水戸興信所 探偵よろず日記

watanabe

依頼者 妻 益田葉子(30) パート勤務
対象者 夫 益田幸作(32) 会社員 共に仮名

調査目的
夫の浮気相手の証拠撮影と対策

相談概要
 2~3年まえから夫の生活態度が急変したので問いただすと、「事務職のパート女性、中学生の子が二人いるバッイチの広谷千鶴子(38・仮名)と2年前から交際している」と告白した。
私はいま経済的に自立が無理なので夫と別れる意思はない。女と交渉するか調停を申し立てて女に身を引かせたい。夫は、独身時代に女性との交際がなかったらしく、女性を見る眼の善悪の免疫がない。「彼女の奔放な生き方に共感する」などと言って女を讃える。私たちは結婚6年になっても子どもができないため不妊治療をしているが、夫はその女との子どもをつくろうとしていることを悪びれもせずにいう。女に洗脳され、深夜の帰宅や朝帰りを気にもとめない生活になった。
ある日遅く帰宅した夫は私に、「いま彼女と中出しでやってきた」と得意げに言う。そして、電話口で女に「あなたは妊娠できるぎりぎりの年齢だからね。近いうち妻と別れるからもう少し待ってくれ」などと話している。夫は、「若いとき女遊びをしなかった。結婚したら妻以外の女といっぱいセックスをしたいと思っていた。女とやって悪いのか?何が悪い?」と真剣な顔つきでいう。このような常識はずれの男と結婚した私自身も責任を感じるがとても情けない。

繰り返す夫と女の、私に対するあてつけ電話が原因で大喧嘩のすえ自殺未遂を起こした。数日後、女が訪ねてきて「私が身を引きます。今まですみませんでした」「もう、不妊治療の通院はやめてください。子どもがいなくても別の人生もあるでしょうから」などと神妙な顔つきで謝罪した。夫も帰宅して「あの女と別れた。これからはおまえ一筋だ」と言うが、私は全く信用していない。私を欺くための二人の芝居だと思う。
家庭は完全に破綻している訳ではないと自分に言い聞かせている。女が身を引けば元の夫婦に戻れるかもしれないと考えていたが、不倫の原因が私の不妊症にあることを知った為に夫婦としてやっていく気力が失せた。夫の心底を知り、私の心は人生の岐路に立っている。

その後の依頼者と女
退勤後の夫と千鶴子は公園駐車場の隅で落ち合い、ラブホテルやカーセックスに興じていた。探偵が撮影した二人のデート場面のスナップを手に依頼者は千鶴子と会って、夫と別れてくれるよう求めたが女は「あなたの教育が悪いから旦那が私のところに来るのだ。そんなに大事な夫なら、首輪をつけて柱に縛り付けておきなさい」と、先日の殊勝な態度とは別人のように反発した。
女との個人交渉を諦めて、依頼人は女に対して慰謝料請求を申立て100万円の慰謝料で合意した。さらに、女に今後「夫と交際が続ければ、探偵をつけて証拠を撮り何度でも慰謝料請求を行う」と告げると、女は100万円に懲りたらしく身を引いた。

探偵の眼
「そんなに大事な旦那なら首輪をつけて縛っておけ」、は不倫が発覚したとき居直って言う女性の常套句です。離婚経験者ほど不倫の罪悪感はなく、かつ、手口が悪質のようです。そのような傲慢女でも、判決と同じ効力のある調停が成立しました。これを破れば、給料等を差し押さえられることを承知しているので、抑止力の効果は大きいです。
この夫は、日本を代表する大企業のエリート社員ですが人間としての常識が欠落しています。真面目一筋に生きてきて、途中で脱線した場合に軌道修正が難しい男性が多いです。妻はこれから幼稚な夫の調教に苦労するかもしれません。



画像はイメージ



依頼者 妻 岡崎幸江(43) パート勤務
対象者 夫 岡崎健一(43) 会社員 建設会社営業所長 共に仮名

相談概要
夫は、東京の中堅ゼネコンの営業所長をしている。平日は営業所の寮に宿泊し、週末に洗濯物をもって帰宅するという生活が数年続いている。夫は、下着など自分で買う人ではないのに、持ち帰る下着に見たことがないものが入るようになった。
帰宅してもボーっとして考え事をしている。心ここにあらずという感じだ。私たち夫婦は高校時代の同級生で、仲間感覚の会話が弾む夫婦だったが、ここ2年来別人になってしまった。週末も帰宅しなくなり、平日宿泊しているはずの営業所に行っても車がない。どこで何をしているのか調べてほしい。

調査結果
対象者は、営業所の所在するY市内のアパートを借りて、同年代の女と同棲していた(後日の調べで、山田智子・仮名・離婚経験あり。子どもは夫が監護している)。ある金曜日の午後、依頼者から慌てふためいた電話が入った。「夫が午後に帰ってきて『東京本社で会議がある』と言ってスーッに着替えて出て行った。洗濯物の作業着の中から函館のホテルの二名予約メモが出てきた。今夜チェックインの予定です。航空代、ホテル代は別途支払うから現地調査してほしい。そのホテルは函館湾に面したホテル〇〇です。私たちが新婚旅行に行った思い出のホテルです。男ってこんなこと平気で出来るのですか!」と絶叫に近い。
Y市内のアパートに出入りしていた二人の姿を、函館のホテル〇〇のロビーで捉えた。夜、二人は函館山の展望台から市内の夜景を楽しみ、翌朝はホテル近辺の函館朝市を散策した。一連の行動をビデオ撮影。

依頼者
「今までの私の存在は何だったのか。私のすべてを否定されたようで虚しい。しかし今は、大学と高校の子どもがいるし、体の不自由な義母をみているので離婚はできない。義母の最期を看取るか、又は、将来主人が病気などで倒れるか、老いて介護などで私が必要になった時、黙って家を出てやる。それまでは仮面夫婦を続ける。それが夫に対する復讐です。」と言った。

それからの夫婦
依頼者は、「このまま夫を放置しておけば二人の同棲を黙認したことになるので胸糞悪い。母親の日常の介護がどれほど大変なのか思い知らせてやる」と、夫と愛人のいる部屋に出向いて夫を奪還したが、意志の弱い主人は、営業所駐車場に待ち伏せしている女に連れ戻されてしまう。奥さんが再度連れ戻すことの繰り返し。
女の言い分。「健一さんは、妻と離婚して私と一緒になると約束した。奥さんに健一さんを無理に連れて行く資格はない。健一さんの意志に任せるべきだ。もし、健一さんが家に帰るなら、わたしは騙されたことになるので訴えて慰謝料を取ってやる」と言い張り、妻は女の言うことに一理あると思うと気勢をそがれた。

妻と愛人の激しい攻防に、夫はおろおろするだけで何も言えない。このような修羅場に立たされるとほどんとの男は木偶の坊(でくのぼう)「役に立たない人、気転のきかない人をののしっていう」になってしまいます。日頃婦人たちの前の威勢のいい言動は何処に(?_?)。
業を煮やした妻は、「主人の母をここに連れてくるからあなたたちが面倒見て!」と言い放つとこんどは愛人が沈黙した。

探偵の眼
母を妻にみさせておいて、愛人と同棲するなんて、常識では考えられないでしょうが、結構いるのですこのような勘違い男性が。
「新婚旅行の思い出のホテルに愛人と旅行するなんて許せない。私の心は完全に閉じた。心に血が流れた。もう元には戻らない。夫が倒れて、老いて私を必要とするときに家を出る」といった依頼者は、必ずそれを実行すると思える意思の強さを感じる人です。おとなしい物腰の人なのでこの宣言に凄みがありました。
なおこの愛人は、「健一さんと内縁関係にある」と主張し続けましたが、妻帯者との同棲は内縁関係ではありません。法的な保護を受けられないばかりか、民法に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されており、正妻から慰謝料を請求される立場でした。

依頼者 高田信夫(36) 無職  仮名


調査目的
インターネット掲示板に私の中傷が掲載されていないか
警察の犯罪者リストに私が掲載されていないか調べること。
電波を使って私をいじめる壊し屋を突き止めてほしい。

相談概要
1 M 社に勤務しているとき、更衣室のロッカーが荒らされてお金が盗まれる事件がたびたび発生した。この事件当時、私は再就職先が決まり転職したために窃盗事件の犯人扱いされて事情を聞かれた。
2 転職して間もなく、そこの事務員が電話で社会保険事務所の人と私の事を話題にしていた。
3 社内で、みんなが私を見てヒソヒソ話をしている。その会社に行く気力がなくなって退職した。遠方の市外の会社に転職しても窃盗事件の噂をされる。転職を何度も繰り返しているが、中傷の噂が怖くて再就職できなくなった。現在は無職です。就職のたびに「壊し屋」が電波を使って暗躍している。

4 私の身辺につぎのような不思議なことが起こる。
① 庭で洗車していると、他人が自宅を覗き見している。
② 買い物のとき、車や人に尾行されている感じがする。
③ スキー場に行ったとき、チケット売り場の人が私の顔を見て台帳の写真と照合していた。
④ 周辺の出来事で、自分が知らないことを他人が知っている。自分は村八分にされているようだ。
⑤ ショッピングセンターで買い物していると、周囲の人が隣に来て私を見ている。
⑥ コンビニで買い物をすると他人が自分についてくる。
⑦ タクシー運転手の目線が私を見ている。川辺の釣り人が私を見て写真を撮った。
⑧ 学生らが私の車のナンバーを見て何事か話し合っていた。
⑨ 他人が、私の外出先を知っていることがある。電波で調べているらしい。
⑩ 友人も私を避けているみたいなので、わたしから声をかけられない。

5 電波を使う壊し屋か、又は警察が私を苦しめている。数年前、「関西ナンバーの当たり屋」に多くの関東のドライバーが被害を受けたという風説が流布したことがあり、警戒すべき関西ナンバーのリストが出回ったことがあるが、それと同じく何者かが、私の車の番号を「当たり屋なので注意」と書いた中傷ビラを撒いているのではないか。(筆者注・関西ナンバーの当たり屋事件とは、走行中、二台の関西ナンバーに前後に挟まれて、前車が急ブレーキをかけて後続の車を追突させて損害金をとられたという被害者が続出したという風説。しかし、実態は不明。)

探偵の眼
依頼者は、「高校(16)の夏休み町工場でアルバイトをしたとき、職場の人妻(25)に誘われて性関係を持ったことがあり、この女性の身内に警察官がいた。調べられているようで、ずーっと罪悪感に苦しめられた」と告白した。
「警察から嫌がらせを受けている」とか「犯罪者リストに記載されてないか」など「警察」がキーワードになってます。この真面目少年にとって人妻との関係は一大事で、その重責がトラウマになったようです。

身近に起こる些細な出来事を「すべて自分は何者かが操作する電波に監視されている」と思い込み、「怖くて外出できず家に閉じこもっている。自分は村八分にされている」と自虐して引きこもりになりました。
身の丈に合わない行為は自分が苦しむ教訓です。

高田信夫の主張する電波被害や村八分、中傷被害による引きこもりは未だ軽度の「妄想性強迫障害」と診断されるそうです。あれから彼は強迫障害の呪縛から解放されたのか、精神が壊れた人間になってしまったのか。
被害妄想の人物による凶悪事件が続発していますが、それらの報道を聞くたびに探偵事務所を訪れてきた人たちを思い起こします。最近起こった下記の妄想性強迫障害の主人公があなたの隣に潜んでいるのです。彼らに偏見の目を向けては危険です。

山口連続放火殺人事件 2013.7.21 保見光成(63)の犯行。山口県周南市金峰地区

被害者5人全員に恨みがあった。事件2年前、周南警察署を訪問「悪口を言われており、自分はつらい立場にある。村の中で孤立している」と相談。村八分による精神崩壊。

郷集落の住民談
「メディアは、よってたかって彼をいじめたと報道しているが、誰もいじめてはいませんよ。溶け込まなかった彼の弱さもありますし、被害妄想だと思う」。

犯人の弁護士会見・談
「少なくとも保見さん自身の認識では、自分について悪いうわさが流されている、あるいは周りの人から監視されているという意識を強く持っていました」。

洲本市淡路島の集落5人殺害事件 2015.3.10

平野達彦(40)無職 10年引きこもり 集落 村八分 電波系 親も恐怖で警察に相談、などがこの事件の目立つワードです。
ネットに「加害者のツイッターの内容がヤバすぎる 完全な電波系の人ですね」とのネットユーザーの書き込みがあります、では平野達彦のツイッターの一部を掲載します。

※ 電磁波犯罪 ストーキング妄想 反中国 自衛隊 右翼連中テクノロジー犯罪 集団ストーカー犯罪 兵庫県警スキャンダル封じ
※ 米軍ユダヤ日本政府は各地で集団ストーカー犯罪とテクノジーを行っています
※ お前らは被害者に成りすましながら電磁波兵器で天皇崇拝者をつくり右翼活動をしている。手口を世界各国に告発してやるからな。
※ 人の資産も心も次々と欲しがり、集団ストーカー犯罪とテクノロジー犯罪を行っている、人面獣心者ども。

全く意味不明ですね。精神が壊れた人たちの中で特に「電波系」といわれる妄想が顕著な人です。

映画八つ墓村のモデル・津山事件(昭和13)

日本犯罪史上前代未聞の大量殺人事件(犠牲者2時間足らずで30名。オウム真理教事件は全体で27名)
犯人都井睦雄の遺書には「村の冷淡、圧迫、いじめ、弱いのにはこりたこんどは強い人に生まれてこよう」などとしたためられ、動機は「自分の悪口を言った女への復讐のため殺す」とあります。
犯人は、集落の婦女子とだれ彼かまわず淫行を求めたりして本人の責に帰すことが多いが、結核による社会参加ができなかった劣等感も強かったらしいです。そして、これほどの事を起こした動機は集落から白眼視(中傷)された「恨み・怨恨」でした。

結婚2年目で実家に帰った妻との離婚

依頼者 青山幹夫(50) 妻 花子(48) 長男 一郎(25)  すべて仮名

相談目的
実家に帰っている一郎の妻 美由紀(24)と協議離婚を成立させること。

相談概要
1 交際中の妻はスポーツ好きの明るい女性だった。結婚して2年になるが、結婚間もなく、しだいに妻の態度が変わってきた。家族の団らんに加わらず(一郎夫婦は両親幹夫・花子と同居)、夫婦の自室に一人でこもるようになった。
2 夜の夫婦関係も拒むようになり、帰宅後や土日でも家族と会話することなく、食事も一人で取るようになり、とにかく口を閉ざしてしまい家族から孤立した。
3 ある日、私たちが団らんしながら、台所にいた美由紀を少しひやかすと美由紀は庖丁を振りかざして、狂人のような形相で私たちに突進してきた。幹夫が取り押さえた。美由紀は泣き騒いであばれたが一郎が自室に閉じ込めた。
4 隣県に住む、美由紀の実家に事情を知らせた。夜中に両親が迎えに来て、しばらく実家で美由紀を静養させるといって連れ帰った。
5 それから半年になるが、先方から何も言ってこない。あのようなキチガイ女と早く離婚したい。幸い子どもがいないから、離婚条件は無条件ということで双方とも名目の如何を問わず金銭的な要求はしない、との誓約書と離婚届に印を押して、早く美由紀の荷物を引き取る事。結婚後に共働きで買ったエアコンや冷蔵庫など家電品は青山家においていくこと。

妻 美由紀の実家訪問

美由紀さんのご両親は多くの東北人にみられる朴訥な人。挨拶のあと私は「お互いに性格が合わない不幸な結婚でした。青山家では、金銭的なやり取りをしない無条件で離婚したいといっています。」と離婚話を切り出した。
ご両親は、後ろに下がって座って私の話を聞いていた娘さんに、「お前も言いたいことをこの人に言ってみろ」と促した。おとなしく控えて私の話を聞いていた美由紀さんが青山家で暮らした2年間の様子を話し始めた。その話しぶりは、包丁を振りかざして義父母と夫に突撃するような人柄とは見受けられず、教養のある物静かな印象の女性だ。ご両親も、娘さんの話にじっと耳を傾けるだけで口をはさむことはなかった。母親の悲しそうな表情が痛々しい。
美由紀さんの説明した青山家での結婚生活

1 夫、一郎はマザコンで自分の意見を言えず、すべて母親の指示命令に従う人なので、私の意見や希望など一つも通らなかった。
2 義母は、嫉妬心が強い人で一郎さんを私に奪われたという意識を常に抱いているようで、私に冷たく当たった。
一郎さんとお風呂に入っていると、義母が突然浴室のドアを開けて中の様子を見ることが度々あった。
3 義父母と一郎さんはお酒が好きで、特に義父母はビール12本と焼酎4合瓶1本を晩酌として毎晩飲んでいた。私はこのような晩酌の場に付き合いきれないため一人で部屋にこもるようになった。
4 義母は、深夜私たちの寝室の脇の廊下で中の様子を聞いていたようで、そのままその場で寝てしまうこともあり、私がトイレに起きたとき廊下で寝ている姿を何度も見たことがある。
5 義母は、酒乱気味の人でお酒が入ると大声で私の悪口を言いだす。夫は私をかばってくれることもなく、何一つ反抗が許されない環境の中で私は体調を崩し、うつ状態になってることを自覚した。
6 いつものように、家族の晩酌で喧騒が激しくなったとき、私は何かの用事で台所にいたところ、義母が私に罵詈雑言を浴びせかけてきた。その日は特にひどい騒ぎ方だったため、私の心の糸が切れてしまい包丁を持って、居間で騒いでいる家族の前に行って包丁を振り回してしまった。精神が錯乱して抑制がきかなかったです。

離婚することに異存はありませんが、私が一方的に悪者にされて離婚することに納得できません。せめて気持ちだけでも慰謝料が欲しいです。

よろず相談室がうごく
筆者は、青山家の話と、美由紀さんの説明が真逆であるが美由紀さんの話が正しいと、即座に判断できた。私は美由紀さんに「あなたの希望が通るような離婚にしてみせます」と約束して美由紀宅を辞した。青山家の言い分として「幸い子どもがいないから離婚条件は無条件。金銭のやり取りはなし」とのことだが、子どもがいなくても離婚は女性の方がハンディキャツプを負うことになる。夫だけ無傷で妻を突き放す青山家の魂胆が腹立たしい。

美由紀さんの意向を伝える
この美由紀さんの意向は、ほどんとが私の創作であり青山親子は震え上がった。

「美由紀さんの心の病・精神状態はひどい。彼女は『私はもう一生結婚はしない。一郎が結婚したら毎晩そこへ乗り込んで騒いでやる。一郎夫婦が私みたいに壊れるまで嫌がらせを続ける。どうせ私は精神病者だ。精神病院の薬も服用している。あの義母にいじめられたために精神がおかしくなったようなものだ。とにかくあの家族が平和でいることを許さない。』と言っている。復讐の執念が相当強いですよ。少しばかりの慰謝料では納得しないと思う。このさい会社からお金を借りてまで多めの慰謝料を支払って和解した方が将来的に安心できると思う。」と説得して、過分な慰謝料を支払って離婚が成立した。

今回のように、依頼者側の主張よりも相手方に理があり、相手方の立場になって和解を行うことは信義違反ではないと思っています。離婚話も交通事故も双方の意見をしっかり聞くべきであることを再認識した事件でした。

大分放火事件で子供4人が焼死して父親が放火で逮捕された事件。父親は海上自衛官の男(40)で、犯行の動機は「単身赴任先に戻る際妻(42)が見送りに出てこなかったから」。妻が子どもの世話で忙しかったことに不満を抱いていたといい「妻に自分をかまってほしかった」とも供述している。捜査関係者への取材から。このような甘ったれた「お子様夫」に読ませたかった格好の記事、平成22年読売新聞日曜版の切り抜きが手元にあるので転載します。

父親の自覚あるのか・お子様な夫の妄言出産した後も「女」でいて

「子どもを産んでも、妻には女でいてほしい」。インターネットの掲示板「発言小町」へのこんな書き込みに、「育児の大変さが分かっていない」などの厳しい意見が相次いだ。

「乳飲み子がいる」男性からの投稿は、「子どもができても妻とは男女の関係でいたいのに、夫婦関係にすれ違いが出てきた。育児が大変なのはわかるけど、妻には女を捨てないでほしい」というもの。そして「自分は男性として子どもが産まれる前のままでいようと気をつけている」という。これに対し、「あなたも変わるべきでは」「父親としての自覚はあるのか。甘えすぎ」など厳しい意見が飛び交った。

実際、産後しばらく母親は頻繁に授乳しなければならず、心身ともに大変な時期。「うちの夫も『もっときれいにしたら』というけれど、正直、『そんな時間どこにある?』と思う」「まずは夫も育児休業を取るなどを身をもって育児を体験して。そうすれば、妻の偉大さに気付き、本当の意味で妻を大切にできると思う」。夫がもっと育児家事を担えば妻も余裕が出てくるといった、妻たちの実感のこもった投稿が目立った。

そしてある男性の投稿者からは「同じ願いを多くの男性がぐっとのみこんでいる。新しい命を育むという目的の前には、我々の願いは『お子様な夫の妄言』としか思われない。我慢するのが大人の男だ」ときっぱり。

カップル向けの出産・育児の講座を行っているバースセンス研究所の大葉ナナコさんは、恋人同士とは違う夫婦のコミュニケーションを築いていくことが大切だという。
「夫は妻が心を開ける、安心できる存在になればいいのです。まず、妻の気持ちを開いてあげて、育児の大変さやつらさにも耳を傾けて共感し、何を手伝えばうれしいかを尋ねる。妻が自分のことを分かってもらえたと感じれば、ロマンチックな時間が生まれるようになるのでは。

今回の大分放火4人焼死事件の夫婦のどちらかに数人の連れ子がいるそうですが、それはどうでもよく、「母親は(子を助けようとして)水を被って火に飛び込もうとしたらしい」、とネットの書き込みに母親を讃える一方「父親は最悪だ。何で日本の男ってクズしか居ないんだろう」「圧倒的にクズ日本男のクソみたいな犯罪ばかり」と嘆く。

筆者も、40歳の自衛官の男が「妻が見送りに出てこなかった」「妻に自分をかまってほしかった」などの理由が放火の動機になったことを知って、子どものような大人が多すぎることを実感しています。

アルコール依存症の父に育てられた夫 2
※これは依頼者から提供された資料の掲載の同意を得たものです。

日常生活
朝起きてさわやかに「おはよう」が言えない生活。
たとえば、冬は電気カーペットを敷きコタツに入って寝ている。その寝姿はおぞましく見苦しい。コタツから足半分をだし、シャツは寝乱れでグシャグシャ、そのまわりには夕食の食べ残し、茶碗やたばこの吸い殻、みそ汁の具などが散乱している。テレビや電気は点けっぱなしで朝を迎える。歯磨き洗面は決して洗面所に行かず、必ず台所の流しでやる。私が流しを使っていても横で空くのをじっと待っている。

夜中に帰宅して、ガスを付けたまま寝てしまい、これまでに何十個鍋類をダメにしたかわからない。焦げ臭いにおいで一階に寝ている義父が気が付いてガスを止めるので大事に至らない。夜中2時頃ロレツがまわらない電話してきたり、車中で寝てしまうらしく帰宅しないことも度々。私宛の電話を受けてもその伝言を忘れて私には伝わらない。ボーっとしていて会話が成り立たない。子どもとの約束も忘れてしまう。いつもボーっとしてタバコをふかしている。使い終わった綿棒や楊枝はどこにでも放置しけっして物をゴミ箱に入れるということができない。
車の中はゴミ箱よりひどい状態で、ビールの空き缶はもとより、たばこ、つまみの空き袋、梅干しの種、湯呑み、楊枝などが助手席の足元に山のようにゴミがたまっている。腐敗した悪臭が車内に充満していても気に留めない。
靴下はどこへでも脱ぎ散らかす。箪笥を開けたら開けっ放し引出などを閉めることができない。出勤も休日も同じ服装でいて生活の区切りができない。夜中でも足音高く歩き回り、ドアの開閉も加減ができない。私の足を踏んづけても平気だ。家族が寝ているから、夜中だからなど心使いの神経がない。
土日はただひたすら居間のカーペットで寝ている。テレビだけが友だちのようで、無表情で飽くことなく見ている。人間的なぬくもりが感じられず抜け殻のようだ。

優しい言葉などかけてもらったことがない
何度も何度も夫婦のあり方、子どもの教育、夫としての責任や家族のあり方など話し合ってきたが、主人はいつもそのような話になると、一言も発せずただただ私が話し終わるまで沈黙している。「どうなの?」と聞いても明確な返事がないばかりか、その大事な話の最中に「明日の天気はどうなんだ、曇りなのか雨なのか」などと平気で言う。こんな生活が続いて私は気がおかしくなってしまうと思い、ついに家庭内離婚の状態に入った。他人だと思えば、ただの同居人だと思えば腹も立たないと思ったからだ。もちろん夜の夫婦生活もなく、最低限の会話しか交わさず、夫の目さえ見ない生活がもう5年も続いている。「生活をもう一度立て直そうとか、俺たちはどうなっているんだ」など夫からの話はない。

毎日が平和に過ぎ去っていくがごとく夫は生活している。家庭内離婚に踏み切るときにこのような情景は予測できた。多分私がこのまま生活を続けていけば一生このままで終わると思う。ただ時間が流れ、子供も成長し、私も老いていく。毎日の生活がどうであれ時間が流れ月日が機械的にすぎていく。夫にとって生きるということはどうもそういうことらしい。
私は真っ平ご免である。私は自分の人生を生きていきたい。子どもたちにも、生きているということは素晴らしいと思える一生を歩んでほしいと願っているし、親としてそれを教えることが責務だ。そのためには何としても現状から脱出しなければならない。

探偵の眼
前回、アルコール依存症の父親に育てられた夫 1 で精神科医・高橋竜太郎著の一部を転載した、 ・・・そうした子どもは感情の安定性や理性的な判断を親からもらえずに成長するため、ある子どもは抜け殻のようになり・・・
夫、磯野和人は精神科医・高橋竜太郎の指摘するアダルト・チルドレンのようですね。
妻、亜紀さんは子どもが小学5~6年生になるまでじっと耐えていたのです。磯野家の荒涼とした家族関係の中で心も折れずに母親の役目を果たしてきました。筆者のところへ来たときも笑顔が絶えず考えが前向きなのです。とっても聡明な女性だと思いました。

依頼者 妻 磯野亜紀(37)図書館勤務
対象者 夫 磯野和人(40)情報処理会社勤務 IT技術者 共に仮名
※これは依頼者から提供された資料の掲載の同意を受けたものです。

調査目的・相談概要
夫の浮気調査だったが、聞き取りの結果、夫が女遊びなどをしている様子はない。妻は夫との離婚の意志が固いため離婚調停から離婚裁判を想定して、弁護士さんに状況を説明するため「生活記」としてまとめた。

「無気力症候群の人たちは、アルコール依存症の父親に育てられたという共通項があります。父親から絶えず言葉や暴力で攻撃され続けてきたという過去をその人たちは持っている。子どもたちにとって親というのは唯一実感できる大人です。どんなに『親のようになりたくない』と思っても、子どもは無意識のうちに親の言動をまねているものです。子どもの人格は親が決めるといっても過言ではないでしょう。ところがアル中の父親からは、自分をどのように育てたいかということを含めて何もメッセージが伝わってきません。理不尽なことばかり要求されたり、暴力を振るわれたり。しかもその状況から逃れることも許されない。そうした子どもは感情の安定性や理性的な判断を親からもらえずに成長するため、ある子どもは抜け殻のようになり、ある子どもは暴力などの逸脱行為にふけるようになります。どちらにせよ子どもが子どもらしく育つことを否定された結果です。こうした機能不全家族で成人した人をアダルト・チルドレンといいます。」
扶桑社文庫・あなたの心が壊れるとき/精神科医・高橋竜太郎著 から抜粋

生活記
新婚当時より漫然とした不安を感じる
新婚旅行は磯野家の親族と7人でイギリスに行った。夫の親戚のつながりは強い。12日間ずつと親戚と一緒で、最後の夜だけは私の要望で別行動をとった。旅行中の夫婦生活はなし。英語を解さない私に通訳するとかサポートすることもしない。旅行から帰ってからの性生活はつねに3分で終わる。その間会話も何もなく、ほとんど無言の状態で行為が終わり、もっとどうにかしてほしい旨を伝えるがまったく取り合ってもらえない。

義父の酒癖・夫の酒癖
勤務を終えて帰宅すると、同居の義父は一升瓶を庭に転がし、茶の間のポットは横倒しになり皿やコップが居間に散乱しているということが度々で、庭先や家の中でわけの分からない罵声を発しわめき散らしている。義父は雨が降ると仕事が休みで、必ず昼間から仲間と酒飲みになる。夕方には決まって喧嘩が始まるので、私は雨の日の帰宅がゆううつで帰れず、何度も途中のレストランの駐車場で時間をおくったことがある。

結婚当初からこんな有様なので、将来に希望が持てず数度実家に帰ったが、その都度、なんだかんだといっては連れ戻された。
このような生活が続いて何年か経ったある日、義父はいつものように泥酔状態で、私はビクビクしながら夕食の準備や子供の世話をしていると、何やら言いながら近寄ってきたかと思うと突然抱きつかれた。呆然となり子供二人を抱きかかえて逃げ回った。執拗に追いかけられ、二階に上がってきたが必死で義父の手を振り払って大声を上げて難を逃れた。

夫に泣きながら別居してと訴えても、「長男(4歳)が守ってくれる」と一言だけで終わり。早目に帰宅して様子を見るとか、雨の日だけでも定時で帰ってくるとか、誰かに相談するとか、何かはできたはずなのに何一つ行動してくれなかった。

夫自身の酒癖も悪く、まず飲酒運転は平気。缶ビール片手に運転して帰宅する。結婚前に自爆事故で大怪我をして入院したことがあり、「屋根から落ちて骨折した」と会社に申告して解雇を免れた。結婚してからは三度、いずれも自爆で車を大破している。
無気力人間なのに飲むと豹変し、年上だろうと大先輩だろうとかまわず、「あんたは仕事ができない」だの、「あんたの息子を俺が面倒見ている」などと大きなことを言ったり、絡んだりしてひんしゅくを買う。飲みすぎて家の内外ところかまわず吐きまくるのも常である。車の中はもとより、ベランダ、茶の間の障子、トイレ、通路などどこでも平気。他人の家の庭先に勝手に車を駐車して警察から呼び出されたこともあり、その家にお詫びに行くように言っても馬の耳に念仏である。この頃は、酒量が一段と増えロレツが回らなくなり、何を言っているのかわからないときが時々ある。飲みすぎて翌日遅刻や年休を取ることも多い。

育児
自分から進んで子供に接触しようという意志はまったくない。出産後、私がどんなに疲れていても手を貸してくれようとせず、子どもの入浴、風呂洗い、洗濯、食事などの家事は疲労のためふらふらしながら私がやった。子どもが脇で泣いていようと、危ないものに近づこうと無関心。休日はフラリと出かけてしまい、子どもの顔さえ見ようとしない。思い余って私の父親にそれとなく言ってもらうと「僕は気を使うと疲れるのでそういうことはしたくない」との答えだ。
ミルクや必要品の買い物を頼むと、出かけては行くもののいつまでたっても帰ってこず、困り果てたことが何度もあった(注・携帯電話が無い時代です)。成長した二人の子供たちが話しかけても、一度や二度では気が付かない。いつもぼーっとしてテレビを見ている。

野球少年団に入っている小学生の子供の練習に付き添いを頼むと、「この寒いのに僕はグランドになんか立っていられない」とあっさり断られた。父親として、子を養育するという意識など一つも感じられない。

夫の勤務する街に私の実家があり、残業や飲み会で帰りが遅くなると私の実家に泊まることがある。父が一人住まいしている家に、主人は夜遅くヅカヅカと入り、ところかまわず電気をつけ、ガスストーブも点けてそのまま寝入ってしまうらしく、父が夜中に起きてその後始末に追われたようである。火災になりかねないのでその旨注意するが一向に直らないため、出入りを禁止された。夫は「常識」ということが欠落しているのだ。2に続く

依頼者 藤田紀夫(65)無職  仮名

調査目的
電波攻撃をしている者の正体を暴いてほしい

相談概要
  私が何者かに電波攻撃をされるようになって5年になる。その経過を話します。
ハウスメーカーの住宅設計部門に勤務していた55歳の時、帰宅途中ホームセンターに立ち寄り、その店で事務用品を万引きした。もちろん万引きなど初めてのことだが、50歳を超えたころから、なんとなく憂鬱になったり、イライラしたり落ち着きがなくなった。仕事に集中できずやる気がでなくなり、何に対しても興味が持たなくなった。夜は眠れず、疲れが取れない。体もだるく、肩こりめまい等で気分も体調も全く不調が60歳で定年退職するまで続いた。

そのような気分が憂鬱な時期に万引きしたわけだが、自責の念に駆られて仕事も手につかず食事もできなくなって三日目、菓子折りを持ってその店を訪れ、店長に面会、事情を説明し事務用品を返して謝罪した。店長から「今後このようなことはしないように」と注意を受けただけで許してくれた。

これで呵責から解放されたと思った。
しかし、それから社内の空気が一変したような気がした。事務員はあちこちで私を見ながらヒソヒソ話をする。上司の態度が威圧的になった。同僚も部下もよそよそしい態度になった。あの店長が万引きの事を会社に通知したのだと思った。

このように社内から白眼視されて体調は悪化するばかり。定年退職を迎える一年間は事務所内から、ホームセンターの名前や事務用品名、万引き・・などの笑い声や私の名前を誰かが話している声が聞こえるようになった。

退職したら、家庭内別居を続けていた妻は、遠方の実家近くに部屋を借りて別居を始めた。私がずっと相手ができなかったので、男でも探すため逃げたのだと思う。子どもたちはずっと前に独立して暮らしている。今は一人暮らしで病院通いが日課だ。数年前から身辺に異常が起き始めた。自宅の脇のアパートに新聞屋の配達員が数名住んでいる。10名くらいの男らは早朝、昼間バイクでアパートを出たり入ったりして、私を見張っている。電波も私を宇宙から監視している。私が出かける先を察知してその家に私の悪口や10年前の万引き事件を告げ口するようになった。今まで親しくしていた知人や親せき、バイク修理店などどこへ行っても手のひらを返したようでお茶も出してくれず、「早く要件を言え」と追い返すような態度だ。

電波攻撃を受けつづけて糖尿病が悪化した。膀胱に電波が通るので1分間に2回チクリ、チクリと痛む。警察に度々行って被害を訴えたが笑って聞くだけで相手にしてくれない。電波攻撃の犯人はあの新聞配達員を束ねている新聞店長だと思う。早く証拠をつかんでほしい。

探偵の眼
 藤田さんのような人が裁判所、法務局、市役所、警察署などをたらい回しされてたどり着くところが探偵事務所らしいです。藤田さんは事務所に来るたび袋一杯の薬を持ち歩いていました。会社員当時からつづいている糖尿とうつがさらに悪化したようです。
社内から白眼視されつづけ、知人、親戚、馴染のバイク屋からは、同じ悩み事ばかり(自宅の監視と電波攻撃)繰り返し言うため敬遠され、家庭では孤立してストレスがたまる一方でした。「会社内の人が私の悪口を言っている。笑っているのが聞こえる」は幻聴です。「新聞配達員が入れ替わり、俺を見張っている」は、配達にでかけ、戻って休憩して配達先拡張と集金など出入りが多いだけなのです。新聞配達員から見張られていること、電波攻撃の被害は妄想です。

藤田さんのように「電波攻撃をうけている」という相談は探偵事務所開業以来、年に数件あるのですが、「万引きによる呵責」が原因で心が折れた人は初めてでした。 藤田さんを攻撃している新聞屋グループの証拠調べが終わってから1カ月ほどたって、新聞の「お悔やみ欄」に藤田さんの死が掲載されていました。病死か自殺か不明ですが孤独のまま亡くなって行った藤田さんが可哀そうに思いました。

万引きによる自責の念は藤田さんばかりでなく、大勢の人が苦しんでいることが分かりました。ネットの書き込みに、「数年前の万引きを謝罪したい。6~7年前高校生の時実行犯の行動を知りながら止めず、盗品と知りながら商品を譲り受けたことがある。近頃報道されている万引きの動画を見ていたらふと思い出し、罪悪感に苛まれています・・。自己嫌悪で何もする気が起きません」とあります。

藤田さん死亡後知ったことですが、万引きにおける「しょく罪寄付」という制度があり、弁護士会等への寄付で慈善事業のため用いられる。しょく罪寄付は万引きで得た不法な利益を「得たままにせず、きちんと公共のために返還した」という証拠になり有利な情状の一つになります。しょく罪寄付を行うことによって減刑される場合があります。
このしょく罪寄付は、店長と面会して和解した藤田さんの事例には該当しないことですが、せめて密かに善行や苦行を重ねて罪滅ぼし、償いをして自らを許す知恵があったらば、と悔やまれます。

男と女の建築工法 神津カンナ 作家  ※注 これは17年前の週刊誌の記事です。

 どんなことでも受け止め方の違いというものはある。今話題の「松方夫妻」の芸能ニュースを見ている時にもふっとそんなことを感じた。
かって松方氏は、隠し子の存在が発覚して記者会見を開いたことがある。その時の模様が、今回の報道の中でも繰り返し画面に登場したが、松方氏はその中で、女房には怒られたけれど許してもらった、彼女は最高の女房です・・・というようなことを発言していた。実に嬉しそうな顔だった。
 それはそうだろう。隠し子発覚となれば、それは相当な夫婦の危機である。そこを何とか乗り越えたのだから、安堵するのも無理はない。ただ、私はその映像を見ながら、ああ、この山を乗り越えた時に双方が抱いた思いは、かなりかけ離れたものだったんだろうな・・・と思った。(中略)この騒動が一段落ついた時、たぶん松方氏のほうは「ここまで許してもらった」のだから、「これ以下ならまた許してもらえる」という方向に心理が展開し、一方、仁科さんのほうは、「今回は許した」けれども、「もう次は許さない」という方向に気持が展開した。つまり、山を乗り越えるまでは一緒だが、その後の互いの気持ちは、まったく異なる方向に向かい始めたのではないかと思うのだ。

 「あんなことさえしなければ、そこそこのことなら、謝れば勘弁してもらえる」と気楽になる男。「あれだけのことを許したけれど、もう次はどんな些細なことも許さない」と硬直する女。簡単に言えば、男は「次もOK」と思い、女は「次はNO」と思う。この認識のずれが、結局は大きな亀裂が入る。

 アメリカで大学生活を送っていた時、クラスメートの女の子が、こんなことを言ったことがある。「男の人の嫌いなところはね、一度キスしたら、次の時にキスまでは当然だと思い込んでいるところ。このまえ三まで進んだら、今度は当然四からだって感じ。毎回一からっていう発想がないのよね」。その時はふーん、と聞き流していたけれど、最近になって彼女の言葉を鮮烈に思い出した。

 確かにこういう違いは男と女の中にはあるようだ。そして男は、「女は理屈が通らない」とか「だから女はよくわからない」と評するのだけれど、女のほうは、男の素直すぎる理論構築に驚くばかり。この感覚の相違は、やはり埋めがたいものなのではないかと思う。
 たとえば定年を迎えた夫が突然、離婚を妻から言い渡される・・・というのも、男は、ここまで一緒に生きてきたんだから、この先も当然だろうと思い込んでいるから呆然とするのである。女の心理展開は、男のように「当然」とか「たぶん」で煉瓦を積むような進み方ではないのである。遊牧民のパオのように、さっきまで「家」をなしていたのに、あっという間に畳んで、跡形もなく運び去ることができてしまうのだ。「思い」の建築工法が違うのである。だから男と女は面白いし、壊れる時はびっくりするようなことになる。(以下略)。

※これは、週刊誌名は忘れましたが、「女がつくる男のページ」という記事ほぼ全文を転用しました。1998.12.10の印字があるのでこの日の発売です。男と女の「思いの違い」が分かり易く書かれたものなので、ページを切り取ってずっと保存していました。

妻に家出されたり、浮気されたりで探偵事務所に相談にきた夫たちにこの紙面をコピーして渡したものです。相談時の夫たちは頭に血が上っていて、この記事の内容を理解する人はあまりいませんが、後日、「俺が間違っていたみたい」とか「修復に努力する気持ちが起きた」とか言って、妻の家出や浮気を不問にする夫も少なからずいました。

NHK職員の美人妻が執念の「浮気調査」

NHKのディレクター(37)の妻(34)が、夫の不倫相手に慰謝料を求めた訴訟で、東京地裁は1月30日、「留守宅に泊って妻の怒りを増幅したばかりか、裁判でも平然と嘘をつき、居直っている」として被告の女性(26)に600万円の支払いを命じる判決を下した。この種の裁判では異例の高額という。

妻はモデルを目指したこともあったが、短大を卒業後、NHKの地方局でアルバイトをしているときに夫と知合い、結婚。一方、被告のA子に、(注・紙片の保存状態が悪く判読不能)。妻の執念の浮気調査のたまものだ。

判決文によると、夫がA子さんとつき合い始めたのは、長男誕生後まもない92年5月ごろ。妻の前で、「インテリなのにグラマーな女性だよ」などと、A子さんを話題にし、外泊が目立つようになった。同年8月、夫が海外出張をした際、1 土産を買ってこない 2 スーツケースにつけられた旅行会社のラベル札が全部引きちぎられていた 3 出張後は必ず休みをとるのにとらなかった、など五つの疑惑から妻の追及が始まった。

航空会社に電話を入れ、搭乗者名簿や出張先の天候まで調べあげて夫の嘘を暴き、問い詰めた。夫はA子さんと一緒だったことを認めて。「見つけてくれてありがとう。A子と泥沼になるところだった。もうやめる」と殊勝に謝った。
ところが妻が実家に戻り、10日後に帰宅すると、ショッキングな痕跡が家にあった。1、(紙片の保存状態悪く判読不能) 2、・・・髪が布団にあった。3、夫は掃除をしない人なのに室内がきれい 4、夫の嫌いな果汁100%の酸っぱいいジュースが六、七個なくなっていた、など計7点である。夫側は、泊まったのは妹だと弁解したが、被告のA子さんは毛髪鑑定に応じず、判決では、「弁解は採用できない」と退けられた。

妻は夫の実家に行き、不倫を訴えたが、義母から、「大騒ぎしてくれたわね。NHkにでも知れたら息子の立場はどうなるの」と言われた。
夫が日曜も「仕事」に出かけ(・・・判読不能)張込んだ。そして、夜中の1時にミニスカートに着替えてタクシーを拾ったA子さんを追尾、東京・新宿のホテルに入ったところを見届けた。翌朝、フロント付近で夫とA子さんを発見。「この人の妻です」とフロントに言って、夫の宿泊部屋を見せてもらい、中にまだあったA子さんの衣類や本、夫が土産に買った化粧品類を現認したのだった。

※これは1997.2.14週間朝日の18年前の記事の切り抜きです。筆者の知るところ、不倫相手にこのような高額な慰謝料の支払いを命じた判決は無かったので保存していました。一般的なサラリーマン夫婦が結婚歴30年で、夫が不倫して離婚した場合の妻に支払われる慰謝料が300万円と言われた時代です。「不倫」に関してこの記事は夫の言訳、義母の態度を実によく表しています(誰もが同じことを言います)。そして、探偵顔負けの妻の疑惑追及(証拠収集)と果敢な行動は見事でした。裁判官も人の子です。A子はふてぶてしく嘘に満ちた弁明をしたので裁判官の反感を買い異例の高額の慰謝料支払いの判決がでました。この記事は、不倫をしている夫と女、その妻の取るべき態度についてよい教訓になると思います。

 

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