、自分の蒔いた種は自己責任です。きっちりけじめをつけなければなりません。
DVの相談は全国共通の電話番号0570-0-55210
被害者Y子(28)さんとその父親(56)はともに私の古くからの知り合いです。
平成13年9月(2001年)に発生した事件で、父親の説明に基づき記事にしました。
なお、平成11年10月26日(1999年)に埼玉県桶川市で女子大生猪野詩織さん(21)が知り合った男性との交際を断ると執拗なストーカー行為を受けた挙句、JR桶川駅前で白昼刺殺されるという事件が発生しました。
埼玉県警の被害者に対する対応の不手際が大きな問題となり、平成12年5月(2000年)ストーカー行為規制法が成立し「付きまとい行為」を続けた者を告訴することができるようになりました。それまでは「つきまとい行為」そのものを罰する法律はなかったのです。
Y子さんのストーカーによる拳銃殺害事件は、ストーカー規制法が成立した直後の事件です。警察に相談していればストーカー男の危険な前歴が判明できたので、お店もY子さんも別な対応が出来たかも知れなかったことが悔やまれます。
事件の概要
Y子さんは離婚して、4歳の子とアパート暮らしをはじめました。子どもを託児所に預けてスナックの雇われママの仕事。その店へ客として現れたのが山田健二(仮名・43)。山田は、美人で愛嬌のあるY子さんに一目ぼれ、毎晩通いつめプレゼント攻勢、閉店後の待ち伏せ、「送っていく」の誘いが続き、隠していたアパートも突き止められた。
山田は外見おとなしく優しいタイプなので、Y子さんも従業員も最初普通の客として接客していたが、男の付きまとい行為の異常さが怖くなりY子さんは、お店の経営者(58)に相談。経営者は、山田に付きまとい行為を止めるよう忠告した。その数日後・・・、注意されたことを逆恨みした山田は、経営者宅に拳銃をもって現れ経営者を射殺(命乞いした奥さんは許した)し、その足でY子さんのスナックへ乗り込み店内で開店の準備をしていたY子さんの正面に立ち無言でY子さんの眉間を撃抜いた。
山田は犯行後市内の小高い公園に車で逃走し、休憩小屋で拳銃自害した姿で捜査中の警察官によって発見された。
警察の調べで山田は過去に妻を包丁で殺害し、無期懲役の判決で下獄、15年目に仮釈放で出獄して1年くらい経過して今回の殺人事件を起こしたのです。
Y子さんの父親は、「娘は、お父さんと暮らす家を建てるため一生懸命働くからね・・・」と口癖に言っていた。「あの男が、前回の事件で死刑が無理なら、一生刑務所から出られない終身刑があったら娘は殺されずにすんだのに」と、嘆き悲しむ姿が可哀そうでした。
この父親と同じ考えの外国人が読売新聞地方版に掲載されました。その記事の抜粋です。
終身刑創設求めバイク行脚
妻子失くしたストッキさん 県庁で協力呼び掛け
仮釈放のない終身刑の創設を訴えてバイクで全国行脚している京都市の建築材輸入業、ストッキ・アルベルトさん(51)(スイス・イタリア国籍)が県庁を訪れ、署名運動の協力を呼びかけた。
ストッキさんは2004年5月、宮崎市の自宅を盗み目的で侵入した男に放火され、妻の公子さん(当時46)と二女の友里恵さん(当時12)を亡くした。男は無期懲役が確定したが、ストッキさんは「10年か20年たてば仮釈放される。日本は刑法が軽い、無期懲役と死刑の間に差がありすぎる」と考え、オートバイで全国を巡り、終身刑の創設を訴えている。
ストッキさんは「法律ができるまで活動を続けたい。33年前に来日した時、日本はもっと安全な国だった。昔の姿を取り戻してほしい」と話した。
外国人が今の日本の治安の悪さを憂いて、刑法改正のためバイクで全国行脚、署名活動をしています。平和ボケしている日本人は襟を正さねばならないと思います。
依頼者 夫 窪田松雄(31)自営 対象者 妻 窪田美由紀(28)専業主婦 幼稚園児あり 仮名
※これは事件簿を参考にしたフィクションです。
相談概要
夫とその母親の言
嫁は、現在妊娠6カ月、三つ指ついて親に挨拶し、丁寧な言葉を使う。家事もちゃんとしている。一見して真面目な嫁さんだが何か影があるのが気にかかる。女の私にだけ感じるものがある。(姑)
真面目な妻を信じて疑ったこともなかったが、ある日サラ金から督促状が届いて驚いた。妻は、「友達に名義を貸しただけ」の一点張り。 サラ金の件があってから様子を見ると、自宅をいつも留守にしている。評判の悪い主婦たちと交際していることもわかった。会話中にハッとする意外な言葉を使うなど不審なことがいろいろ出てきた。まさかとは思うが、妻が妊娠したころにセックスした覚えがない。(夫)
調査結果
美由紀が外出中に、家庭の電話に盗聴器をセットした。現在のように携帯電話が普及していない時代「電話盗聴」は最も確実に在宅者の状況が分かる方法だ。数日後、妻が留守中に外部と交信した自動録音機を回収し、依頼者の両親宅でテープを再生した。
再生テープ
女友だち。「もしもし、イャー昨日はよく出たネー、今日も同じ時間に行こうョー。ところであれから健くんと会ったの・・・で、やったの?アンタラもすきだねー アンタほんとに 腹の子産むのかよ、健くんなんて言ってるの? ダンナにバレないの? 大丈夫かよ・・・」。
美由紀。「・・パチンコ儲けた金でラブホ直行したよ。・・・もう6カ月になるもの中絶できないジャン。健も産んでもいいって。あれは(注・夫のこと)トロイから お腹の子のこと バレないと思うんだ それと健とあれ、同じ血液型だから わかんめぇ ヤバクなったら DNA鑑定なんてやられるまえに 逃げちゃうょー。 健も いつでもわかれて来い 待っているからって もう芝居も疲れたから この子産んだら 出て行こうと思ているんだ ・・」。
探偵の眼
依頼者は、盗聴テープの内容から、「健」の勤務先を割出して退勤を待ち伏せ拉致し、両親宅へ連れてきた。倉庫内で依頼者は、健に激しい暴行を加えた。息子の無念さを知っている両親は暴力行為を制止しなかった。
数日後、健は両親と窪田宅を訪問して、窪田夫婦の家庭を崩壊させた慰謝料として相応の金銭を差し出した。なお、健の言によると、「パチンコ店で知り合って交際を始めた。美由紀は妊娠5カ月までひた隠して、5カ月経過して、中絶はできないと告白された。」「美由紀さんに離婚を進めたこともないし、僕がいっでも待っているから、などといったこともない」「あの人は、窪田さんと離婚して、僕と一緒になると勝手に思い込んでいたようですが、年の差もあり、子持ちの人と僕は結婚する意志はまったくありませんでした」。
美由紀は、窪田家から追放された。年下の男をつまみ食いした不倫の、代償は大きすぎたようです。
依頼者 妻 砂田晴美(26)会社員 対象者 夫 砂田秀樹(28)会社員 仮名
相談概要
離婚調停・裁判に提出するため結婚生活が分かる申立書の作成
夫の性格的な問題
手短な例を挙げると、夫は車の走行中ウインカーを故意に点灯しないで、急ハンドルを切って、右折・左折をする。対向車や後続車を挑発するためなのか、同乗の私に不満を表す手段なのかわかりません。また、突然猛スピードを出したり、凹凸の道路を猛スピードで走り抜け、その弾みで私の頭が車の天井に当たったこともあります。信号無視や無謀運転を何度も繰り返すなど、キレると自制心が無くなります。
家でも、外食でも、止めなければ限なく暴飲暴食をします。その姿は何かに取りつかれているようです。
夫に、生活上の悩みなどを相談しても一切無視され、逆に数時間にわたって自説の主張が始まり、私が同調しなければ激高し、素直に聞いていない。返事が無い」と、正座させて明け方まで説教を続けます。
自分は「偉いのだ」という自意識が過剰です。私が残業や仕事疲れで帰宅しても全く家事を手伝おうとしないで、不機嫌を露わにして酒をのみながらテレビを見て夕食を待ち続けます。
夫婦げんかしたとき、電話で泣きながら義母に相談すると、私の考えなど全く無視して、夫の言動を正当化します。また、夫の実家に行くと、息子自慢を何度も繰り返すので、私は辟易して相槌を打たないと、母子で怒りを露わにします。義母は、私に挨拶の仕方から、服装、口紅の色など口うるさく干渉します。
別居した経緯
結婚して、1年2年と経過して、夫の性格がよりはっきりとわかってきました。自己中心で冷淡、陰険で執念深いです。理屈やで、すぐに激高する、私の失言や家事のこと、義母との会話の些細なことに揚げ足を取って激怒し、同じことを執拗に繰り返して追及します。母に対する依存心が強く、何事でも母親に報告しています。自立できないくせに自尊心が高く、露骨に私と実家を見下した態度をとります。
夫の横暴がひどすぎるので、夫の叔父さんに相談したことが義母に伝わり、「余計なこと言うな!」と怒鳴られ、私の意見を述べると「何時からそのような口をきくようになったの!」と、ヒステリックに怒鳴り一方的に電話を切りました。
ある日の夫婦喧嘩中に、夫に殴られ、泣きながら私の親に電話中、電話線を引き抜いて電話機を隠して、私に襲い掛かって首を絞めました。
手足にアザができるほど部屋中を引きずり回され、首や頭、体を押さえつける暴行は日常茶飯事です。
殴られて、泣き叫ぶ私を台所へ引きずって行きガスの元栓を開いて、私が恐怖で静かになるまでガスを放出したこともあります。
また、凍てつく冬の夜中、部屋から引きづり出され、「今後俺に絶対服従すると、謝るか」、「服従できないなら実家に帰れ!」と、3時間にわたって正座させられて責めを受けました。
服従するか離婚か、迫られる
私も性格的に強い面があり、夫婦諍いの原因の一つがあると考えて、ある夜の話し合いで、夫に謝罪し、「これからも結婚生活を継続していきたい」と言うと、「では、今晩のうちに俺の両親のところへ行って、『これから一生貴方方のお世話をさせてください』とたのむこと」。「両親と和解できたら、ただちに両親と同居すること。しかし、そうなっても俺はお前に愛情はまったくないから、家のため奴隷のように働いて親戚一同に認められなければならない」と、条件を突き付けました。とうてい受け入れることはできず、態度を保留して私の実家に帰り別居生活が始まりました。
別居中のできごと
私が、夫と義父母に恭順して離婚を避けるか迷い、「とにかくこのような(別居)になったことをお互いの親に謝ろう」というと、「冗談じゃねえ!お前と両親が俺と親のところに頭を下げに来るべきだ。俺は、自分の親が一番大事で、お前に愛情のかけらもない。」「お前は、俺が一生を台無しにする価値もない。傍にいるだけで身の毛もよだつ。」「長男なのに、親戚や近所に取り返しのつかないことをした。早く離婚しろ、と親も促しているのだ」と、選択は離婚しかない態度です。
夫は、私を再三呼び出して、離婚届の用紙に署名をもとめます。
私は、性格障害(パーソナリティ障害)の夫を心底怖いと思います。しかし、理不尽な夫側の離婚要求に同意できません。
依頼者 妻 伊藤公子(58) 対象者 夫 伊藤一樹 (62)無職 人物 仮名
相談概要
夫が交際している女は誰? 子供は夫の子か、女の連れ子か?
これからどんな人生になるにしても、実態をしりたい。何を考えているのかわからない、つかみどころのない無口で冷淡な夫。「何か話すことはないのですか」と、会話を誘うと「別に何もない」と吐き捨てるように言うだけ。夫は56歳で希望退職した。夫が現役の時はダム工事現場に長期単身赴任が多く、現地で自炊生活の時付き合っていた女がいた。結婚してから現在まで、夫から給料とボーナスをいただいたことが無い。私の実家の母親の援助で生活してきた。
「家庭に給料を入れないならどうして家庭を持ったの?」と、質問するとすごい形相で殴られ、それ以来怖くて夫を怒らせるような言葉は使えなくなった。結婚してから事あるたびに、「出ていけ!」と言われたが、3人の子供から父親を失くするのが不憫で我慢してきた。会話もなく無視されつづけ、気に入らないと食事もせず、近所から弁当を買ってこれ見よがしに食べることも度々。私の姿を見ると何が気に入らないのか、舌打ちしたりため息をついて、家の中の空気を一層憂鬱にする。
今になって考えると、早いうちに離婚して母子家庭になっていた方が良かったと後悔ばかりしている。子どものため、と耐えてきたが、子どもは冷酷な父親にまったく馴染まず高校を卒業してみんな外に出てしまった。
今日まで父子の対話どころか、父親を憎悪しているのが分かる。
私が帰宅すると不在の時がある。無言電話があり、あいては私の様子をうかがっている。子どもたちは、「親父に女がいると思う」といつも言っていた。
ある日、夫が墓地を買う話をしたので、「自分の墓は自分で買う」と反発した。「わたしが死んだら夫のお墓にだけは入れないでほしい、一生のお願いだから。」と、子どもたちに遺言した。空虚なだけの人生だった。死んでからもこんな夫と墓に眠るのはまっぴら。
生活費の苦労、女のこと、何年生活しても心の隔たりは埋まらず、今日まで我慢してきたがもう精神的に限界なので、はっきりさせて生き方を決めたい。
調査結果
省略
探偵の眼
夫の単身赴任時の浮気事件。給料、ボーナスを渡したことのない金銭への執着。出ていけ!となじられ、無視され、舌打ちされ続けた精神的暴力の日々。対話のない冷え切った家庭。奥さんの心の平安はなかったですね。
同じような環境の中年女性の相談が目立ちます。今日まで子どものためと頑張ってきても依頼人の年齢になると緊張していた神経も体も限界にきて、崩れてしまうのでしょうか。
主人が定年の生活に入ると、昔のいやな思い出(心の傷)がよみがえり、夫の在宅が倍加して負担になるようです。「今までの人生は虚しすぎた・・・」静かにため息をついて空をみつめる姿が痛々しいです。このご婦人は、ストレスに満ちた結婚生活でした。
依頼者 母 守山初子(57) 人物等は仮名
相談概要
大手電気会社に勤務する息子(30)は、たびたび山陰地方に出張し、鳥島美佐子という女性と知り合った。やがて、「結婚を前提にして遠距離交際をしている」と言い出した。息子の話。「その女性は、20歳で結婚して子供は3歳で病死。夫は酒乱で働かず水商売に出て養った。男と離婚したが、彼女の実家は継母とその子供がいて、帰れない…。世の中には苦労の多い可哀そうな人もいるんだね。」と、世間知らずの息子はしきりにその女に同情する。
暇さえあればメール交換と電話している。あまりほめた女性でもなさそうなので、交際に反対すると、それまでは、母思いで明るくて優しい息子だったのに態度が一変し、「いちいち親に指摘される歳でもない。干渉するのは止してくれ!」と、くってかかるようになった。会話の弾む楽しい食卓だったのに、家の中は無言で暗くなってしまった。
息子は女に騙されていると思う。どんな女なのか知りたい。できれば息子の交際を壊せないでしょうか。
よろず相談室が動く
現地に飛んだ。鳥島美佐子の戸籍を入手してから実家を探し出し、近隣にある酒店の主人に話を聞くことができた。美佐子は地元で評判が悪すぎ、小さな市内で美佐子のことを知らない人がいないという。そのため結婚相手を選ぶのに、自分の過去を知らない遠方の人を標的にしていたようだ。
現地から、美佐子の知人を装って守山太郎の母親に出した手紙は、酒店のご主人の情報を元にして、同行した女性スタッフが手書したものです。太郎の父親はすでに亡くなっているのですが、そのことまで知っているのは不自然のため、あえて「ご両親様」として投函したのです。
やがて守山宅に鳥取県の小さな町から、女性名の手紙が届いた。
その手紙を読んでからの息子は、内容を即座に理解したようで、「もとの優しさが戻った」と母親から喜びの連絡がありました。
前略
ご両親様、突然のお手紙失礼いたします。
鳥島美佐子のことで是非お知らせしたいことがあります。私は、美佐子を中学時代からよく知っているものです。美佐子の両親は近所の鼻つまみ者で、母親は美佐子が小学六年の時、男と家出しました。美佐子が中学一年の時継母が入ってから生活はますます荒み、喫煙やシンナーなどで補導されるようになり、中学三年頃は暴走族に入り不登校になりました。この頃に妊娠中絶した噂もありました。進学はせず、荒んだ生活はますますひどくなり、17歳ころは入れ墨のチンピラと同棲し、覚せい剤で逮捕されたこともあります。18歳で出産した子供は精神障害児で、3歳で亡くなりました。男が覚せい剤で逮捕されたのを機に、同棲を解消してスナックで働くようになりました。
ここからの内容は、美佐子のお店で働く私の友達、富士子から聞いた話です。
美佐子は長期出張客などに近づいて肉体関係を結びます。男性が美佐子の素姓にうすうす気づいて避け始めると、「妊娠したから中絶費をよこせ」「私はヤクザの情婦だ」と脅して手切れ金を強要しています。次々と客を騙している美佐子に、ホステスたちは反感を持っているのですが、美佐子の裏行為の確証がないためママは何も言えないのです。
ある日、美佐子が「一流企業の社員と結婚する」と、自慢げにお店の同僚に守山太郎の名刺を見せびらかしました。お客で何度か来店した太郎さんを知っている富士子は、名刺の自宅住所を暗記しました。富士子から、太郎さんの話を聞き、私は手紙を出すことに決めたのです。
息子さんは騙されています。美佐子は危険で怖い女です。
阿部真理子
登場人物 全員仮名
夫・白石 守(56)自営 妻・咲子(54)会社員 長女 みどり(28)
夫・櫻井 淳(58)会社員 妻・雅子(54)外交員 長男 一雄(30)銀行員
相談概要
依頼者 白石咲子さんが来所。夫・守は駅前で設計事務所を経営している。夫は、昼時間は自宅に戻って昼寝して休んでいる。過日、布団の敷布の上に女性のものらしい髪の毛が落ちていた。不審に思って、二~三日後、更に二~三日後に押入れの敷布団を見たら、やはり長い髪の毛と、陰毛らしいものが落ちていた。夫が、昼休み時間に女を連れ込んでいるらしいことを考えると気が動転して、倒れそうになった。
ある日、昼休みが終わる1時頃、自宅の様子を見に車で行く途中、夫の車とすれ違った。夫の助手席の女は、私の車を見てあわてて膝先に体を屈して隠れたが、一瞬その女を見た。
助手席の女は、私の長女 みどりの夫 一雄さんの母親・雅子に違いなかった。頭が真っ白になり思考が凍りつき、車を側溝に落としそうになって止まった。市内の娘のところで体を休めた。娘から、「それが本当なら大変なことだが、事実をもっと確かめるまで口外しないように」と口止めされた。
夫に、その日の昼下がりのことは問わなかった。夫も、何事もなかったような態度をとった。
一雄とみどり夫婦は、市内のアパート暮らし。同じ銀行員の職場結婚で、みどりは寿退職して、現在妊娠7カ月になる。
数日後、咲子さんと娘みどりさんが深刻な顔で相談に訪れた。「父親・守と、一雄の母親 雅子の不倫が事実だとすると、親戚関係は解除、つまり、私と一雄は離婚せざるを得ない。お腹の子は7カ月になるので中絶して離婚と言う訳にはいかない。神経もずたずたになっていく感じがする。いまは、どうしても父親と、相手の母親の関係の真実を知りたい。」と、悲壮な感じの訴え。
調査結果
対象者は、女を乗せて妻と対向車ですれ違ったため、警戒して昼時間女を自宅いれることはなくなった。平日の昼やすみ、対象者は事務所を出て街角に徒歩で向かう。ある場所に女性が運転する車が停車しており、対象者が乗り込む。車は郊外のモーテルに直行した。午後三時、女の運転する車がホテルから出た。翌日も、翌々日も全く同じ行動だった。
対象者が女の車に乗り込む姿。女の車がモーテルの駐車場に駐車している場面。モーテルから出てくる車中の二人。車から降りて事務所に向かう対象者の姿、など一連の流れをカメラに収めて依頼者に報告。
写真を見た母子は、「あ!」と絶句し顔から血が引いていくのが分かった。やはり、父親の浮気相手は、夫の母親だというのだ。
探偵の眼
娘夫婦、その両親六名の間で壮絶な罵り合い、沈痛な話し合いを三日間行った結果、両家の親族関係を断絶すること。娘は父親と、息子は母親と絶縁する。みどりと一雄は婚姻を継続する。守と咲子、淳と雅子夫婦はそれぞれに慰謝料の請求はしない。ということでとりあえず収まりました。
身重のみどりさんが、人生の岐路に立たされた事件でした。
依頼者 妻 佐藤ゆりえ(35)パート勤務 対象者 夫 佐藤健二(36)会社員
長男 中学1 長女5
相談概要
夫は一部上場会社の係長職で、パートの婦人たちに囲まれて仕事をしている。マイホームを建て親子4人暮らし。過去に二度浮気がばれてその主人に怒鳴りこまれたことがある。その時夫は、心から私と両親に謝罪してくれたのでけりがついた。
それから数年たった今。「お前はここから出ていけ!お前は気持ちが悪いんだよ!お前にうんざりしている。俺に干渉しすぎる、うるさすぎる、小遣が少ない、もうやっていられない」。「早く離婚の条件を出せ」と、毎日のように罵詈雑言を吐く。子供たちに私の悪口を吹き込み、中学の子は情緒不安定で不登校になった。
家で食事を全くとらなくなった。毎日、残業とか会議だと言って夜中に帰宅する。土曜日曜は公休出勤と偽る。夫の携帯に「綾香お休み。明日のお弁当が楽しみ」と送信メール。「旦那さんのくるまに女が乗っているのを見た」と、知人が教えてくれた。絶対女がいるとおもう。
夫の両親も、夫に加担して私を攻撃する。
マイホームを建て、子供たちの為にも今は離婚の決断ができないでいるが、ここまで破綻した夫婦の心を修復するのは難しいと思う。離婚が避けられないなら、私が悪者のままでは悔しい。夫の不倫を暴いて証拠を両親に突き付けてやりたい。
調査結果
対象者の職場のパートさん小林綾香(仮名32)と失楽園していた。綾香の夫は全国チェーン・ファストフードの店長として他県で単身赴任している。小学5年の女の子を近所に住んでいる親に預けて、毎夜、深夜まで健二とデートしていた。週末はモーテルに昼から夜中まで入り浸っている、徹底した不倫熱愛ぶり。
探偵の眼
「マイホームを建て、家庭と仕事一筋の夫だったのに・・」と妻は嘆く。
妻は、夫を立ち直らせてもう一度やり直そうと、義父母と仲人さんに仲裁を頼んだが、逆に悪者呼ばわりされ、修復は失敗。
この男性のように「真面目一徹の人」が脱線すると修復がきかなくなり、家庭をあっさり投げ出す夫たちをずいぶん見ています。溺愛していた子どもに対しても急変し、父親がママと自分から離れたことを見抜いた5歳の女児が、布団の中で忍び泣いているママに、「ママ泣かないで、わたしパパがいなくてもいいから・・」と、慰めた事例がありました。
夫の両親が、嫁さんを悪者にするのは離婚紛争時の常です。日頃、嫁さん側に立っていても紛争になると急変します。離婚は、金銭のやりとり、子どもの親権と監護、知人や近隣の眼、親族も巻き込む両家の争いになることもあり、どちらも身びいきするのは人情なのでしょう。
この不倫男女は、それぞれに家庭を持ちながら、まるで独身感覚でむさぼりあうようにデートを繰り返していました。「家庭を持っている」という自意識が失せ、勤務先や、インターネット出会い系サイトで不倫交際する夫、妻が急増しています。形骸化していく家庭の姿が悲しいです。

調査目的
別居中の夫の浮気調査
相談概要
亜里沙さんは医師の夫と同じ病院に勤務する看護師。夫の女狂いで、精神が壊れそうになり里帰りして別居養生中。夫の、並外れた浮気性は一生直らないと思うので離婚を決意した。不貞の証拠を撮って高額な和解金を取りたいという相談。
夫は、今わかっているだけでも4人の看護婦と関係している。ラブホテルで撮った女の裸体の写真や、性交しているビデオも隠し持っている。ある女から、「浮気してはダメよ奥さん可哀そうだから」などと、留守電にわざとらしいメッセージや無言電話も度々。妻の立場を無視する看護婦たちからの電話による嫌がらせのダメージは大きい。夫が、意図的に彼女たちに電話させているか、黙認しているのだと思う。
深夜の帰宅や朝帰りは日常茶飯事。「夫婦でいる意味がないね。」といっても無視する。「自分から離婚を口にすると慰謝料を多くとられるから」と、夫の計算高い本心を他の先生が教えてくれた。病的と思える夫の女癖の悪さについていけない。愛情も冷め、医師としての信頼感も失せた。
妻としての存在を無視され続けている。この屈辱的な生活にピリオドを打つ。有利な離婚をするため不倫の確実な証拠をとりたい。
調査結果
依頼者の心身静養の別居は2カ月になる。夫が住むマンションの鍵を持っているので、夫の勤務中に部屋へ入る。女のパジャマ、化粧道具などが入った「お泊りセット」 のケースを撮影。浴室、排水口の女の髪の毛を回収。ベットルームにテープレコーダーをセットした。2日おきにテープと電池を交換するためマンションに通う。20日間に回収したテープは2時間録音で5本。マンションの隣の駐車場を借りて張込み、対象者のマンションに女が出入りする場面を撮影した。女は、依頼者と同じ病院に勤務する看護婦で、休日にはデパートなどに二人で出かけ同棲の状態。
探偵の眼
依頼者の父親が相手方と離婚の交渉にあたった。夫の浮気癖で、心身がぼろぼろになるまで苦しみ、「もう限界」で、夫の不貞を理由に調停・裁判では金銭的に満足な額を得られることはありません。慰謝料などは苦しんだ妻たちが驚くほど低額の水準です。
夫の身分(職業、社会的地位、財産状態)によっては、調停・裁判よりも、協議離婚を選択した方がはるかに高額な慰謝料を得られる場合があります。有名人、芸能界の離婚劇を見ればそのことが分かります。
依頼者の父親は、その辺の事情を承知しており、都内の有名病院の医師としてのモラルの欠如について圧力をかけ続けました。医師は、自分の行状を表沙汰にしないことを条件に、依頼者が満足な回答を提示して和解しました。
医師と看護師の失楽園に目くじらを立てる方が、時代遅れと言われそうな風潮になっています。それなら、婚姻中に離婚が避けられない夫であると見極めた時点で、離婚を想定して自分名義で蓄財に励むべきです。これを「計画離婚」というそうで、自立できる資格を取得したり、預金通帳などは実家に管理してもらい生活費をくすねて親に送金したり、人脈つくりに励んだりしている賢い夫人たちが多くなりました。
依頼者は、協議離婚が成立した途端にうつ状態が治ってしまい。東京の有名病院に就職して快活な生活に戻れたと報告がありました。
父親死亡後の認知
依頼者 伊藤君子(33・仮名)
依頼者は、建設会社・商事会社社長石田力蔵(45・仮名)の愛人である。石田の子を産み、生後6か月のとき、父、石田は子を認知しないで急死した。「社長の奥さんから、少し養育費を援助してもらえないか交渉してほしい」、との無理な相談。
しかし、子の、父親の死亡後でも認知する方法がああると弁護士さんから教えてもらった。
死亡した父親と生まれた子が、親子である関係が客観的に証明できる「生活上の出来事」の証拠を収集するのです。妻帯者・石田力蔵とアパートに住む伊藤君子は、数年来の愛人関係にありました。出生した子は二人の間に生まれた子であることを推定できる証拠を収集して裁判資料として提出した。
民法787条 認知の訴え
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴を提起することができる。但し、父または母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
伊藤君子さんの事例では具体的に、子の母親(法定代理人・君子)の代理人弁護士が原告(認知の提訴をする)となり、被告は検事(死亡した父親の役目)の間で裁判をするのです。
「二人が愛人関係」にあったことを証明(推定)できるもの
1 君子の住んだアパートは入居の際石田が家主と契約していたので、建物賃貸借契約書の写し。
2 アパートの毎月の家賃と生活費20万円は、石田から君子の銀行口座に振込み送金されていた。君子の預金通帳の写し。
3 アパートの君子の隣室の夫婦に、石田力蔵の写真をコピーした用紙に「この人が伊藤さんの部屋に出入りしたり、泊まって朝帰りする姿を度々見たことがあります」と書いた上申書。
「石田と伊藤君子の間に生まれた」ことを推定できるもの
1 君子が保管していた、石田が病院に支払った分娩費用の領収書。
2 石田の関係者から頂いた、出産祝い袋と、祝い返しを買ったデパートの領収書。
3 お宮参りの記念写真
認知裁判は、1回の公判で結審し認知を認める判決を得た。
子の、父の死後3年以内に「認知の訴」を起こすことを忘れないでください。
私は、子と伊藤君子さんの代理人として、子の認知された戸籍謄本を持参して、石田の妻と交渉して石田力蔵氏の法定相続分の相続財産を得ました。