父親死亡後の認知
依頼者 伊藤君子(33・仮名)
依頼者は、建設会社・商事会社社長石田力蔵(45・仮名)の愛人である。石田の子を産み、生後6か月のとき、父、石田は子を認知しないで急死した。「社長の奥さんから、少し養育費を援助してもらえないか交渉してほしい」、との無理な相談。
しかし、子の、父親の死亡後でも認知する方法がああると弁護士さんから教えてもらった。
死亡した父親と生まれた子が、親子である関係が客観的に証明できる「生活上の出来事」の証拠を収集するのです。妻帯者・石田力蔵とアパートに住む伊藤君子は、数年来の愛人関係にありました。出生した子は二人の間に生まれた子であることを推定できる証拠を収集して裁判資料として提出した。
民法787条 認知の訴え
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴を提起することができる。但し、父または母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
伊藤君子さんの事例では具体的に、子の母親(法定代理人・君子)の代理人弁護士が原告(認知の提訴をする)となり、被告は検事(死亡した父親の役目)の間で裁判をするのです。
「二人が愛人関係」にあったことを証明(推定)できるもの
1 君子の住んだアパートは入居の際石田が家主と契約していたので、建物賃貸借契約書の写し。
2 アパートの毎月の家賃と生活費20万円は、石田から君子の銀行口座に振込み送金されていた。君子の預金通帳の写し。
3 アパートの君子の隣室の夫婦に、石田力蔵の写真をコピーした用紙に「この人が伊藤さんの部屋に出入りしたり、泊まって朝帰りする姿を度々見たことがあります」と書いた上申書。
「石田と伊藤君子の間に生まれた」ことを推定できるもの
1 君子が保管していた、石田が病院に支払った分娩費用の領収書。
2 石田の関係者から頂いた、出産祝い袋と、祝い返しを買ったデパートの領収書。
3 お宮参りの記念写真
認知裁判は、1回の公判で結審し認知を認める判決を得た。
子の、父の死後3年以内に「認知の訴」を起こすことを忘れないでください。
私は、子と伊藤君子さんの代理人として、子の認知された戸籍謄本を持参して、石田の妻と交渉して石田力蔵氏の法定相続分の相続財産を得ました。
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