DV夫と離婚するため、弁護士に提出する「生活の記」
妻 長野知美 (38) 夫 長野 剛 (40)公務員 仮名
1 結婚生活における夫の暴力
1 私の実家に家族で遊びに行った帰り、「新田町へ回って」と、少し遠回りを夫に頼んだところ、夫は突然酒の入った瓶を取り出して私の腰部を思い切り殴りつけた。私は気絶し、しばらくして意識が戻ったが今でも後遺症に悩んでいる。
2 ある夜、突然怒り出し、寝ている私の上布団を取り払い私の体に肘を突き立てて体重をかける、喉元に肘を突き立てる、陰毛をむしり取る、など一つの行為に40分も時間をかけ、11時頃から翌朝4時ころまで暴行を受けた。この暴行は毎夜のように続き、逃げ出しても必ず探し出されて何倍も痛めつけられるのが目に見えるので、毎日おびえながら帰宅した。
一週間繰り返し暴行を受け、全身が痛んで立てなくなった。このままでは殺される、と心底怖くなり、「病院に連れて行って」というと暴行は止んだが、外出できないように裸にされ下着は全部ハサミでずたずたに切られた。病院には行けず、全身にシップして一週間寝ていた。
3 町内を堂々と女連れで遊びまわり、そのことを知り合いの奥さんに指摘されるのが苦痛なので、夫に、「人に言われるのが嫌だからよその町へ行って遊んで」、というと、私の髪の毛をつかんで頭からビール瓶が空になるまでかけられて殴る蹴るの激しい暴行を受けた。
子供がタオルを持ってきて私の体や畳を拭いていると、夫は、革ベルトの金具の部分で子供の頭をめがけて思いきり振り落した。とっさに子供をかばった私の背中に当たり、直径10センチのどす黒いアザになった。子供の頭に当たったら死んでいたかもしれない。子供は主人に聞こえるような大声で「僕があいつを殺さないとお母さんが殺されてしまう」と叫んだ。
4 物を投げつける。足蹴り。拳と平手で殴る。髪を引っ張る。引きずり回す。腕をねじる。突き飛ばす。
生活費を入れない。大声で怒鳴る。実家や友達と会うことを制限する。殴るそぶり、物を投げるそぶりをする。人の前でバカにする。子供に危害を加えると脅す。物にあたる。などの暴力暴言は日常茶飯事で、今私と子どもが無事でいられるのが不思議だ。飼い犬も暴力の対象になり、ことある度に木刀やカマで殴られた傷が絶えずいつも怯えて震えていた。
5 夫が、サラ金・クレジットから1500万円の借金をしていることが発覚した。心配した夫の上司と夫の兄が来て「何に使ったのか」質問されると、「私は一円も使っていない。妻と子供が使った」と答えた。私は、この一言を聞いてやっと家を出る決心がついた。
6 連日、賭け事、飲酒と女遊びで3時4時の朝帰り。生活費もボーナスも入れず、私のパートの給料で生活をしてきた。にもかかわらずサラ金の借金を転嫁するため、上司と兄の前で私を罵りながら出鱈目な話を繰り広げた。
2 別居中の出来事
1 私と子供はとりあえず一人暮らしをしている姉のアパートに同居した。ある夜、夫がアパートに押しかけてきたので鍵をかけると、ドアを壊して侵入しょうとして大きなドライバーを隙間にこじ入れて、「火をつけてやる!」と罵声を上げながら、メリメリ音を出してドアを破り始めた。夜8時から11時までの騒動に、1階住む家族が出てきて立ち会ってくれ、夫と姉が話を始めた。この間、私が夫の兄を電話で呼んだことを知った途端、夫は飛ぶようにして逃げ帰った。
2 翌日、夫はアパートを管理している不動産屋さんに、「騒ぎの原因は、妻が家の鍵や車の鍵を持ち去ったから」と、謝罪もせず弁解した。事情を知っている業者が怒って、「お前頭がおかしいんじゃないか?器物破損で警察に告訴する」というと、青くなってドアの破損代を弁償する誓約書を書いた。
3 夫は、自治会長や近所の人に、「妻と子供が新興宗教に入り家を処分し財産や家財道具一切を持って逃げた」と言いふらした。別居するとき夫の兄が立ち会って所帯道具を分けた。別居中でも毎日嫌がらせに来るにもかかわらず、近所の人には「逃げた妻子の居場所が分からない」と泣きついている。
家庭を破滅させた自覚など全く感じられない。このような外面と内面の全く違う卑怯な人間とは一刻も早く離婚したい。
探偵の眼
妻・長野知美さんは、結婚して間もなく夫の浮気調査に来た人です。その時の結果は女性を日替わり定食のように取り換えて遊びまくっていました。家を新築して子供も生まれたので、夫の女遊びが分かっても離婚に踏み切れなかったそうです。離婚を決意するまで10年近くかかってしまった、と悔しそうでしたが、「夫と別れる目安が付いたので未来がひらけた」と、明るく言った表情が印象的でした。この「生活の記」は依頼者の聞き取りをまとめたものです。
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