水戸興信所 探偵よろず日記

依頼者 東條小百合(28)OL

対象者 山下啓二(30)自称・演劇研究生 仮名


調査目的
携帯番号の所有者・住所の確認

相談概要
その男性と出会い系サイトで知り合った。「体調が悪いので治療代を貸して」と言われ、亡き父親の相続金のうちから、治療費と演劇稽古代として合計1000万円渡した。徐々に連絡が取れなくなって不安。騙されているかもしれないので、携帯番号から相手の身元を調べてほしい。

東條小百合のメモ
〇日 Y公園駐車場で男と待ち合わせて初デート。男は自称、東京の劇団所属の演劇研究生と言うだけあって、全体にあか抜けている。こちらから東京の劇団教室に通っているとのことだ。男は、「稽古のストレスが原因で肝臓が悪くなり長期休暇中」とのこと。「実家は貸マンションを数棟と有料駐車場を所有する資産家。僕はいま父親に勘当されている。その父親が病気で先は短い。そうなれば自分は実家に入って遊んで食べていけるので、舞台俳優になるまで稽古に打ちこむことができる。貴女と結婚を前提に真面目な交際をしたい」。

〇日 2回目のデート 食事、ドライブ、車内での抱擁のあと男は小百合につぶやいた。「治療費と薬代、保険が使えない特別な治療をしている。明日支払日なので貸してくれませんか。僕の銀行預金はあるけど、定期預金にしているためおろせない。必ず返します」。200万円渡す。

〇日 ホテルで性交中に急に元気がなくなって、「体調が悪くて・・・金が続かない。週に一度、治療費を支払わなければならないので貸してください」。200万円渡す。

〇日 「誰にも知られたくない、あなたと会うための部屋を借りて静養したい。今までの分と一緒に返しますのでお願いします」。100万円渡す。

〇日 「あなたは命の恩人です。母親にあなたのことは伝えてあります。体調がよくなったら、結婚してください」。200万円渡す。

〇日 「大変なことになった。劇団の俳優研修費を未納にしていたら、今月中に一括納入しなければ除名処分の通知が電話であった。除名されたら私の劇団俳優としての将来が絶たれる。どうか助けてほしい。300万円渡す。

12月31日を最後に、電話もメールにもでなくなった。小百合は詐欺に会った気持ちが過ったが、相手は結婚の約束までしてくれた資産家の息子だ。最初から警察沙汰にはできない。出会い系で知り合った人に騙されたので恥ずかしくて誰にも相談できない。メールがつながる状態なので督促を始めると、「必ず返す。」「病院で治療中。」「病院を追い出される。」「死んでお詫びする。」と、言い訳ばかり。

以下は、月に1回入った男からのメール。
1月 吐血して入院しました。なかなか出られなくてすみません。2月 体調が悪くて何時退院できるかわかりません。3月 (小百合)お金返してほしい(男)それでは返します。(小百合)では、10日までにお願いします。(以降、また連絡が取れなくなった)。4月 病気休暇を取っていたのですが所属の劇団が破産しました。いろいろ忙しいので送金することができません。(小百合)倒産した劇団の名前教えてください。(男)今はムリ。落ち着いたら教えます。5月 退院してとりあえず就職しました。いま仕事で大阪に来ています。これから送金します。6月 就職した会社の社長が自殺したので送金が少し遅れます。貴女に送金する様に、友達に通帳と印鑑渡しておきました。待ってください。

以下は、小百合の強い口調の督促に対する、男の返信。
×日 連絡遅くなりました。わかりました。今病院なので!! ×日 恐れ入ります。今病院なので終わり次第連絡差し上げます。×日 なかなか連絡を入れられなくてすみません。ただ今病院なので終わりましたら連絡差し上げます。返済するのは当然です。間違いなくお返しいたします。×日 ご連絡遅くなりすみません。ただ今体調不良のため治療中です。終わり次第連絡いたします。×日 返済は、知り合いに頼んでおります。病院なので何度も連絡が取れないので。×日 携帯音の鳴りすぎで没収されていました。知人にいつ送金したのか確認しておきます。

以下は、すべて、「友達が送金したかどうか確認を取る」「送金を依頼した友達が印鑑と通帳を持って逃げてしまった」と一点張り。言い逃れできなくなると、「自分の命で償う」と言い訳。男が追い詰められていく心理状態。

〇至急確認します。〇確認の連絡待ちですお待ちください。〇連絡が未だありません。仕事中だと連絡が付かないので、夜に連絡れてみます。〇連絡が取れないので確認次第。〇いま連絡取っています。少しお待ちください。〇携帯を病院に預けられていました。連絡はあったのですが、また取り直してみます。〇いま連絡を待っています。あまり頻繁に携帯が鳴ると没収されてしまうのでお待ちください。〇私の責任です。私にできることは私自身で償うことしかありません。〇連絡はあったので送金の話をしておきました。また、没収されていたので・・このままだと本当に追い出されます。そうなると多分長くは生きられません。〇こちらも大至急連絡を取ります。〇全額振り込むように頼みました。いま、病院を出される話になりましたので。〇わかりました。鳴りすぎると本当に追い出されます。死んでしまいます。〇送金は明日の午前中と話しておきました。〇先ほどから入れているのですが連絡が付きません。つき次第連絡します。〇友達が通帳を持って逃げてしまいました。迷惑かけているのはすべて私の責任です。申し訳ございません。私自身をもって償わせていただきたいのですが。

調査結果と対策
携帯電話番号から男の住所氏名が判明した。依頼者が男に、「あなたが使用していた他の2本の携帯も、二人の女性の住所氏名が分かった。あなたの実家も、わかった。警察に告訴する」とメールを入れた。
男は、「会いましょう。会ってください。二人だけで大事な話をしましよう。借用書も書きます。」と1日何十通のメールが入る。身元がバレた男はかなりあわてている。小百合は全く無視して、「一括返済。期限は二日。」、「あなたの名前は岩下哲三、住所は〇〇。他の2本の携帯の所持者は女性ですね。」「探偵が動いています。もう止めようがありません。」とメールを入れると、翌日、全額銀行振り込みしてきた。

探偵の眼
「実家は資産家」を装って近づき、結婚話をエサに体の関係を持ち、お金を借りる手口は結婚詐欺師の常套手段です。男が使用した携帯電話の2本の所有者は二人とも風俗の女性でした。男は風俗女性のヒモだったのです。男は、住所氏名と実家を暴かれたうえ、「愛人二人に事実を暴露されたら大変」と狼狽したと思えます。小百合さんは探偵の指示通り、「会って大事な話をしましょう、借用書も書きます」の老獪な手口を無視して、「現金一括支払いでなければ警察に告訴する」と、主張を通したことが肝でした。

出会い系の詐欺の予防対策は、相手の情報(車の登録番号、運転免許証、勤務先、携帯番号)などをひとつでも多くメモしておくことです。彼方と交際している男が、詐欺師かどうかチェックの資料として、メールで送られたサギ男の言動を克明に表示しました。

 

 

 

 

 

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