性格障害(パーソナリティ障害)の解説
19歳少年の放火殺人、離婚した元妻をアパート駐輪場で待ち伏せ殺人立て続けに起きた二つの事件の犯人は「パーソナル障害」(性格障害)者の偏った考えや行動パターンをもつ人間の特徴が表れています。以下、岡田尊司 精神科医・医学博士 著書「パーナリティ障害」から転記します。
生きづらさの背後にあるもの
生きづらさを抱かえている人が増えている。豊かさこそ幸せがあると信じて進んできた時代は終わりを告げ、今、人々は、生きること自体にさえ希望や喜びを失い行き詰っている。
生きづらさや、悩み、不安を抱かえている人がどんなに多いことだろう。鬱や引きこもり、虐待や家庭内暴力、アルコールやギャンブル依存、家庭内不和、絶縁、職場の対人関係摩擦、非行や犯罪さえ他人事ではない。人々は孤独で傷つきやすく、どこか空虚さを抱かえて生きている。人と人とのつながりも昔ほど確かなものではなくなっている。孤独や空虚に悩む一方で、対人関係に傷つけられることが多いと感じている人も少なくないだろう。本当は、人を求めているのにうまくつながれないと感じている人や、愛したいのにうまく愛せない人もいるだろう。人と人のつながりにくさが、余計、現代人の生きづらさや日々の不安や不愉快さを増しているように思う。
なぜ、こんなにも人と人との関係が難しく、社会が住みづらい場所になってしまったのだろうか。一体、人々の心に何が起きているのだろうか。
こうした生きづらさや社会に蔓延する問題の背後には、実は、ある共通する原因が垣間見えるのである。それは、現代人の間に広く浸透しつつある「パーソナリティ障害」という問題である。逆にいえば、現代人全般が抱かえている傷つきやすさや空虚さ、生きづらさは、このパーナリティ障害を理解することで、その本質が見えてくるのである。
職場や家庭、友人、恋人にも
パーソナリティ障害は、自らも苦しむと同時に、周囲を巻き込みやすいという性格を持っている。「パーソナリティ」は単なる個人の性格に留まるものではない。対人関係のパターンや生き方そのものとして現れることで、人とのつながりや、さらには社会のあり方にも影響するのである。
最近連日のように報道されている児童虐待にしろ、ストーカー犯罪にしろ、些細な理由で親子が殺し合う事件にしろ、そこには一つの共通点がある。それは、思い通りにならない他者を、別の意思を持った存在として認められないということである。その人の心に、本来の意味での他者との関係が育っていないため、自分の思い通りになる存在だけを愛し、思い通りにならない存在は、攻撃の対象になってしまうのである。こうした独りよがりな他者との関係は、本論でも述べるようにパーソナリティ障害の人の特徴である。
頻繁にこうした事件が報道されているということは、そういう問題を抱かえた人が増えているということに他ならない。目を引く事件だけではなく、もっと身近な家庭や対人関係の問題、学校や職場への不適応の問題の背後にも、パーソナリティ障害がしばしば潜んでいる。パーソナリティ障害の別の特徴として、過剰な自分への期待と、それゆえに生じる傷つきやすさを挙げることができる。最近、社会問題化している「うつ」や引きこもり、依存症、ギャンブル中毒などにも、こうしたパーナリティ障害の問題が隠れていることが多い。うつにしろ、引きこもりにしろ、依存症にしろ、バランスの悪いパーナリティが、無理な生き方をしてきて、或いは、そうすることを強いられて、その結果として陥っている面もあるのだ。
パーソナリティ障害の特徴
愛を貪る人々・境界性パーソナリティ障害
見せかけの優しさでも欲しい 自殺企図 見捨てられ抑鬱と自己否定感
主人公を演じる人々・演技性パーソナリティ障害
天性の誘惑者で嘘つき チャップリンの少年時代 ココ・シャネルと虚言
悪を生き甲斐にする人々・反社会性パーナリティ障害
他人を冷酷に貪る タブーなき人々 否定されてきた人生 受容体験と無常観
信じられない人々・妄想性パーナリティ障害
裏切りを恐れる 疑り深さと過度な秘密主義 父親殺しと反権力 権力者の病
頭の中で生きている人々・失調型パーナリティ障害
インスピレーション豊かな直感人 人目を気にしないマイペース人生
親密な関係を求めない人々・シゾイドパーソナリティ障害
孤独と清貧な人生 内面は意外と豊か 本当の親しさを求めると失望
傷つきを恐れる人々・回避性パーナリティ障害
食わず嫌いの人生観 トラウマ体験が生む回避 頑張らせすぎた子に急増中
一人では生きていけない人々・依存性パーナリティ障害
赤ん坊型と献身型 一人が苦手 ノーといえない人 無気力な母に縛られた子
義務感の強すぎる人々・強迫性パーナリティ障害
律儀で責任感の強い善人 努力は報われるという信念 捨てられない人
水戸興信所・筆者の感想
開業40年に及ぶ業務の中で調査依頼者及び、調査対象者の人物像は性格、人格、個性、持ち味などそれぞれに個性は個人差があるのは当たり前ですが、中には普通の人とは違う癖のある異質の人達がいました。これらの人々を一昔前は奇人・変人・変わり者という呼び名で表現していたのですが平成12年・(2000年5月)ストーカー規制法が制定されてから、奇人・変人といわれた性格に障害(パーソナルティ障害)を持った人たち(普通の人も同じ)が行う一定の行為は警察によって処罰されること及び、「つきまとい等」の行為を取り締まり、被害者に対してストーカーからの被害の防止のための援助が行われることになりました。
では、ストーカー規制法に関する書物から抜粋します。
ストーカー規制法では、対象となる行為を「つきまとい等」と「ストーカー行為」としています。
「つきまとい等」というのは「特定の者に対して恋愛感情や好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充たす目的で」、「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において親密な関係を有する者に対し」て次の8つの類型の行為をすることをいいます。
① つきまとい、待ち伏せし、道路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、または住居等に押し掛けること。(1号)
② その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと。(2号)
③ 面会、交際その他義務のないことを行うことを要求すること。(3号)
④ 著しく粗野または乱暴な言動をすること。(4号)
⑤ 電話をかけて何も告げず、または拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。(5号)
⑥ 汚物、動物の死体その他の著しく不快または嫌悪の情を催させるような物を送付し、またはその知り得る状態に置くこと。(6号)
⑦ その名誉を害する事項を告げ、またはその知り得る状態に置くこと。(7号)
⑧ その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、またはその性的羞恥心を害する文書、図書その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。(8号)
ストーカー行為は、その実態として、交際を求めたり、離婚後に復縁を迫るために行われることが多く、恋愛感情などに起因することがほとんどである。
水戸興信所・筆者
開業40年に及ぶ業務の中で、依頼者(妻たちや未婚女性)が筆者に調査対象者(夫や交際男性)に関する勤務先、行動パターンの他に性格、人格、個性、持ち味など個人情報を提供してくれます。1999年セクシュアル・ハラスメント、2000年5月成立のストーカー禁止法、2001年ドメスティック・バイオレンス(DV防止法)が施行されてからセクハラ、ストーカー、DVなどの行為は犯罪に当たることはほとんどの依頼者たちは知っています。妻たち、未婚の女性たちから調査対象者に関する情報を聞き取っていくうち、普通ではない性格の持ち主が登場してきます。
調査対象者の行動調査(他の女性との交際状態)を終わって依頼者に状況撮影の証拠を提出すると、「離婚することにしました。」一度の不倫の事実で離婚の決意をする婦人たち。「過去にも浮気騒ぎがあったのです」と浮気性の夫に愛想をつかして離婚する婦人。子供たちのために婚姻生活を継続する婦人たちもいます。
「夫の性格どう思いますか?」と進路を決めかねて相談を受けることも多いのです。前記妻たちから夫の言動を聞いている中で、「この人は尋常ではない」と思える人については調査終了後に率直に参考意見を述べることにしています。探偵に夫の調査を依頼してくる婦人たちは、その事実に基づいて、婚姻の継続又は、協議離婚。協議が不調の場合は調停・訴訟離婚へと進むことは定番なので、「セクシュアル・ハラスメント」・「ストーカー禁止法」・「DV防止法」に関連する書物の中から人物評の情報提供をしています。
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