水戸興信所 探偵よろず日記

相談概要 
依頼者・内藤明美(35)歯科技工士 対象者 中山靖男(37)会社員 氏名・年齢・職業 共に仮名

 

その男と結婚を前提に同棲をした。男の妻は暴力に耐えられず実家に逃げ帰ったことを後で知った。私が男と出会ったころは、優しい口調の電話の誘いだったが、しだいに誘いが強引で執拗になってきた。30分に1回くらい携帯電話が鳴り、仕事ができないので電源を切ると、職場の有線電話にかけてきて、「どうして誘いに応じないのか!」と怒鳴るようになった。退勤時、男が夕方から駐車場で何時間も待っていて尾行された。住まいが分かってしまうので、もうこれ以上避けきれないと諦め、会ってどんな男性なのか確かめようと考えて食事の誘いに応じた。

それが地獄の始まりだった。

付き合い始めて、普段はおとなしいのに、会話で何か一言が気に入らないとすぐにキレることや、監視ぐせ、電話魔的なことが気にかかったが、反面、「結婚すれば治る。私がなおしてみせる」という安易な気持ちがあった。このような性格の人に出会ったことが無くて、真の恐ろしさが分からなかった。男は、「妻とまもなく離婚する」というので、交際1カ月で男の部屋で同棲を始めた。交際中は酒を全く飲まなかったのに、実は酒乱だった。内心、騙されたと悔やんだが、生活費のこともあって別れを切り出す勇気がなかった。酒を飲み始めると形相が変わり、ちょっとした一言が気に入らないと、顔面蒼白になって爆発的な怒り方をする。怖くて無言でいると、「何が気に入らなくて黙っている!」と更に激高する。その怒りの激しさはいままで体験したことのないものだ。会話しても、無言でいても、気がふれると一方的に殴られた。ある日、「お前が夫と別れてからの男性遍歴を話せ」と告白を迫られて、交際した男性の話をしていると逆上し、殴る蹴る、髪の毛を引きちぎられ、木刀で息の根が止まるほど殴られるなど、狂気の暴行を受けた。

嫉妬深く、被害妄想でもある

職場の話や、男のお客さんの話をすると、「その技工士が好きなのか!」とか、「その客と昼間遊んでいるのだろう!」と本気になって詮索する。私が出勤しているかどうか確認の電話を入れ、退勤後はクリニックの奥様に、「いつも明美がお世話になっています。明美は何時頃帰りましたか」と、毎日退勤時間も確認していた。相手がどう思うだろう、とか、自分はどう思われているのだろう、などの気遣いや恥じらいなど常識は通用しない。

日常的に日本刀や木刀を振り回し、刀の背で力任せに叩かれ手の甲をきられたこともある。体中アザだらけで生傷がたえない。男は、私が逃げるようなそぶりを感じると、「お前の娘が年頃になったら必ず襲ってやる」と脅す。娘を人質にされているようで、逃げる気持ちも失せて、無力感で一杯。生き地獄の日々だ。あの宅間守とおなじ気質だと思う。

私が逃げても実家に預けている子供や、父母が殺されると思う。私が殺されるか、男を殺してしまうか、ギリギリのところまで追いつめられている。

狂人のように暴力を繰り返しても、そのあと「俺を一人にしないでくれ」と、別人のように泣く、同じ男の落差が信じられない。最初は、「心が弱いだけ、ほんとは優しい人」と、暴行を受けても許せる気持ちがあったが、今は、あの男の人格は絶対に治らないと確信している。

探偵の眼 
内藤明美さんは顔、両手足が赤アザ、青アザだらけで正視できないくらいでした。この話はもちろん実話ですが、この内容とほとんど同じ、という加害者・被害者をわたしは相当数知っています。というより、相談を受けています。最初は仮面をかぶって女性にち近づいて、女性が男の掌中に入ってから男は本性をむき出しにします。気を付けてください。

 

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