水戸興信所 探偵よろず日記

watanabe

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探偵事務所に夫の浮気について相談の電話や訪問してくるご婦人方の表情は深刻です。

以下は、妻が夫の調査依頼を決断した原因の数々です。

肌身離さない携帯電話・不信なメール・手帳に暗号や記号が書いてある・電話使用料が増えた・背広やワイシャツに香水の匂い・助手席に長い髪の毛が落ちていた・外泊、深夜帰宅が多くなった・財布にラブホテルやファミレスのレシートが入っていた・・・。

このように直接目にする「物証」や夫の態度、言動の変化に気付いて密かに夫を探偵するのですが、自分の手に負えないことを知って探偵事務所に恐る恐る電話や訪問してきます。妻たちが説明する夫の言動や物証について私たちも「旦那さんは100%クロですね」と確信をもって応えられる相談が大半なのですが、「これ」といったものがなくても「夫は浮気していると思います」という相談者がいます。この婦人方に[どうしてそう思うのですか?」との質問に、「私のカンです」という答えが返る。そして、その依頼を受けてやってみると99%不貞の事実があるのです。残りは、被害妄想の人たちです。

「女性のカンは凄いな~・・・。夫婦をしていればなんとなくカンで分かるのだろう」と勝手に解釈していたのですが、「なんとなくカンでわかる」ことを科学的な
根拠として取り上げたとてもおもしろい特集がありました。下記の記事はそのシリーズの①だけ保存されたもので他の記事は紛失です。

読売新聞 2003年(平成15年)4月1日 科学欄

なぜなの? 男と女 ①
浮気を見抜く「カン」って?

「何を根拠にそう言うんだ」。内心の動揺を押し隠して、夫は努めて平静に言う。妻は夫を見すえ、ここで伝家の宝刀を抜く。「女のカンよ!」
男性たちは考え続けてきた。「女のカン」はなぜ、こうもたやすく男のうそを見破ってしまうのか・・・。
大いなる疑問に、こんな説が出ている。「女のカン」は進化の道筋で生まれた能力ではないのか。
生物は自分の子孫を残すために生きる。自分の遺伝子を世代を超えて継承させたい。人間も、その目的の実現に有利な能力を必死に発達させてきた。

自分の子孫を残すには、男性はより多くの女性と接する戦略が有利だ。一方、女性は、産んだ子を確実に育てる道を選んだ。「そのために一人の男性を選び、自分と子を守ってもらう戦略をとったのです」。長谷川寿一東大教授の説明だ。現代なら託児所がある。夫に育児休暇を取ってもらうこともできる。だが過去、女性には、男性に頼るしか方法はなかった。

子の父親となる相手は本当に誠実だろうか、自分と子の面倒を長く見てくれるだろうか・・・。10カ月の妊娠という多大な「投資」もするのだ。見誤っては大変。
かくして女性は、男性の言葉や表情、しぐさに敏感に反応し、「男の本音」を見抜く能力を磨くことになった_進化心理学ではこういう説が有力で、常識的に考えてもそう思える。

「女のカン」をさらに解き明かせないものか。
女性の言語の理解力について、脳の使い方の違いから迫ったのが、産業技術総合研究所だ。女性と男性に朗読を聞かせ、脳内の血流を調べてみた。男性は左脳だけを使うが、女性は左脳と共に感情などをつかさどる右脳も使う傾向が高いことが分かった。
女性の脳は男性より10パーセントほど小さいが、左脳と右脳とを結ぶ「通信ケーブル」(脳梁・のうりょう)の大きさには差がない。「女性の通信ケーブルは高性能で、短時間に左右の脳を使い、情報を吟味できるようです」。北沢茂主任研究員(現・順天堂大教授)は言う。

独のマックス・プランク研究所の実験では、「言葉の裏」を読むのは、男性よりも女性の方が四倍も早かったという結果が出た。
結びに、英国の著名な作家、キプリングの言葉を紹介したい。「女の推量(カン)は男の確信よりも、ずっと確かである」

世の中には、わからないことが多い。私たちが「不思議だ」「なぜなの」と感じる疑問に科学はどんな答えを出してるのだろう。シリーズの始まりは、男と女の「なぜ」から。



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依頼人 大野真紀子(27)デパート勤務・独身 仮名
対象者 ストーカー男 (この男と妻の名は仮名・職業は夫婦とも学校教員)

調査目的
付きまとい男の身元を調べて対策を立てる

相談概要
 アパートで一人暮らしをしている。半年前から得体のしれない男に尾行されている。勤務先の担当売り場にも電話が入る。最近は姿を現さなくなったが、売り場の私をじっと見ていた背広姿の30歳代の男の仕業だと思う。顔は覚えていない。帰宅時間がまちまちなのに、部屋に帰ると電話が鳴るので監視されているみたいで気持ちが悪い。電話番号をどうして知っているのか気味が悪い。休日は昼夜を問わず無言電話がかかってくる。私の行動記録を書いたメモがドアにはさまっていたり、ケーキを入れた袋がドアのノブにぶら下がっていたり、数本のたばこの吸殻がドア前に捨ててあった。
警察に相談しても真剣に取り上げてくれなかった。

調査結果
依頼人がメモしておいた唯一の情報、男が乗っていた「車番」から所有者・使用者の住所氏名が判明した。
(依頼者は、探偵に依頼する数か月前の退勤時、走行中に後続の車が気になったのでコンビニ駐車場に入ったら後続車も入ってきたため念のため車のナンバーを控えておいた。その時はストーカーとは思っていなかったため運転者の顔の確認はしなかったという)。

住所氏名を元に戸籍謄本を入手して、家族構成、男の実家と妻の実家が分かった(男は妻帯者だった)。
尚、依頼者アパートの固定電話番号は毎月NTTから送付される「電話使用料請求書・領収書」を集合ポストからストーカーが持ち去って請求書に記載されている電話番号を調べたと思われる。

男の住んでいるアパートの大家さんの談
(不動産会社の管理ではなく、アパートに隣接している自宅に住んでいる老夫婦の貸家だったので、女探偵が「奥さんの古い友だちでお互いの近況の確認に訪問した」と告げると201号室の入居者記録を開示しながら教員としての夫婦の暮らしぶりを教えてくれた。
妻は第二子を出産後体調が悪くて現在は実家で暮らしているという。

夫・山形哲夫 昭和33年〇月〇日 生 職業・〇〇市立〇〇小学校教諭(現在休暇中)
妻・山形聡子 昭和35年〇月〇日 生 職業・〇〇市立× ×小学校教諭(現在休職中)
長女・一美 3歳(現在父・哲夫の実家に預けられている)
第二子 (生まれて数カ月の次女は聡子と実家にいる)

続・調査結果(聡子さんからの聞き取り)
聡子さんの実家を訪問して、探偵の身分を明かして単刀直入に山形の一連の行為を話した。「ストーカー行為の被害者は警察に被害届を出す予定でいる。そうすると山形は失職するかも知れません。事を荒立てて加害者と被害者の名前が公になるのは本意ではない。奥さんから、『身元が割れた』ことを言って哲夫さんの行為を止めてもらえないか。」と事情を話すと、聡子さんと母親は驚きながらも、「あの男ならそれくらいやるでしょう。」「わたしは結婚生活であの男の言動に翻弄されて精神が不安定になった。あいつが部屋にいるだけで吐き気がするようになり、『もうだめ』我慢の限界を超えたので離婚を決めた。体調がよくなったら弁護士に相談する予定でいた。あの男を恨んでいるから、逮捕されて懲戒解雇されてもかまわない。むしろその方がよい」と、夫の悪口を、せきを切ったように言いだした。母子の山形に対する憎悪は相当なものだ。

「山形は外面と内面が極端に違う。」「猜疑心や嫉妬心が異常なほど強く、私の行動を常に監視している。独身時代の思い出話をしただけですぐに不機嫌になる」、「傲慢。暴言。自己中心。いつも命令的で私を見下す。反論には異常なほど興奮して怒る」「意味もなく突然不機嫌になり、用意した食事も口にしない。押し黙っているときもあれば、多弁になり一方的に持論を展開するので会話が成り立たない」。

「教職員研修会で知り合い、1年間交際して結婚したがその時に人間性を見抜けなかったことが悔しい。長女が生まれてから夫の異常な性格が露骨になった。離婚するかどうか決心がつかないうちに第二子を産んだ。無力感に支配されて何もかも億劫になった。自分の精神状態が危ないと感じるようになり、母親に迎えに来てもらった」。

山形のもう一つの顔を暴く
私は山形の行動の報告と聡子さんの意向を聞いて、実家を辞した。

二日後、聡子さん親子から「御願いがあります」との電話で再訪問。
奥さん曰く、「山形は長女と実家で暮らして勤務を続けているはずですなのに、昼夜にわたってストーカー行為をする時間があるのか気になって学校に問合せたところ、学校から『長女と次女のための育児休暇を取つて休職中である』との回答だった」という。

聡子さん親子の相談の要旨は、山形との離婚は裁判になったとき「性格の不一致」や「ストーカー行為」を離婚原因として争った場合少し弱いと思う。不貞行為など挙げて一発でケリを付けたい。子どもの育児休暇を取って休職しているぐらいだから、ストーカー行為の他に遊びまわっている気がする。あの男の行動調査をしてほしい、との依頼。

調査結果
山形は週に2~3日、県南のある市に出かけてテレホンクラブに入りテレクラで女漁りを繰り返していた(筆者・注 当時は男女の出会いの場はテレホンクラブが主流でした)。聡子さん親子の狙いはドンピシャリで、地元を離れて女遊びする山形はまったくの無警戒なので車に女を乗せてラブホテルの駐車場に出入する場面を6日(6人)分撮れた。

その後
「調停・離婚裁判で争うと慰謝料と養育費の相場が決まっているので高い金額は取れない。支払い能力のある山形親子の場合は離婚協議したほうがよいと思います」と私の意見を取り入れて、聡子さん母子は山形を交えた両親と離婚交渉をすることにした。

夫婦生活の実態。大野真紀子さんへの行為。育児名目で休職して女遊び三昧の日々の顛末を両親に訴えた。
山形親子は最初横柄な態度だったが、話が大野さんへの付きまとい行為とテレフォンクラブの実態説明に入ると、親子とも反論をするどころか居住まいを正して神妙な態度で聞き入り、事実を表に出さないように懇願する言動になった。(事態は探偵の筋書き通りに展開していった)。

「ストーカーされた大野真紀子さんは警察へ被害届を出さない。わたしは、あなたのすべての行為を学校に連絡しない。そうすればあなたは懲戒免職されずに教職を続けられるでしょう」、母子は山形親子に恩を売って交渉した結果、高額な慰謝料と養育費を取り決めて協議離婚を成立させました。

満足のいく回答の中から、事件の発端になった大野真紀子さんへ充分な慰謝料を支払った。

最近(2016.05.23)のストーカー事件報道。アイドル活動をしていた冨田真由(20)さんに執拗に付きまとった挙句、自分を受け入れてくれないとして冨田さんをナイフで襲撃して意識不明の重傷を負わせた岩崎友宏(27)のいたましい事件報道をみて、ストーカー先生を思いだして投稿しました。

現代の世相
警察官、弁護士、大学教授、僧侶、高校・中学・小学校教諭、上級公務員、国家公務員、地方公務員、議員etc.のストーカー行為の事件報道。一般人を含めてあげたら枚挙に暇がありません。男は誰もがストーカーになり得るのかもしれません(そして誰もがストーカー行為の被害者になり得る時代になってしまったようです)。
平成12年にストーカー規制法が制定されても尚、「犯罪白書」の統計はストーカー犯罪は激増するばかりです。世の中病んでしまっている・・・、これは世相を裏から見ている探偵事務所の実感です。

ストーカーに一人で対応しては絶対にダメです。
探偵に電話相談が入るときは女性一人で対応してきたために相当こじれてしまっていることが多いです(そして女性にも落ち度があることが多々あります)。例えば、ある人妻が生活苦のあまりハローワークで顔見知りになった男からお金を借りたことがきっかけで、その男とたった一度のデートが恐怖の始まりになりました。男からお金を借りた弱みで、ベットの中の撮影を許してしまい、それが更に弱みになって体を求められ続けている、という事例の相談が多少あるのです。

ストーカー対策法でも完全に防止できない場合があります(電波系、妄想・幻覚・クスリ依存・人格障害など頭がイカレタ人には無力です)が、一般的な社会生活を送れる感覚の人間ならばかなり効果があります。とにかく法律に頼るだけではなく、深みに入る前に本人、友人、家族、警察一体となって対応していくネットワークを素早く作ることがとっても大事だと思います。



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strong>依頼者 妻 石川きみ(83)無職
対象者 夫 石川力男(72)無職 共に仮名

調査目的
 夫の行動調査・浮気

相談概要
若いときから夫の浮気性に悩まされ続けてきた。

今は近所の後家さんと遊んでいるようだ。夫に、その後家との浮気疑惑を追及すると半殺し状態になるまで殴られた。夫が怒ると殴り殺されそうになるのでパトカーをたびたび呼ぶ生活だ。夫は「刑務所に入ったって俺は楽しく暮らせる。むしろお前といるより刑務所の方がいい」と度々いう。

夫の今の愛人は、隣町の田所マサ子(75)という後家さんで、以前は、食事をしたりカラオケをするなど家族ぐるみの付き合いがあった。

夫は、糖尿病の治療を兼ねて毎日午前10時に散歩に出かけるが、これは女と会う目的もあるのだ。私が、何度尾行しても、夫の足が速いので見失ってしまうのだが、〇〇中学校の裏山に入るのだと思う。その中学の近くにスーパーGがあり、マサ子は自転車でそこへ買い物に来る。夫と待ち合わせて学校の裏山へ入って遊んでいると思う。
先日、証拠がなかったが、我慢できなくなってマサ子宅へ乗り込んだ。マサ子に「どうしてそんなに疑うことになってしまったの?・・・いい歳してエロキチガイ!キチガイは病院へ入れ!」と怒鳴られたため、取っ組み合い、怒鳴り合いの大ケンカをした。夫も、私と口論のあと「キチガイは病院へ入れ!」と同じことを言う。ということは、二人は密会して私のことを話題にしているのだ。

ある雨の日、夫は一人でわざわざ遠いH市のホームセンターまで買い物に出かけて数時間後に濡れて帰宅した。着替えているとき、下着からブーンと女の香りがしたので、「いくら隠しても女の私には何の匂いだかわかるんだ!今日は何処で遊んできた!」と夫に怒鳴ったら、「ババアがいつまでヤキモチ焼いてんだ!」と息の根が止まるほど殴られた。

無職の45歳になる出戻り娘が二階で生活している。私が二週間入院して帰宅したところ、娘はあわてて二階に上がった。昼間から夫の部屋に布団が敷いてあり、やったあと使ったチリ紙が散乱していた。夫と娘は関係していたのだ。

夫が、未亡人マサ子、そして二階の娘と関係していると思うことには確信がある。何故なら、夫は10年も私を求めないからだ。他に女がいるから私を相手にしなくてもいられるのだ。

調査結果・探偵の眼
調査対象者(夫)は、散歩に1~2時間かける。夫の一番気が休まる時間らしい。疲れると、スーパーのベンチに座ってジュースを飲んで休憩。ゆっくりした歩幅で気ままに散歩を楽しんでいる様子。車で出かけるときは、ホームセンターめぐりと実家に立ち寄って時を過ごす。マサ子との接触はなかった。
依頼者と夫の年齢差は11歳。年上妻の年齢差が大きく、そして高年齢になるほど嫉妬妄想にかられる夫人が多いことが探偵の実務上の実感です。「嫉妬妄想」の人は、「身近にいる人」を疑りだすという特徴があるようで、家族ぐるみで交流のあった後家の「マサ子」さんと、二階に住んでいる「出戻り娘」さんが標的にされました。

依頼者に誘われて飲食する
石川きみさんから夫の調査依頼は年に数回あり、それが5年ほど続きました。気心が知れてから、昼に、寿司割烹店に誘われるようになりました。きみさんは日ごろから上品な衣装とブランドの時計ネックレスを身に着けています。殺風景な身なりの私が同行するの気恥ずかしい感じです。きみさんと店長の会話で馴染なことが分かるので一安心。
店内の個室で、夫の日頃の行状と仕打ち、関係が怪しいと思われる女を追及する眼差し、その根拠を説明する表情は苦悩と疲労に満ちたものでした。何回か接待を受けるうちに気が付いたのですが、旦那さんの行動について「相手の女との接触はなかったです。怪しいことは何もなかった。」と説明すると、苦渋に満ちた顔に精気が廻ったように、「妖艶な顔」になるのです。(注 きみさんの表情で思い出したのは、市川崑 監督 映画「悪魔の手鞠唄」金田一耕助(石坂浩二)主演の、悲しい十字架を背負った殺人犯、老女のおりんばあさん(岸恵子)の顔でした。7人も妻を代えた夫の女狂いから逃げ出した五番目の妻のおりんが、老いて村に帰ってきた場面。月夜の坂道を杖を付きながらとぼとぼと背中を丸めて歩く姿。金田一探偵とすれ違ったとき月の光に映りだされたあの妖艶な顔です)。悪魔の手鞠唄を見ない人は岸恵子の顔を想像すればよいです。

ある日、きみさんに「調査費用がもったいないからもう旦那さんの調査は止めた方がいい」と勧めましたが、まったく意に介さず思い出したように再度依頼をしてくるのです。この再調査依頼を業界用語で「アンコール」というのですが、アンコールをかけてくる依頼者はなんらかの「妄想に憑りつかれている人」が定説です。
私もそのような前提で対応していたのですが、きみさんは個室で私の報告を聞くことを楽しみにしていることが分かりました。前回の「勃起不全で妻に嫉妬」で説明した、「パートナーが浮気をしていないことを確認」しているようです。

出戻り娘との会話
二階に住んでいる出戻り娘「恵子」さんから、「父と母が病院に行って一日中留守なので来てください」との電話。母が持っていた私の名刺をずいぶん前に見たという。「母と探偵さんが飲食しているのはわかっているが、今も父の調査をしているのですか?もしそうなら、費用がもったいないから、母の調査依頼を断ってほしい」との申し入れ。当然の心配だと思った。私は、「お父さんは判で押したように同じパターンの行動をするので調査の必要もないので費用は頂いていない。その日に旦那さんが歩いた2~3時間のコースを説明すると、とっても安心した顔になります。私は、調査報告して食事を頂きながらお母さんの愚痴の聞き役に徹しています。食事の接待が調査費用代わりです。」と説明すると、「これからも母の愚痴を聞いてください」と、納得した様子だ。

恵子さんが母親について語る
恵子さんの話を聞いて、母親きみさんがあのように「身近にいる女性は誰でも夫と浮気している」と嫉妬妄想に駆られる人生を送ってきた背景に、きみさんが生まれてから10歳位まで幼児期と少女時代の生活環境・成育歴が強く性格と精神的な形成に影響していると思われました。


成育歴がその人に及ぼす(後天的)影響について、精神科医などの解説を挿入して記事を作成するため、少し長くなるので「嫉妬妄想の老婦2」として次回に更新する予定です。



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依頼者 夫 河田晴男 (53)住宅販売会社 勤務 (元大手電気メーカー課長)
対象者 妻 河田千代 (45)パート
家族 夫の母、高校の娘と同居 仮名

調査目的 妻の浮気調査

相談概要
私の留守中に、妻が男を家に入れて浮気している。
証拠を撮るため監視カメラを庭、裏の出入り口、室内などにセットしたがうまく作動しなかったり妻に見つかったりで失敗した。
ある夜遅く、車の音で私の帰宅に気が付いた男が、下半身裸のまま勝手口から裏山に逃げる姿を目撃した。
母と娘がおきている時間は裏山で遊ぶらしく、人が寝たような形で雑草が踏み倒されている。
妻は、私が人工透析のため夜中に帰宅する日を、二階の部屋の電灯を点けておいたり、色のついた手拭いを干し竿にぶら下げて男に合図している。

このようなことが10数年続いている。悔しくて、留守中にセックスできないように本格的な革製の貞操帯を妻に着用させた。帰宅後貞操帯を脇にずらして調べると、すでにセックスをした後らしく精液が流れ出る。

夜中に外出できないよう寝室のドアを釘で打ち付け、妻と自分の手を紐で結んで、朝まで起きていようと頑張るのだが、体調が悪いためぐったりしていつのまにか熟睡してしまう。妻は、この隙に紐を解いて裏山に忍び出て待っている男と遊んだり、家に入れて性交している。朝、妻の股間を調べると精液でべとべとになっている。貞操帯をずらして遊ぶのだ。

妻を男から隔離するため、K市とH市の兄の家に一週間交代で泊まりに行く。男はそこまで追ってきて家の周りを朝まで走り回って妻に合図をして隙を狙っているいる。週末は特に危険なので、他県にドライブしてモーテルに逃避する。男は車を代えてそこまで追いかけてきて、私たちの隣の部屋に入るのだ。

妻は、複数の男と遊んでいる。新婚の当時は真面目な妻だったのに私が勃起不全になってから人が変った。

公休日は、山に隠れて家の前を通る車をチェックしている。これがその車番のリストです。この5台は朝、夕方などに通行するのだか、私が休みのため妻が合図のタオルをぶら下げないので、男たちは家に入れず様子を見て通過するだけだ。

私はその男らに殺されるか、逆に殺してしまうか追いつめられている。
男と妻が密会している証拠を撮って男を裁判にかけたい。助けてほしい。

調査結果
奥さんは、町へパートに出て夕刻、高校の娘さんを電車の駅で迎えて一緒に帰宅するのが日課。県西の山間部のこの地域は夜間イノシシやタヌキの目が光るのみで車の通行は途絶え往来する人はいない。

探偵の眼
夫の数々の奇行と浮気疑惑の追及で奥さんも苦しんでいると思われ気の毒です。
河田さんは元大手電気メーカーの技術系のサラリーマン。20数年前バブル崩壊のときリストラされ早期退職組に入った。30歳で糖尿病と診断された。勤勉な性格で仕事の無理が災いして、肝臓機能が悪化し40歳代で人工透析を始めた。勤務先まで所要時間は車で1時間半。退勤後、週に3日病院に立ち寄って透析を行う。1回の透析時間は4時間。帰宅時間は12時近くになる。「通勤退勤の時間と透析の痛さが苦痛だ」と元気なく訴える。

30歳代で性交が不能になりあらゆる治療と精力剤などを飲用したがダメだった。妻が性的な不満を言わずとも、男として役立たずの自分に強いコンプレックスに苦しんだ(本人談)。

リストラで新しい慣れない職場でのストレス、勃起不能の負い目などで長い間に心理的に追い詰められていったと思う。バサついた白髪交じりの毛。カサついた皮膚。うつろな表情が痛々しい。
家に忍び込むリストアップした5台の車の男が怪しい根拠は何?と尋ねると、「朝晩通るから」という回答だった。追い詰められた河田さんは自宅前を通る車を、妻が遊んでいる男の車、だと思い込んでしまうのだ。

こころの健康シリーズ-日本精神衛生会-の 種智院大学教授 小澤 勲 先生は 嫉妬妄想 について次のように解説しています。

配偶者が浮気しているという妄想です。これはどちらかというと男性に多いようです。亭主関白で、お山の大将的に家庭で君臨してきた人が典型です。彼らの妄想は、信頼や愛が裏切られたというより、「俺のモノを盗られた」という雰囲気に満ちています。その意味では男のもの盗られ妄想といってもよいでしょう。彼らは妻にいつも傍にいることを求め、一刻でも視野から外れると「男に会いに行っていたんだろう」と怒り出し、耐えきれなくなった妻が逃げ出すと、さらに妄想が強まるという悪循環が生まれるのです。

次に、配偶者・恋人に対して異常に嫉妬深い「オセロ症候群」を解説した記事を紹介します。

嫉妬
自分よりも優れて映る者や、自分の持っていないもの、自分から見てよく思えるものを持つ者に対して、それを不快に思う感情・心理。
嫉妬には、いわゆる愛情嫉妬と志向性嫉妬とがある。後者は、地位、名誉、声望などを巡っての嫉妬であるが、嫉妬妄想として取り上げられる例は、前者の愛情嫉妬に関するものが大部分である。嫉妬は、相手を愛するゆえに生まれるのではありません、見捨てられる不安、一人では生きていけないという、孤独への恐れから生まれます。

オセロ症候群
オセロ症候群とは、別名「嫉妬妄想」と言い、自分のバートナーが浮気していると思い込んだり、浮気をしていないことを確認しようとしてパートナーを追い詰めてしまう症状。
恋愛の苦悩に身悶えるシークスピアノ歌劇「オセロ」から名づけられた。

 合理的な証拠がなくても相手の浮気を疑い嫉妬してしまうという疾患。
 配偶者(恋人)に対する具体的根拠のない強い嫉妬心と合わせて、浮気(不倫不貞)に対する妄想が特徴的にみられ、いつも「相手から自分は裏切られるのではないか・相手から惨めに見捨てられるのではないか」と言う不安を抱いている。
 必死になって「相手の浮気・不倫の証拠」を探し出そうとし、更に「相手の浮気・告白」を何とかして引き出そうと試みますが、それが失敗することで安心感(心理的補償)をえているという側面もある。

編集後記
この記録をブログに書き込みながら20数年前のことを思い出しました。探偵は、基本的に依頼者の訴えを「真実のできごと」として仕事を受けます。
パートの仕事を終え、駅で学校帰りの娘を待つ母。帰宅途中スーパーで買い物をする母と娘の、もの悲しげな姿が鮮明に蘇りました。
調査三日目、この家に男が入ることはあり得ないと確信しました。

依頼者は、オセロ症候群の症状に該当する部分がずいぶんあります。依頼者に「奥さんは浮気などしていない」、「あなたは心が疲れているから精神科(当時は心療内科ではなく、精神科が多かったです)へ奥さんと一緒に行って相談するように」と何度も言ったことを思い出しました。

現在どうしているのかとても気になる人です。

「必死になって、配偶者の浮気・不倫の証拠を探し出そうとし、更に告白を何とかして引き出そうと試みますがそれが失敗することで安心感を考えているという側面もある」。
3年~5年断続的に配偶者の調査依頼をしてくる夫人(夫)がいます。「合理的な証拠がなくても配偶者の浮気を疑い・・それが失敗することで安心感がある。」この場合、ご婦人が多いです。次回に投稿する「嫉妬妄想の老婦」にその事例を書く予定です。



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依頼者 (被告)上野知美(27)OL
対象者 (原告)山田茂樹(26)会社員 共に仮名

調査目的
   結婚調査 結婚調査とは次のようなことを調べます。※家庭環境 ※家庭状況 両親・姉妹姉妹について、同居か否か、生死の別、勤務先や近隣の評判 ※住居の位置 土地 建物は自己所有か否か、家族の円満さ 近隣との付き合い 心身に欠陥のあるもの(精薄者、不具者、疾病で病床に臥している者)はいないかか ※病死した家族がいる場合の病名 ※持て余されている者(浪費家、乱暴者、盗癖や賭博癖のあるもの)はいないか ※特定思想の信奉者あるいは特定の宗教を信仰しているものはいないか ※両親と本人の近隣の評判

本人について
※家の宗教・本人の宗教 ※日常の行動 ※交友関係(友人の氏名・性格・素行など) ※異性関係(ボーイフレンド・ガールフレンド、既婚者、夫婦仲など)※金の使い振り(金銭上のトラブル、借財など) ※盗癖、酒癖の悪さなど悪癖のうわさの有無

調査結果
    対象者が婚約不履行の裁判を起こしたため結婚調査は中止して、訴状にたいする答弁書の原案を作成した。

解説
山田茂樹と上野知美が婚約。結婚式・披露宴会場を予約して、山田が結婚披露宴招待状を発送した。知美は、交際6カ月間の山田の人間性に不信感が募って煩悶のすえ結婚を断念、婚約の解消を申し入れた。しばらくして、山田から婚約不履行による損害賠償の訴訟をおこされた。知美は、自分の一方的な都合で破談にしたのではなく、相手の人間性に問題があったからと、争うことにした。
この陳述書は、相手の訴状に対して婚約破棄にいたる心情と経緯を聞き取って作成したもので、資料として弁護士に提出したものです。


陳 述 書
被告 上 野 知 美
1 略

2 結納を交わし、結婚式場を予約して新居になるアパートを借りてまでして、私から婚約解消を申し入れなければならなかった背景・事情を申し述べます。

3 6カ月余りの婚約期間にわかった、お互いの大きな性格の隔たりについて、話しあって整理しなければならないことを原告に伝えました。
「私への過度の束縛と監視、過度の甘えを止めてほしい」。「優柔不断は困る、もっと自主性をもってほしい」。「金銭的にけちけちしないでほしい」。「神経質で怒りっぽい性格を直すように」などです。それでも結婚に踏み切れない、どうしても払拭できないものがあるので、気持ちの整理がつくまで結婚式をキャンセルしたい、と伝えました。
どうしても拭えないものとは、前述の他にたとえば、原告の度を越した怒り方とか、他人の前でお話しができないのに、私には、異常なほど多弁になり、どうでもよいことを延々と続けること、その他のことは以下に述べることにします。

ある日、私と原告、結婚式場の支配人3人で話しあいました。
私が、「彼は、結婚しても性格が変わるとは思えない。例えいま直しても絶対に我慢しきれなくなるし、我慢しながら生活するのはおかしいと思う。」と言うと、「結婚してからよくなることもあるジャン」と言いました。
支配人は原告に、「人の性格はすぐ直るような問題ではないんだよ。ハイ結婚しました、といって今日から変われるの?」と、私に同調すると、原告はふてくされて黙ってしまいました。式場からの帰路、「やはりどうしても結婚できない」と伝えると、原告が感情的になって泣き喚いたりしたので、その話は止めました。数日してから原告は婚約の解消を承諾しました。「もう考えは変わらないの?」と未練がましく言う原告に、はっきりその意志がないことを伝えました。

交際期間中に感じていた隔たりについて、このままの状態で結婚しても性格の相違で結婚生活が破たんすることは明らかと考えて、婚約の解消を申し入れたのです。よって、訴状にある、「理由も告げず一方的に結婚の取りやめを告げた」のではありません。

3 婚約したころから原告の横暴な言動が目立ち、性格的な違いも顕著になりました。
例えば、車で走行中に渋滞に巻き込まれたり、赤信号で度々停止を余儀なくされたり、私が何かの拍子でドアのガラスを少し叩いたくらいで激怒するなど、何かにつけて怒りっぽく、怒り出したら制御ができません。わたしがいままでに体験したこともない怒り方です。なにが原因で原告に怒られているのか理解できないことが度々あります。原告には自制心が無いらしいことが分かり、怖さを感じるようになりました。

4 アパートのカーテンのヒダが不揃いだとそれが気にかかり、それを一つ一揃えてから閉めるのです。玄関のドア、くるまのドアの鍵をかけても、「ノブ」を10回以上ガタガタと引っ張って確認します。室内が少しでも散らかっていると用事があって出かける前でも整理することを優先します。
また、住所など書いてある紙を捨てるときは、必ずシュレッターのよううに細かく1枚1枚ちぎって捨てるなど、病的と思われる神経質、清潔癖、度を越した几帳面さなど、原告の性格に私は大きな隔たりを感じました。

5 私が、ドライブしようと誘うと原告は、ガソリン代がもったいない、と反対し、冬、車中で会話するとき、ガソリンがもったいない、とエンジンを止めて何時間も平気で会話を続けます。外食はお金がもったいないとのことで嫌がり、駐車場の料金加算がもったいない、と何度も口にしながらついてくるので、デパートなどで買い物もゆっくりできません。私のお金の使い方にも細かく干渉し、洋服を買うとき、「ほんとうにこれでいいの?もう少し考えたら?もっと安いのがあるかもよ。」などと口を挟んでついて回るので、欲しいものもほとんど買えませんでした。
また、原告は母親に出費させることを極端に避けるのに、私の親には平気で出費させてお礼も言えません。新婚で住むためのアパート賃借の支払い、家具類、家電、生活用品など全て私と私の母親が支払いました。

原告の徹底したケチぶりと自己中心の考えは、私に相いれないものでした。

6 原告は一人でコンビニにも行けず、他人との挨拶もできず、協調性もなく友人もほとんどいません。病院にも1人で行けず、私に会社を休ませて同行させます。また、考えごとに一貫性がなく、物事を自分で決められず私に決めさせたにもかかわらず、後から必ずねちねち愚痴と文句をいいます。
私が何か意見を言えばすぐ逆ギレします。周囲に人がいることなどお構いなしに激高する姿を見るたび、結婚する意志が失せていき、原告の情緒不安定ぶりは、精神的に障害があるのではないか、と深刻に考えました。

私がたまに女友達とでかけると、「何時に帰るのか」「今何を食べているのか」。8時9時になると、「まだ帰らないのか」と執拗にメールを入れつづけ、すぐに返信しないと激しく怒ります。私が一人で外出すると怒る。どこに行く時もメールを入れないと怒る。友達と一緒だというと、友達を電話に出させて確認する。など原告の特異な性格を知るにつけて困惑するばかりになりました。

7 原告は、過去に自律神経失調症になり会社を1カ月休んだそうです。「俺が会社を辞めると困るから、みんな何も言えないんだ」と得意げに話す原告をみて、結婚相手としての信頼感が日に日に失せていきました。

8 私は、日時が経つたび原告に失望し、不信感が募るばかりで将来に希望も持てず、会うことさえ嫌悪するようになりました。
交際中に生理不順になり、医者からストレスによる生理不順と診断されました。
二人の対照的な性格を相互に克服することは難しいと思います。それぞれに簡単に変えられない生活信条とか価値観もあるとおもいます。

婚約そのものが間違っていました。解消を申し入れるまでに1週間で4キロ痩せるほど悩みました。その結果、意に反して結婚してすぐに破局を迎えるより、婚約の解消の方が、より良い選択だと結論を出したのです。

原告は、婚約解消は全面的に私の責任であるとして、損害賠償請求の裁判を起こしてきましたが納得できません。原告の資質によることも原因の一端として考慮してください。そのうえで私は相応の和解金を支払う用意はあります。

裁判結果
原告が被告に慰謝料支払いと、結婚準備費用全額の請求を求めた裁判は、「和解」で終わりました。和解条件は、被告(上野知美)が原告(山田茂樹)に慰謝料を支払う必要はなく、結婚準備の諸費用は原告・被告折半で支払う、ということになり、実質的に被告・知美の勝利でした。

この陳述書は人格障害者の人間性があらわれています。女性が結婚相手を点検するための教材になるとよいです。

依頼妻 妻 大内友恵 (67)無職
対象者 夫 大内和夫 (70)工務店 自営
調査目的 夫の行動調査 離婚訴訟の準備

相談概要(調査終了後、訴状作成のための聞き取り)

離婚裁判を起こすのは私ですが、このような気持ちに追い込んだのは夫と愛人です。
過去2回離婚調停をしたが夫の不同意で不成立になった。夫の女性関係と精神的虐待で悩み続けてきた。休むこともなく働き通し汗と涙の人生だったので、「何をいまさら離婚なんて」と離婚は諦めて、若いときからの女狂いも、老いぼれになれば家庭に戻ってくると望みをかけていたが、夫と愛人が新築の家で暮らしていることを知り夫を待つ意味がなくなった。

商いの始まり・蓄え
借金を元手にして食料品店を始めた。朝から夜遅くまで一年中身を粉にして働きずくめ。夫は、独立して工務店を開業した。
高度成長期の波に乗り、工務店と食料品店は繁盛してた蓄えができた。夫は蓄財に優れた能力があり、3階建ての自宅の他に5か所の土地と3棟の貸アパートを所有している。

夫婦の順調な事業とは逆の私生活
夫の女狂いと、暴力、暴言に泣かされ続けた人生です。ある時期、朝帰りが続くので調べるとアパートに女を囲っていた。40代、50代のときも4回愛人を囲ったことがある。止まらない暴力と女性問題に堪忍袋の緒が切れて、何度となく家出して離婚の準備をした。そのたびに夫は飛んできてへたへたと崩れ落ち、男泣きして詫びる姿を見てつい心を許し「こんどこそ反省したか」と期待するのも束の間で、約束事は全く無視して暴力と罵詈雑言の繰り返しです。

陰湿ないじめ
※とても執念深く、10年、20年、30年前の私が忘れているような些細な諍いをもちだして何時間も責め立てる。
※私の家族と交流しないように監視され続けた。古い家に住んでいた当時、独身者用に間貸しする個室の一室に監禁されたこともあり、夜中にガラス戸を破って逃げた。 ※私の持参した家具類はずたずたに傷付けられた。箪笥の中の衣類をグシャグシャにかき回したり、室内一杯に衣類を放り出しておく。 ※布団に釘を差し込んでおく ※軽自動車のタイヤの空気を抜かれ仕事に行けないため夫の車を使ったら罰金1万円とられた。 ※覚えがないのにドアの鍵を壊したと1万円。古くなった布団を打ち直しに出したら、「いまどき布団をつくるバカが何処にいる。買った方が安い。お前は銭くい虫だ。どこにそんなお金がある。勝手に作りやがって」と烈火の怒り。布団の打ち直し代はもらえなかった。

いじめはさらに続く
テレビ、冷蔵庫、扇風機など後ろ側の配線を切断して使えないようにしたり、リモコンを隠しておく。 ※電話の室内線を引き抜いておく。 ※ガスの点火用電池を抜き取っておく。 ※洗濯機の中に作業着と洗剤を入れたままにして私が使えないようにしておく。 ※愛人と暮らすための家具類の家具店の見積書をわざと台所の床に捨て置く。 ※台所の器具類に傷をつけたり、毎日のようにヤカン、鍋を空炊きして変形させ使用不能にする。 ※蒸し焼き器の中の蒸し板を抜き取って捨ててしまう。 ※コタツの電気コードの見えない部分をカミソリで切断しておく。 ※洗濯機のホースをカミソリでスパスパ切り、無数に穴をあけて漏水させる。

いじめ その3 
梅漬けに塩を数倍入れて塩辛くて食べられなくされた。 ※婦人会の旅行に行く前日、旅行カバンを隠された。 ※洋服がなくなる。 ※洋服のボタンが取れていた。袖口がほずれている。スカートの裾の糸が抜かれている。ネッカチーフの四隅がほずれていた。靴下がカミソリで切られている。 ※冬、電気毛布がなくなった。家電品の差し込みコードを隠す。 ※電気ブレーカーを切り、室内すべてを暗闇にして、私がドアを開けて暗い浴室に入る位置にヌルヌルした浴槽のふたを置いて滑って転倒するような仕掛けをする。

嫌がらせといじめに抗議すると
「オヤジに向かってその態度は何だ!」と激高し、そんなときは生活費をくれないので強く抗議すると殴られるのが常なので諦めた。
このような精神的な揺さぶりにノイローゼになって精神科に通院したこともある。これほどひどい仕打ちを受けてもなお離婚を止まったのは、二人の子供の存在と
、私自身食料品店はすでにやめていて、生活力も財産もないので我慢するしかなかった。

「誰のおかげで生活しているのだ!文句があるならいつでも出ていけ。」と暴言を吐かれても、「私が我慢すれば子どもは守れる」と言い聞かせて耐えてきた。夫は子供を抱いたこともなく、育児を手伝うことはなかった。子どもも虐待されて育った。小学から中学まで町の剣道場に通う子供に、気に入らないことがあると竹刀で殴りつけ、反抗的な態度だといって怒り、真冬に戸外に立たせ続けることが度々ある。

成長した子どもは、「親父をぶっ殺してやる」と口癖に言うようになった。父とは会話もなく憎悪しているのがわかる。わたしは、子どもたちのために自分を犠牲にしてきたつもりだが、成長しても父親と反目している子を見ると今までの人生を後悔ばかりする。もっと早く元気なうちに離婚すればよかった。

そして、いま
※愛人からもらったおかず、餅、赤飯などを冷蔵庫に保管して、私の前で小出しに食べる。 ※差し入れの弁当をこれ見よがしに食べる。  ※愛人に「モーニングコール」を入れさせる。 ※愛人にたびたび深夜に電話を入れさせるので抗議すると、受話器を置いて殴りつけ、「ババアが余計なことを言うから殴ってやった。」とバカにしたように笑いながら、「役立たずのババアが焼もち焼いて傍で聞いているわ・・」とか、耳をふさぎたくなるような会話に息子もたまりかね、「親父いい加減にやめなよ!」というと、「俺に指図するのか」と喧嘩腰で怒鳴るので夫の横暴を誰も止めようがなかった。

いま述べてきたように、夫の暴力と暴言に耐え、子どもを犠牲にして、あかぎれと寒風に耐え身をすり減らして夫の蓄財に貢献してきました。夫はこれを処分して愛人との新居をつくりました。夫は、土地の一部を処分したお金、工務店の収入、貸マンションの家賃収入、地代の収入など一切の所得を握っており豊富な資金で愛人と余生を送ろうとしています。今日まで夫婦共同で蓄財してきたものですから、私も相応の財産分与を求めます。

調査結果
対象者は30㌔離れた隣の市に新築した家に暮らしていた。二人は油断しきって、スーパー銭湯、買い物、パチンコなど夫婦気取りで行動している。一連の行動を撮影した。依頼者は弁護士に報告書を提出しました。夫の不貞による裁判離婚の判決が出て、夫人は財産形成の寄与分が認められて相当額の財産分与と慰謝料を得ることができました。


探偵の眼
依頼者はDVとモラルハラスメント(精神的虐待)を受けつづけて深い心の傷を負っていましたが、結婚してからの歴史を事細かに覚えていて、静かな声で淡々と話し続けました。「毎日次から次に繰り返すので、受けたいじめといたずらは数えきれません・・・」と、ため息をついて茶道の作法でお茶を飲みほした端正な姿が印象的でした。
子どものために自分の生涯を犠牲にする・・。母親の深い慈悲を感じました。

依頼者 井上沙織(42)会社員
対象者 田中寅夫(52)会社員 共に仮名
調査目的
ストーカー対策

相談概要と事件の解説
妻と死別して一人暮らしの田中寅夫はカラオケ教室で井上沙織と知り合った。井上は、夫と子供のいる主婦で田中とドライブやピクニックなどの健康的なグループ交際を希望したが、田中の狙いは井上の肉体だった。
井上沙織は、田中が一流会社の管理職でもあり、紳士的な物腰に気を許して何度目かのデートで肉体関係を持ち、情交中の写真も撮らせた。これが地獄の始まりで、男の異常性格に気付いた井上が交際をやめようとすると田中は豹変した。井上に写真をばらまくと脅し、暴行し、女の自宅に電話をかけ続け、ささいなことで言い掛かりをつけて交際を強要した。果てに、交際中にプレゼントした金品を返せと警察に訴えた。警察が取り合わないと、井上を自宅に呼びつけ、「お前の夫に関係をばらす」と脅して30万円の借用書を書かせた。

この時点で、井上沙織から相談を受けた筆者が田中宅を訪問した。
「井上に個人交渉を止めるよう。これ以上続けるならあなたの行為を会社とあなたの娘夫婦にばらす」と逆に脅し、「30万円の請求は公の場、調停で決めること」と申し入れた。以降、調停終了まで筆者がサポートしました。
調停の結果は末尾に記載しました。

裁判所に提出した陳述書は田中に脅され続けた日常と借用書を書かされた経緯を述べたものです。
この卑劣な男と交際を始めて手が切れるまで4年かかりました。男の「ストーカー気質」がよく現れていて、安易に不倫に走る人妻への警鐘となります。意外にも、探偵事務所には交際中に男にお金を借りたり、情交ビデオを撮影させたりして別れられなくなり、男に脅され続けた人妻からの相談がずいぶんあるのです。

〇〇裁判所 御中
井上沙織

御庁  平成〇〇年( )第  号 貸金返還調停申立て事件について、陳述します。

1 申立人(以下、田中という)とは、平成〇年にカラオケ教室で知り合い交際を始めた。

2 平成〇年のある日、田中宅で性交中の撮影を許した。

3 以後、田中は会うたびに体を求めたり写真を撮ったりするので、「こんな関係ではなく、ハイキングやドライブなどアウトドアの健康的な交際をしたい。それができなければ別れる」というと、田中は激怒し「お前の写真は、何枚でも複写できる。この写真を家の郵便受けに入れてやる。会社、自宅付近にばらまいてお前が家にいられないようにしてやる。」と脅された。それ以来、写真の存在が怖くて田中の要求に無抵抗になった。

4 こうして交際を続けたが、田中の性格的な執着性、嫉妬、虚言癖、侮辱的言動によってわたしは精神的に疲れ果て、また、田中が人目を避けることもなく堂々と会社や自宅近くで待ち伏せするようになったので、別れようと決心した。
〇日、田中宅から帰る際、次回の約束を拒否すると、押し倒して性交を強要した。抵抗すると覆いかぶさり顔面を拳で殴打し組み伏せられて性的暴行をうけた。

5 この行為を許せず、病院で暴行による診断を受けて警察署に行き、ストーカー被害の相談をした。
担当は島田刑事(仮名)です。傷害事件にしたくない旨をお願いして、「男に付きまとわれ交際を強要されているので、交際を清算したい」と申告した。
島田刑事は田中を警察署に呼んで、「井上沙織が交際を清算するといっている。今後付きまとわないように」等、注意してくれた。(ストーカー規制法による  警察署長の警告)。

6 それから2年数カ月、田中から干渉が途絶えていたが平成〇年〇月〇日、田中から「お前を詐欺で訴える」と突然電話が入った。この日以降、自宅と職場に頻 繁に電話が入るようになり、「あんな暴行の診断書は何の証拠にもならない」「警察のストーカー警告はもう終わった、あんなのは何でもない」、「お前いま誰と付き合つているのだ。いままでの不倫交際を旦那に言うぞ。お前は売春婦だ」などと言い続けた。

7 またある朝、自宅に電話で「お前を横領、偽証、名誉毀損で訴える。」というのでその理由を尋ねると、「3年前、東京で行われるカラオケ大会の旅費1万円をお前の口座に振り込んだ。その大会は中止になったのに、旅費を俺に返還しないから横領だ」。「3年前俺の暴行事件を警察に申告した内容に誤りがあるので偽証だ」。そして「二人の秘密の不倫関係を他人に相談したので名誉毀損」ということです。
〇日。「田中から横領や名誉毀損の相談を受けたが事件性がないので取り合わなかった。」と警察署から電話があった。
私は、田中の嫌がらせがあまりにもひどいので、過去のことが夫に分かっても構わないと思い詰め、まず田中の職場の上司に相談するため面会の予約を取った。
このことを島田刑事に報告すると、「あのような男だから、そのことで奴が会社を辞めるようになったら何をされるかわからない。刃物で刺されたら大変だよ」と忠告されたので怖くなって田中の上司との相談を断った。

8 〇日。島田刑事から、「田中が署に来て旅費1万円と、いままでにプレゼントした金品を返してほしいと言っている」、「それから、井上さんに今後付きまとわないように厳重に注意しておいた」と電話があった。
私は、交際中にもらったネックレス、靴、バックを郵便小包で返却、旅費は書留で送ったが受取拒否で返戻された。

9 〇日から〇日。田中宅を訪問して旅費を返そうとしたが、受け取りを拒否され、知人に同行してもらっても受け取らなかった。

10 〇日。田中宅3度目の訪問。この日はどうしても旅費を受け取ってもらいたくて家の中に入った。田中は酒を飲みながら穏やかな様子で話をしたので、安心したが途中から体を求められ拒絶すると組み伏せられた。前回殴られ暴行を受けた苦痛がよぎり、抵抗を諦めて暴力的に犯された。行為が終わった後、田中は泣きながら「すごく好意をいだいている。もう一度交際を続けてほしい」と言った、これを断ると態度が急変して殴打された。

11 田中からの電話。「あなたとの紛争を弁護士に相談した。相談料30万円支払ったのでその分を返せ」と、訳の分からない言い掛かりをつけてきた。それから、会社と自宅に電話で同じことを言われ、「横領と名誉毀損で訴える」と脅された。仕方なく、田中宅を訪問して話しあった。「相談料をどこの弁護士に支払ったのか領収書をみせて」というと、「領収書はなくした。返済は気持ちでいいから俺の言うことを聞くか。今夜お前の家に行って旦那にばらす。旦那も支払い義務があるのだから」などと脅された。恐怖心で一杯になり、支払いの一筆を書かなければ無事帰れそうもない。会社にも自宅にも電話するというし、私は早く田中宅を立ち去りたい一心で、30万円の借用書を書いたのです。

調停結果
無理やり書かせられた30万円の支払いは到底認めることはできないが、交際中にいろいろお金を使わせたことは事実であるため、10万円の支払いでこの男と縁が切れるならと考え、調停の10万円支払いの和解案に応じた。代わりに、付きまとい行為を止めるよう条件を和解条項に記載させた成果は大きかったです。

以下は、調停条項です。

1 相手方(井上沙織)は申立人(田中寅夫)に対し、本件和解金として、金10万円の支払い義務のあることを認める。
2 当事者双方は、当事者間の男女関係が終了したことを確認し、本日以降、お互いに一切交渉を持たないことを確約する。
3 当事者双方は、本日以降互いに双方の相手方の名誉、信用を毀損するような一切の言動及び行動をしないことを確約する。
4 申立人と相手方は、当事者間に本件条項に定めるほか何らの債権債務のないことを相互に確認する。

以下、略

この男女の別れについて、男女関係がもつれた場合に学ぶべきことが多くあると思います。
男女の別れは、総じて、女性の方が(別離の前の悩みはおおきくても)別れを決意したあとの実行・心の清算が早くてスパっと別れられるのに対し(そのようにみうけられます)、男は、この事例にあるように未練たらしく泣いたり脅したりネチネチします。今回の事例の田中みたいに交際中に消費したお金の返還を求めるのを始め、恥も外聞もなく二人だけの秘密を公開するのも男です。同棲中に使った俺の年金を返せとか、女にプレゼントした下着のリストを作成して返還を迫った男もいます(プレゼントしたお気に入りの下着が見当たらないので、他の男宅に置き忘れたと邪推したらしいです)(爆)。
「覆水盆に返らず」です。壊れてしまった女心は戻らないことを肝に銘じて恥の上塗りはやめたほうが男を上げます。

依頼者 菊田誠一(40)会社員
対象者 菊田晴美(38)パート勤務 小学生の子 二人有り 仮名

調査目的
妻の浮気調査

相談概要
 最近の夫婦の状況をはなします。
妻が最近、9時から16時まで会社事務のパートに出た。そのころから「あなたのいびきがうるさい」といって寝室に入らず1階で寝るようになった。土・日・祝は休みなのに出勤するので疑惑を持ち始めた。帰宅してからトイレの中や二階で、携帯電話でヒソヒソ話をしたりするので、夜中に妻の携帯電話を見ると「池田にさんに抱かれたい」などと書いてある。独身時代に着ていたらしい、今では不似合いな洋服を着用するようになった。派手なパンティを数種類買ってきた。「30過ぎまで子育てに頑張ってきたんだから、少しはいいもの身に着けてもいいでしょう」という。「時々、自宅付近の空き地で奥さんが車を止めて携帯で話している」と、町内野球クラブの知人から忠告された。生活態度がそわそわして落ち着きがなくなった感じがする。

ある日、妻から「歓迎会があるので参加したい。帰宅は遅くなる」と電話があった。「俺の予定を知っているのに、子どもを置いて出かけるのはおかしい、何かやましいことをしているのか。歓迎会は行くな!」というと妻は、「浮気でもしていると思っているのか!信用していないのか!」と怒鳴る。私、「仕事の付き合いだといって、帰宅が毎日遅い。土日も出勤したり、早出残業・・たかが事務職のパートで付き合いが必要なのか?」「そんなに信用していないなら離婚しようか。昔から私は我慢している。彼方のべたべたする態度なども不満が一杯だ」。「今日離婚届出をもらってくる。もういくら謝ってもダメ」。帰宅すると妻に離婚届叩きつけられた。それから数日妻の怒りは収まらず、離婚か家庭内別居しか選択肢はないという。

「気晴らしに会社の事務員A子と飲んできた」と深夜に帰宅した。更に土曜の夜は帰宅せず朝帰りした。今までにないことだ。深夜帰宅について、事務のA子さんに事情を聞いたことを妻に伝えたところ、「どうして夫婦の事をA子に聞きただした!恥をかかせるな!」と烈火の怒り。妻に数日謝りとおしているが、「謝って済む問題ではない」と怒りは収まらない。

そんなごたごたが続いて、妻は事務のアルバイトを辞めた。

ある日、妻の車のカーナビの「走行軌跡」をこっそり再現してみると、とんでもない遠方に行っていることが分かった。妻のジャンパーから、「池田哲也様」と書かれたクリスマスケーキの引換券が出てきた。妻に、ケーキ引換券の疑惑と、どうして車で遠方に行く必要があるのかを問い詰めてから出勤した。妻からそのことで説明の電話があった「遠方のT市に行ったのは子供用品スポーツ店めぐり」「ケーキは池田哲也の友達の奥さんから頼まれた」と言い訳。
「財布や洋服までチェックされたらたまらない。嫌悪感でいっぱいだ」「子どもの前であんな質問することないでしょう。どこまで私を落とすのか。そんなに信用できないなら別れましょう・・」。

妻はある夜中「頭を冷やしてくる」と車で出かけた。携帯電話の電源が切られ連絡が取れない。朝帰宅した車のコーヒー空き缶2本に種類の違うたばこの吸い殻が詰め込んであった。「公園の駐車場で仮眠していた」という。走行軌跡を見ると辞めたはずの会社に行ったりしている。

台所の収納棚の中に、「大人のおもちゃ」が大事そうに布に包まれて隠してあった。アダルトビデオ女優が着用する下着も出てきた。妻に行動の疑惑を一つ一つあげて追及すると、「あなたはストーカーだ」と罵られた。大人のおもちゃを何故持っているのか聞くと「1年もやっていなくてさびしいから。でもあなたとはダメ」といい、「そんなことを聞くあなたはデリカシーがない」と怒り出した。そして「離婚裁判しょうか。ストーカーはみんなあなたみたいに『愛している』と言うらしいよ」と真剣な顔でいう。化粧と髪型、服装がますます若型になっていく。夫婦仲は悪化するばかりだ。

「いま仕事を探している。扶養を外してほしい。」「あなたにはもう気はない。来月から別居する」という。妻の行動について喧嘩が絶えず、すぐ離婚話を持ち出す。本気で考えているようだ。「あなたと一緒にいるのがつらい。別居させて」と泣きながら訴える日が多くなった。心を完全に閉ざしたようでパートにでてから別人になってしまった。

妻には必ず男がいると思うので証拠を取ってその男と話し合いたい。

調査結果
 晴美がパート事務員として働いていた会社の池田哲也と交際していた。男は独身で35歳。父親と二人暮らし。

依頼者の行動
 依頼者は池田の住所を探偵から報告を受けると迷わず池田宅へ乗り込んだ。「妻を家庭に返してくれ。俺も、子どもたちも妻がいなければ家庭が崩壊してしまう。子どもたちにとってこれから先まだまだ母親が必要なんだ」と切々と訴えたという。池田は「僕は、始めから奥さんと不倫するつもりはなかった。奥さんの話し相手になっていただけなのに、体を投げ出してきた。あまりの露骨な態度に辟易していました。あの人が何を考えているのかわかりませんが結婚する意志など全くありません。あの人の独り相撲です。奥さんとの関係が発覚してむしろ良かったです。私は制裁を受けます」と答えた。

探偵の眼
 池田から「奥さんの独り相撲」と突き放された妻は悄然として家庭に戻りました。子どもたちが小学3~4年生になると、育児から解放されて妻たちはパートなどで仕事にでると、職場では家庭にはない新しい生の情報が次々と入ってきます。男性からも声をかけられます。久しく忘れていたときめきに酔って脱線してしまうのでしょうか。
この妻は夫の「家庭を守る」という強い意志に助けられました。池田の潔い清算もよかったです。夫からも愛人からも突き放される不倫妻が結構いるのです。

この妻とは逆のケースですが、妻子と離婚して真新しい戸籍をもって愛人に報告に行ったら「あなたは何を勘違いしているの。あなたに妻子がいるから安心して恋愛ごっこを楽しんでいただけなのに」と、独身女性にバッサリ切り捨てられた阿呆な男がいました。夫にしろ妻にしろ、不倫相手と本気で結婚を望むのは危険が一杯のようです。

依頼者 妻 谷田静香(33) 専業主婦
対象者 夫 谷田 誠(42) 会社員・サービス業
小学2年女児 と 5歳の男子あり 夫の両親と同居 仮名
依頼目的
夫の浮気調査。不倫相手の対策

相談概要
 夫は浮気しているような気がする。感情が激変した子どものためにも、夫と話し合いの糸口をつかむため証拠を取ってほしい。
疑惑のきっかけは、2年くらい前から夫になんとなく落ち着きがなくなった。夜の夫婦生活も全くなくなった。夫の財布を点検するとラブホテルの優待カードが入っていた。夫の背中に爪の引っ掻き傷があった。
休日も公休出勤といって家にいない。帰宅はいつも深夜0時を過ぎる。パチンコに行くといって外出した日、夫に用事ができたのでそのパチンコ店に電話したところお店は休日だった。帰宅してから問い詰めると怒りだしてうやむやにされた。嘘が多くなり、話があやふやなので問い詰めると顔色を変えて怒り出し支離滅裂なことを言って騒ぐ。いつも自分が不利な立場になると騒ぎ立てて話し合いの場を壊してしまう。夫の狡さに信頼が失せた。

夫婦の不和が原因で、小学2年の長女が情緒不安定になった。無表情で父親にも私にも反抗する。4歳の男の子は特にひどく、一日中落ち着きがなくイライラして、激しく動き回り、少しの凹凸につまずいて倒れたり、車の室内のスイッチなどを全て壊してしまう。ハンドルにしがみついてクラクションを鳴らし続ける。ドアを力いっぱい開閉して壊された。いろいろ奇行があり、攻撃性も見られるので怖くなって精神科で受診したところ、注意欠陥多動性障害の可能性があるといわれた。遺伝性なのか、成育環境による後天性なのか医師の説明ではよくわからない。しばらく経過観察することになった。私としては、夫婦の不和が大きく影響していると思う。考えてみるとここ数年来、わたしは笑顔を忘れた。殺伐とした心が子どもたちにも影響してしまった。夫婦関係を修復して子供の情緒を安定させたい。助けてほしい。

調査結果
 職場の人妻槌田久美子(45)と不倫していた。
久美子は、東京に通勤する会社員の夫と大学生、高校生の家族がいる。

依頼者の行動
 依頼者は女友達に同行してもらい久美子宅を訪問。玄関で対応した久美子に「谷田の妻です」と挨拶。女は戸惑いの表情をみせたが、「何か御用ですか」と空々しい返事。この態度にキレた依頼者は、「ふざけるんじゃねぇよー」と大声を出して、久美子の左右の頬を数回殴りつけた。「何をするんですか!これは暴力でしょう!」と怒る。「当たり前だー、てめえ、私と子どもたちがどれほど苦しんでいるのかわかんねえのかー」とさらに往復ビンタを数回浴びせた。

頃合いをみて同行した友達が割って入り、谷田と久美子が不倫交際をしている事実を知って訪問したことを告げた。久美子は「誘ってきたのはあなたの夫だ」と抵抗したが、依頼者に「どっちが誘っても不倫は不倫だ!」と更に殴られて静かになった。久美子は、静香に事実を認めて謝罪し、言われるままに誓約書を書いた。

探偵の眼
 依頼者の、「子どもと家庭を守る」という強い意気込みを感じた事件です。本人は、長男の嫁として、夫と義父母にしっかり尽くしている律義でおとなしい奥さんです。後日、妻と友達が愛人宅に乗り込んだことを知った夫はかなり荒れたというが、結局は不貞の事実を認めました。妻に、同居の両親をみてもらっているからです。

愛人(誠)の妻に殴られて、不倫清算の誓約書を取られた久美子は、不貞の事実を暴かれた負い目と、勤勉な夫、大学生、高校生の家族の一員の立場。不倫騒ぎが表ざたになった場合、自分と家族の不利益になる計算が過ったのだと思います。殴られて、少し抵抗したものの素直に誓約書を書きました。

夫の不倫騒動のとき、相手に電話や手紙で抗議する妻が多いですが、今回の事例のように直接行動は相手に有無を言わせない迫力があります。勇気をもって、現状を打破する行為は何よりも大事です。

一年後、依頼者から、長女はすっかり元の感情に戻ったこと、長男についても、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の疑いではなく、自律神経失調による一過性のパニック障害であり、夫婦関係が正常に復してからは「落ち着きがでました」と連絡がありました。
夫の不倫は、家族の安定を破綻させるのですね。「女は笑顔が消えたら終わり・・・」と自覚した依頼者は偉かったです。

画像はイメージ



依頼者 妻 山田みどり(33)専業主婦
対象者 夫 山田祐二 (35)高校教師 共に仮名

調査目的
 夫の浮気調査

相談概要
結婚以来ずっと夫の浮気と暴力、精神的な虐待に耐えてきた。もう限界なので、浮気の証拠写真を撮って学校に投書する。夫に汚名をきせて離婚したい。

夫の言動
「電話したとき、不在だった。どこに行っていた」「下着が派手すぎる。化粧が入念すぎる。何か目的があるのか?」「帰宅時間が約束より遅れた。外出先からどうして連絡を入れないのだ! 言えない事情があるのだろう」「これからは実家に行くな! 実家にいたというアリバイなど信用していない」「誰のおかげで食べていられるのだ! お前は俺の言うことさえ聞いていればいいのだ!」「食事の用意がしていない。酒が用意していない。お前みたいに気が利かない女はいない」「お前は頭が悪い、洋服のセンスが悪い、実家の姉妹と似ていて陰気だ」「無駄使いが多い。何に使ったのか証明しろ!」などと日常的にいじめられている。育児中の私に自由時間など無いことを知っているのに、男のくせに底意地悪い夫を憎悪する。

夫を殺したい
大声で騒ぐばかりでなく、蹴ったり殴ったりの暴行は日常茶飯事です。学校で嫌な出来事があったり、彼女とデート(出勤時の服装などでわかる)が思うようにいかなかった日は特にひどく荒れて、帰宅するなりいきなり頬を平手で殴り、ネクタイで首を絞めたり、ビール瓶を投げつけたり、テーブルをひっくり返したりする。

過去2回離婚調停を申立てたが、夫は出廷しなかった。教職を理由に出廷できない言い訳が巧妙で、調停がうやむやになって2回とも取り下げた。
偽善者の夫の本性を、校長を始め教職員や周囲は誰も見抜けない。
私は、実家の親の暮らしぶりを考えると、実家に帰ることもできず、お金がないので弁護士にも頼めない。
子どもも父親におびえて暮らしている。夫は、子どもにも暴行するようになり、そんなとき包丁で後ろから刺してしまいたい衝動にかられる。子どもの将来を思って夫の暴力に耐えてきたけど、もう限界。このままでは夫を殺しそう。子どもを、「夫を殺した母の子」の汚名だけは避けたい。夫から、母子で逃げたい。子どもも小学2年になったので私は働くことができる。調停離婚はあの夫に通用しない。何が何でも離婚したい。助けてほしい。

調査結果
対象者は、英会話スクールの講師 咲子(26)と、ピアノ講師 里香(25)と交際していた。 二人ともアパートで一人暮らしをしており、対象者は、二人のアパートを週に二日の割合で交互に訪問していた。

依頼者の行動
依頼者は、夫が咲子のアパートへ出入りする写真を里香へ、夫が里香のアパートへ出入りする写真を咲子へ送りつけて、夫と二人の女との関係を壊した。更に、夫が二人の女の部屋に出入りする写真を、「山田祐二教諭の正体」という糾弾文に同封して、夫の勤務する学校・PTA役員・教育委員会等へ匿名で送付した。
学校内は怪文書の内容で騒然となった。生徒たちも知ることになり、プライドの高い夫は「休職届」を提出した後退職した。妻は、自分にも送られてきた二人の女の部屋に出入りする写真を夫に突き付けて、「離婚裁判をする」と迫ったところ、妻の要求どうりの協議離婚に応じた。

探偵の眼
「暴力夫の素行を暴いて学校に告発し、夫を窮地に立たせて離婚に持ち込みたい。このままでは夫を殺しそう」と必死で相談してきた妻。DVやモラルハラスメントなどによる妻たちの被害が社会問題化していない時の依頼でしたが、東京渋谷の、DV夫バラバラ殺人事件(妻・三橋歌織の犯行)が起きた時、この高校教師妻の相談時の深刻さを改めて思い知りました。みどりさんの、夫に対する憎悪は強烈でした。世の男性たちは、屈辱を打受けつづけた女性の反発心は想像以上であることを肝に銘じることです。

近年、モラルハラスメント(精神的虐待)を理由にした離婚が急増しています。「夫の暴力もひどいが、精神的虐待は長期にわたるのでこれもひどい。身も心も底なし沼に沈んでいくような感じで回復がむずかしい」と相談者は言います。それでは夫の暴力に耐えきれず、夫を撲殺して遺体をバラバラに切り刻んで捨てたという、DV被害妻が反撃した典型的な事件を紹介します。

新宿・渋谷エリートDV夫バラバラ殺人事件の概要
2006.12.16 東京西新宿の路上で、ビニール袋に入った上半身だけの遺体が見つかる。同年12.28 渋谷区内の空き民家の庭で、下半身のみの切断遺体が発見される。この下半身遺体と、西新宿の上半身遺体のDNAが一致し、この遺体は外資系不動産投資会社に勤務する三橋祐輔(30)と判明した。

最初の遺体発見から約1カ月経った2007.1.10 被害者の2歳年上の妻三橋歌織(32)を逮捕。逮捕後、町田市の芹ケ谷公園で頭部を発見。手首はゴミと一緒に捨てたと供述。
2006.12.12 午前6時頃、渋谷区富ヶ谷の自宅マンションにおいて、ワインの入ったビンで夫を滅多打ちにして殺害し、室内で遺体を切断した。解剖の結果、被害者の頭には8か所の挫創と亀裂骨折が刻まれてた。
夫婦は、結婚後数カ月で不仲になった。妻は夫からドメスティック・バイオレンス(DV)を受け、心的外傷ストレス障害(PTSD)を発症した。そして一時期夫の暴力から逃れるためシェルターといわれる(保護施設)に避難したと供述。

※夫の暴力が激越だったことがうかがわれ、その反動で妻の夫に対する憎悪が強烈だったことが想像できる事件でした。
※ただ、この夫婦喧嘩の仲裁のため夫婦の修羅場に呼び出された、夫の同僚の証言や、その他関係者の取材によると、妻 三橋歌織について批判として指摘されることが多くありました。それは別の事件の時に説明したいと思います。

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