この記事は2017/10/23 ウエブサイト 弁護士ドットコムコーナー においてライターの吉田潮さんが、澤藤亮介弁護士(東京弁護士会所属・新宿キーウエスト法律事務所所属)さんに不倫について取材した記事を転載しました。不倫に関する警鐘についてこれほどわかりやすい解説はないと思ったので丸ごと転載しました。
芸能人の不倫スキャンダルが巷をにぎわせています。信頼、キャリア、仕事を失うだけでなく、お金も家族も失う・・・それが不倫です。頭ではわかっているはずなのに、止められないのは人間の悲しい性。
今回、軽い気持ちで不倫に踏み出してしまったけれど、収拾がつかないひと、または「自分だけは大丈夫」と根拠のない自信で不倫しようと思っている「不倫予備軍」に向けて、本当は恐ろしい不倫の現実をお伝えします。澤藤亮介弁護士に聞きました。(ライター・吉田潮)
●「軽い気持ちで手を出しやすく、発覚もしやすい」SNS
Q まずは、昨今の不倫事情と傾向を教えてください。
A 2003年に弁護士登録しましたが、その当時に比べると、有責配偶者の男女比の差は減り、妻が不倫するケースが増えてきた印象があります。本来、不倫はクローズドなものだったはずです。ところが、昨今の不倫は、普通にデートしたり、友達にも相談したり、SNSに書き込んだり。SNSのおかげで出会いやすくなり、遠距離の交際もしやすくなったのでしょうね。でも、軽い気持ちで手を出しやすくなったことで、逆に発覚しやすくなったとも言えます。
Q 別れ話がこじれたり、浮気が発覚したりして、不倫相手、または配偶者がエキセントリック(常軌を逸した)な行動をとる、というケースもありそうです。
A 「(相手が)会社に来てしまう恐れがある」というご相談はあります。この場合、法的に難しいところがあって、例えば、相手が会社の人事やコンプライアンス(法令遵守)委員会に駆け込むなどしても、それが懲戒事由の報告のような形であれば、違法な行為とは原則いえないんです。ただし、それ以外の目的で、不倫相手の会社に行って「上司を出せ!」とか、勤務中の面会を求めると、後々、その行為が不法行為になる可能性があります。
Q テレビドラマでは、自宅や職場に誹謗中傷のファツクスやメールが送られてくるという話もよくあります。
A 現実でも、たまにありますね。ただ、誰がやったのか特定するのが非常に難しいケースが多いです。逆に特定すれば、賠償請求できるケースもあるのですが、なかなか証拠をつかめないというのが現状のようです。程度がひどい場合は、実際動いてくれるかという問題はありますが、警察に捜査してもらうしかありません。
Q 配偶者にバレて発覚するのではなく、不倫相手に逆ギレされて、報復として性行為の動画をインターネットに曝された事例もありました。
A 私自身、そこまでの案件はさすがにありませんが、不倫関係であることにどちらかが苛立ったり、別れ話がもつれたりした結果、感情的になってトラブルに発展するケースは多いですね。怒りのあまり婚約破棄などの慰謝料請求してくることもありますが、既婚者であることを隠したようなケースでない限り、認められないでしょう。
こうしたケースでは、事態が悪化する前に、和解金の支払いなどを話し合う必要があります。その上で「アップロードしない」「第三者に開示しない」と約束させるしかないでしょう。
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