watanabe
熟年離婚は悲劇なのだろうか?

熟年離婚ができるということは別れても何とか経済的にやっていけるということだ。裕福な生活を捨てて古いアパートに移り、パートと年金でどうにか生活している人もいる。今まで仕事をしてこなかった主婦の中には一人ではとてもやっていけないと思って我慢している人もいるだろうし、夫が頑として離婚に応じない場合もある。
ストレスで心身ともにずたずたになったときには、そこから離れるというのが一般的な対処法だ。学校に行くと頭痛やめまいがするとかいじめに会うとかいう場合は不登校という手段もある。夫婦関係がこじれて心身ともに疲れ果てたら、別居や離婚という方法はあるが、その最大の障害は経済的問題である。
凶行に及んだ妻の責任は重いが、そのような行動に至るには離婚を強く希望していたのになかなか応じないとか、経済的に追い込まれたなどいろいろと訳がありそうだ。夫が妻に強く依存しすぎると、このような悲劇が繰り返されるだろう。
ある定年向けの講演会で、初老の男性から「家庭内別居の状態ですが改善する方法はありますか?」と尋ねられた。「家庭内別居は熟年期夫婦の一つの解決策です。お互いに自立していなかったら家庭内別居は成り立ちません。さすがに重病の時や突然死亡した時などはすぐに発見してもらえるので、大きな問題はないと思います」私の答えである。妻の殺気を感じても、諸事情で離婚できないときは家庭内別居も一つの方法だ。
作者プロフィール 石蔵文信(いしくらふみのぶ)昭和30年、京都市出身。内科、循環器科専門医。大阪市内で「男性更年期外来」を解説し中高年の心と体の専門家として丁寧なカウンセリングと治療に定評がある。
これは歌手・タレントの 円 広志 さんが週間ポスト1998,07,24号 夫婦口論 に投稿した記事です
いつもいっしょにいて、愛し合って仲のいいカップル・・・。理想のカップルというと、すぐそんなんを思い浮かべますけど、実際、そんなカップルはいないと思うんです。1万組のカップルがあったら9999組は違う。夫婦げんかもすりゃァ、はよ家から出てったらエエのにと思ってますよね。
では、理想のカップルって何やと思います?僕はね、別居だと思うんです。別居するとあまりけんかせんようになるんです。口もきかんようになるしね。笑うでしょ。笑うかもしれないけど、よーく考えて下さい。
長い間夫婦やってると、どうせいっしょにいても口きかないでしょ。夫婦は合理的に考えることです。いかにお互いが快適に暮らすかということを追求せなアカンのです。
だから、僕の考える理想のカップルは、別居夫婦。別々に暮らして会いたいときに合うのが理想。僕は別居歴10年になります。結婚して22年、ちゃんと子供も2人いてますよ。
そりゃ、最初、女房は心配します。このまま壊れてしまう、別れてしまう、女作るとちゃうかとか、いろいろ考えます。しかし、女作る人は、夜まじめに家に帰ってきても昼間浮気するんです。そういうことをいちいちかんがえるのがおかしい。
本当は、男も女も別居したくてしょうがないと思うんです。それを口に出すのが怖いだけじゃないですか。
実は別居すると、もうひとついいことがある。長生きする。なぜか?無理にいっしょにいるストレスがたまりませんから。
※参考
1953年生まれ。1977年結婚 2016年12現在63才 シンガーソングライター タレント 作曲家 関西では大御所タレント。
別居歴は20年超です。孫もいます。
筆者の感想として、理想は別居に共感することは多々あります。
「毎晩夫の帰宅が遅いので、退勤後の行動を調べてください」。妻が夫にいだく浮気調査依頼です。
調査結果、夫たちの退勤後の行動は、アダルトビデオショップ個室でDVD観賞、漫画喫茶、パチンコ、ショッピングセンター、公園などに駐車して長時間の時間つぶし・・・。浮気どころか、女性と接触することもなくただ一人で過ごしている夫たちは結構多いのです。この帰宅拒否症候群と、いま社会問題になっている「大人のひきこもり」の病理は同類のようです。
濡れ落ち葉・粗大ごみ扱いされ家庭に居場所が無くて、帰宅を厭う熟年男性の行動は理解できるのですが、30代、40代、妻子から信頼され存在感が一番必要とされる時期に、夫が帰宅したがらない日が続いて、妻からの浮気疑惑が晴れないでいると暗澹とした家庭となってしまいます。昨今青少年の犯罪が激増する一因はその子たちが仮面夫婦、親子断絶、家庭崩壊の環境で育ったからだと、養育歴が問題視されています。
学校や社会で問題を起こす子が夫婦の不仲に起因するならば、夫婦がいがみ合ってストレスをためないように、円広志の別居のすすめも一考かもしれませんね。離婚に発展してしまう夫婦不仲の別居ではなくて夫婦間で話し合って健全な?別居は確かに理想の一つかもしれません。ただ現実には別居するための経済的な問題を越えなければなりませんが。そこで、今日急増している「家庭内別居」の実態があります。これは別の機会に投稿の予定。
これは週刊ポスト1993年代に読者から投稿された記事の切り抜きです。面白そうなものを切り抜いて保存しておいたものです。切り抜きが数十枚あるので時折記事にしてみます。
裸は好きだけど 裸一貫はキライ (53才自営業 妻は50才の専業主婦)
我が家の現在の家庭内離婚状態は、離婚すると、鬼女房が要求する莫大な慰謝料のため、私自身身動き取れなくなるから、仕方なく起こっていることなのだ。
先日発表された離婚統計によると、9割は夫が妻に支払い、慰謝料の平均は、400万円ちょっととのこと(筆者注・21年前の相場です。財産分与は別です)。
離婚を避けられなかった多くの理由は、夫が妻を引き留められなかったからだという。妻が去って行くなんて、世間の亭主たちは、なんと幸せな妻を持っていることか。私は、涙が止まらなかった。
私の妻は、鬼か悪魔か親の仇の生まれ代わりか。離婚には応じるが、夫の私に出て行けという。「いくら譲っても、住宅(庭付き一戸建てです)と預金の半分はいただきます」と主張するのだ。「何を言っているのだ!この家は私が建てたし、貯金も私が稼いだ金だ。お前は裸で来ただけではないか!」というと、「その裸が好きで、結婚したのはアナタでしょう」とほざく。ウッと一瞬つまったが、「それもそうだ」というわけにもいかず黙っていたら、「アナタが死ねば、みんな私のものになるんだからね!もう少しの辛抱だと思っているわ!」と高血圧の私を刺激することをのうのうとつけ加えるのだ。
こんな妻とどうやって別れればいいのか。なんとも憂鬱な私である。
※探偵の感想
30代40代夫婦の離婚の場合、子供の親権・監護の争いと、子の養育費の支払・その金額が争いの中心になっているようです。この記事の投稿者のように50代を超える離婚劇は財産分与と慰謝料の金額が争点になります(熟年婦人から夫の浮気調査報告後の聞き取りによる)。熟年の妻たちは、離婚後の生活設計について熟慮しなければなりません。調査結果、夫の浮気の事実が判明してパニックになって「即離婚」を叫ぶ夫人は少ないです。これから先、寡婦として生きていくための風景がどのようなものなのか見えているのかもしれません。夫人たちは一様に深刻な表情になってしまいます。
「家庭内別居」は修復の可能性があるようです。「家庭内離婚」は復活はゼロにちかいようです。5年~10年言葉を交わしていないという夫・妻たちもいるのです。この投稿者・夫の妻のように、「アナタが死ねばみん私のものになるんだからね!もう少しの辛抱だと思っているわ!」の持久戦の熟年・老後の生き方も選択肢の一つでしょうが、「自分が死んだら財産の全部を愛人に遺贈する」などの「遺言書」をひっそりと作成しておく夫たちも現実にいますので長期間の家庭内離婚状態も要注意ですね。
DV相談は全国共通の電話番号 0570-0-55210
10月4日 コンビニで刺され32歳死亡静岡県牧之原市
4日午前1時半頃杉山沙織さんが「元彼が家の前に立っていて怖い」などと助けを求めた。店員がカウンターの中にかくまって、警察へ通報している間追いかけてきた男が店に入って、止めに入った店員を突き飛ばしカウンターに隠れていた杉山さんの首や腹を刺した。警察が駆けつけた目の前で男は自分の首や腹を切ったという。杉山さんは病院に搬送されその後死亡が確認された。男は40歳くらいで命に別状はないという。
杉山さんは以前、同居していた男と別れ話をめぐってトラブルになり警察に相談していて警察は男を指導。しかしその後、2人は警察署を訪れ「当人同士で解決する」と話したため対応をやめたという。
このネットニュースに対するコメント
火のないところに煙は立たぬ。人間関係のトラブルも世界中このくすぶった煙が事前に必ず警告する。今回のような殺害ともなれば尚のこと、過去によほどの問題経緯があったはずだ。
未然に防げたものを防げない。それは親子であろうが家族であろうが異性であろうが無差別殺人でない限り同じであり、勇気ある行動に移さない方々は非常に残念で悲しい。
ネットの書き込みはさらに続く
A.ストーカーは自己正当化キチガイだからな。なので合わない相手に「ちぇっ次行こう次」と絶対ならず徹底的に追いつめて刺して「ざまあみろwwwお前絶対間違っている」。
やんわり断る・・・>気を持たせた言い方しやがって! きっぱり断る・・・>ひどい言い方しやがって! 返事がNOである限り 目ん玉ひんむいて刺してくるのがストーカーだ
B.これで一人殺しただけだから死刑にならないとか理不尽すぎる。
C.死刑どころかせいぜい10年程度だろ 個人間のトラブルは相応の理由があるので 殺される側にも非があると判断されるんだよ
D.相手が納得して別れないとこうなる。女は自分の都合だけで別れようとする、殺されてても仕方ない
E.それ男にも言えるけどな これがストーカーの理論だな
F.別れる時は大抵、どっちか片方の都合だからなw この手のストーカー犯罪ってホント増えたよな 女々しい男が多くなったのか フラれたら、さっさと次に行けよ
※筆者注 以下の記事に注意してください。
女性の部屋の近くに住む女性によると、女性は男性と一緒に暮らしていた日もあったという(一時婚姻関係にあったという警察情報も会あります)。
「一度引っ越したことがあったが、再びこのアパートがいい」と戻ってきた。元のアパートに戻ったということは、女性は男性との問題はすべて解決したと思っていたのでしょうか。
時系列
27年10月頃から同棲
28年3月24日 杉山さん「同棲相手が出て行かない」 警察 男に出ていくよう伝える
3月26日 警察 男の両親・杉山さんの上司にトラブル解決の協力を依頼する
3月29日 警察 アパートで男に出ていくよう伝える 男「わかりました」
3月30日 2人が警察署を訪れる 「これ以上の対応を打ち切ってください」
10月04日 コンビニ内で杉山さん刺殺される
筆者は今回の事件について、前記のネット上の書き込みを紹介した中で「火のないところに煙は立たぬ。・・」は或る程度同意できるが、A~Fの投稿についてこの人たちはストーカーの気質、DV男の本質や行為を深く知っていないと思いました。
ストーカーの特徴ネット資料から
① 人間関係における「自分の思い通りにしたい」という異常な執着、② 他人や社会に対する攻撃性、③ 「自分は自分、他人は他人」という「自己」自立性の欠如、④ 「他者」への依存性と思い通りにいかない場合の被害意識(加害行為をしていながら、被害意識を持つのが人格障害の特徴)、⑤ 問題解決の展望の欠如などであるが、「他者」との関係で「自分の思い通りにしたい」という感情から出発し、あらゆる理屈が自分の感情の正当化のために用いられる。
筆者は数多くのストーカーと面談や電話での会話をしてきました。逃げ回る女性を探すための相談でしたがことごとく断って仕事として受けません。受件しないのに長時間彼らの相談対応をしてきたのは、この人たちの人間性を探り研究するためでした。その結果見えてきたのは
彼らのずるさ、卑劣さ、幼児性、妄想癖、虚言癖、自己愛、身勝手、(孤独感、寂しさ、愛への欲求)この三つに多くの女性は同情して交際を始めるが、本性を知って避けようとするとストーカー行為が始まる。劣等感、高いプライド、人間的もろさ、恨み、妬み、猜疑心、狡猾・・など人間の醜さを凝縮しています。ストーカーは例外なくこれらの性格が共通しています。
あるストーカーの依頼 30歳代 妻子あり 二つの事例は平成12年12月14日ストーカー規制法が施行される以前です。
男「別れた女性の、自宅~会社・会社~自宅について女が同乗している母親の車を尾行して出勤、退勤経路を調べてほしい。母親と娘は、私を警戒して1カ月以上娘を会社への送迎をしているので直接女と会う機会がない。根気よく尾行を続けてくれれば、コンビニやスーパーで買い物をするはずなので、その時は場所を教えてほしい。その店へ急行しますので。」
探偵「それでそこでどうするつもりなの?」 男「女が私から離れたのは母親の意見だと思う。女から本心で別れる言葉を聞いたらその場で女を刺し殺して私も死ぬ」
ストーカー被害を受けている女性からの相談・20代 デパート勤務
「35才くらいの男性客が商品についていろいろ質問してくるので、細かく説明した。この対応が男の歓心を得たらしい。帰り駐車場で待ち伏せされお茶に誘われた。お客様でもあるので丁寧に断ったが、昼~夕~男は毎日のようにデパートに現れて声をかけてきたり駐車場で待ち伏せされる。怖いので帰宅時は探偵さんの車で帰りたい。」(ストーカー対策として探偵に護衛を依頼する女性がいます)。
私は、その男の車のナンバーをメモして、県北のある駅前の派出所へ相談に行った。
交番の2人の警察が「あ!そいつは(高橋・仮名)だ。あの男は精神的におかしいから対応に気をつけてください」との忠告。警察官が高橋の人間性を説明するには、ある日、高橋が交番に住宅地図の閲覧に来た。婦人警官が対応したのだが、それから一月に3日くらいの割合で交番のその婦警に花束をプレゼントとして持ってくるようになった。最初は冗談だと思って軽くあしらって返したが、真剣な顔つきで花束を持ってくるのが続いた。婦警も男の行為におびえるようになってしまい交番の業務にも支障をきたすようになったある日、「ふざけていると逮捕するぞこの野郎!」と大声を上げて奴を怒鳴りつけてやったところ来なくなった。彼奴はターゲットをかえたんだな」。
私は、この男の異常性格を依頼者に伝え、探偵が帰宅をガードしたくらいでは解決しないと諭した結果、女性はデパートを退職した。
DV(ドメスティック・バイオレンス)
冒頭の事件の男はストーカー気質とDV気質を併せ持っていると思います。
離婚相談に探偵事務所を訪れる夫人たちが訴える、夫から受けたDV被害の態様をまとめると、
身体的暴力・・・殴る、蹴る、引きずり回す、物を投げつけるなど
精神的暴力・・・大声で怒鳴る、罵る、脅すなど
性的暴力・・・性行為を強要する、見たくないのにポルノビデオやポルノ雑誌をみせる、変質的な行為を強制するなど
経済的暴力・・・生活費を渡さない、働きに行かせないなど
社会的暴力・・・行動を制限する、友達に合わせないなどです。
私の質問 「どうしてこんな男とずっと生活を続けてきたの?」
夫人たちの答 「あの人はあの時、お酒に酔っていたから」「私の受け応えが悪かったから」「たまたま虫の居所が悪かったから」などと妻たちは「夫の暴力は一過性のもの」と自分に言い聞かせて、憎むべき夫をかばう妻もいるのです。性格異常者と向き合う妻たちの難しさだと思います。夫たちもまた、自分の暴力について一過性だったと弁解し、翌日には別人のように優しくなったりするのです。夫人たちは、優しい姿の夫を本当の姿だと思い込んでしまうようです。
この妻たちの説明にあるとおり、夫たちの特徴として、あるときはとても乱暴なのに、一転して泣きながら反省の態度を見せ、別人のように優しくなる・・・。性格異常者の本質を見抜けないまま、5年10年~ずるずると結婚生活を続けてしまうのですね。筆者は、このDV男たちの狂暴性と優しさの反転・真逆の姿勢が意図的なのか自然の発露なのか未だにわかりません。これからの課題です。
DV夫の浮気調査の依頼者40歳前半の主婦。夫は自営業 子ども二人。「調査の結果夫に女がいたら今度こそ別れる」決意で調査依頼。
結婚以来夫から受けた暴力の数々をまとめた。殴る、蹴る、髪を引っ張って引きずり回す、腕をねじる、首をひねる、刃物を突きつける、突き飛ばす、ジュースやお茶をかける、大声で怒鳴る、実家や友人と付き合うのを制限したり、電話や手紙などを細かくチェックする、カマをかける、殴るそぶりや、物を投げつけるそぶりをして脅す、誰のおかげで生活しているのだ、人の前でバカにしたり命令したりする、自尊心を低下させることをいう・・・。
夫には愛人がいた。調査結果を報告。
私は、依頼者に新しい生活を始めるための準備などを教え始めたところ、依頼者は力なく首を横に振りました。曰く「私と子どもが逃げたところで、実家の親が殺されます」。
DV被害に遭っている夫人たちが逃げられない背景には、DV夫たちは「お前が逃げたらお前の実家の親を殺す」と人質をとって脅しているのです。これほど卑劣なことは無いですが、この脅し文句はDV男の常套句なのです。依頼者が夫にバットで頭を殴られてパックリ割れた傷痕が痛々しかったです。
コンビニで刺殺された杉山沙織さんはこの男と知合って、暴力と優しさと脅しで支配されて翻弄されてしまったのでしょう。
ネットに、被害者にも落ち度があるような書き込みは間違っているとおもいます。ストーカー&DV男は一方的な自分の思いを遂げるのです。このストーカーたちの行動は予測できないのです。
DV相談は全国共通の電話番号 0570-0-55210
依頼者 夫 竹中亮輔(34)IT技術者
対象者 妻 竹中優香(32)専業主婦
3歳の子供有り 仮名
※ これは事件簿を参考にしたフィクションです。
調査目的
妻の昼間の行動調査
相談概要
子どもが、「よそのおじちゃんと動物園に行った」、「ケーキ買ってもらった」などという。妻は「保育園の友だちのパパだょ」と言い訳する。
妻は何かにつけて反発するようになり、数カ月セックスレス。深夜のヒソヒソ長電話が多い(注・携帯電話が一般に普及していない当時)。協調性もなくなり、心が飛んでいる。家庭の中に今まで感じたことのない空気が流れている。妻は、何事にも冷めた感じで接し、投げやり。確証はないが妻に男がいるのではないか。
調査結果
対象者が外出時、依頼者立会いで電話に「盗聴器・録音機」をセットした。
録音テープの再生
男「・・旦那とやっているんだろう・・」
女「やらせないよ!私の体は竜太のものだから。・・風呂も一緒に入らないよ・・布団も別にして、ガードルつけて寝ているのだから・・大丈夫」「それから・・子どもがパパに『おじちゃんにケーキ買ってもらった』などと話しているのでもう連れていけない・・これからは親に預けていくから心配しないでね・・いっぱい抱いて・・」。
タバコを立て続けに吸い、ため息を繰り返しながら聞いている依頼者の表情が痛ましい。
会話の内容から二人が待ち合わせするパチンコ店が判明。後日、パチンコ店駐車場で男と女は合流し、男の車に乗って男のアパートに直行した。
経過
後日、依頼者に状況を報告すると、「男にケジメを付けるのでそのアパートに案内してほしい」。
アパートの部屋が点灯されて男の在室を確認すると、依頼者はワンカップ2本を立て続けに飲んだ後、探偵に「立ち会ってほしい」というのでドアをノックした。「どちらさん?」と男がドアを開けた途端、依頼者は「この野郎!」と怒鳴りながら男を突き飛ばし、靴のまま乱入して男を殴り始めた。男は、防御したが乱入者が女の夫であることを知ると無抵抗になった。夫は、男に激しく殴る蹴るの暴行を加え続けた。
男の顔が腫れあがり、両眼がふさがる状態になっても男はじっと耐えていた。探偵は、これ以上殴ったら危険と感じて依頼者の暴行を制止した。
探偵の眼
依頼者は、コンピュータプログラマー。端正な容姿。物静かな挙動からこの人の真面目さが伝わる。今日まで暴力などに縁がなかった生き方であろうと想像できるだけに、あの爆発的な暴行者に豹変したことが信じ難い。
平和な家庭を壊した男が許せなかったのだろう。「妻の浮気相手を暴力で封じる」という古典的な制裁を久しぶりに見た。
激しい暴行を受けた男も肝が据わっていた。自分の非を認め無抵抗・無防御で殴られつづけ、気分が悪くなったため探偵と依頼者の付き添いで夜間病院に急患で入り、医師に「数人の酔っ払い通行人に殴られた」といって暴行者をかばった。暴行がもとで1週間臥せっていても苦情も言わず、女と別れる誓約書を自ら書いて提出した。
依頼者は、「妻の背信で受けた心の溝は一生埋まらないと思う。離婚しか選択肢はない。ふるさとへ帰ります。」と繰り返し言っていたが、子どものために妻の不貞を許したことを後年人伝にきいた。
私の知人女性からの報告
ママ友4人で飲み会の話題から。
A子さんのフマン
結婚歴25年。24歳と22歳の男子あり
夫は、結婚後きちんと仕事はしているが、家庭を顧みず競馬やパチンコ等を趣味として遊んでいた。夫は資産家の息子なので親からの小遣援助で遊んでいたので借金はない。
何処の妻たちも思いは同じだと思うが、家族を大切にしてくれる夫でいてほしかった。
積年の恨みは募るものの離婚はせず、二人の子供たちに資産を残すためにと割り切った考え選択した。現在、家庭内別居進行形だ。食事のおかずは、冷蔵庫の奥に忘れかけていた1週間以上前の物を調理し直して、味を濃くしておいて置く。夫の食器類は洗わないで台布巾で拭き取るだけ。
勿論、食事は息子たちとの3人で新しいものを仲良く食べて、夫には時間差で3人が食べ終わった後に、用意したものを食べるように言ってある。
B子さんの場合
夫は、子育てで大変な時期に、若い女と浮気して遊んでいた。その時はジッと我慢して耐えてきた。子どもも成長して、下の子が学校卒業を期に離婚する準備を計画的に着々と進めている。
C子さんの場合
夢のマイホームを手に入れたがローンの支払いが大変でゆとりのある生活はない。老後夫婦で暮らしたくないから、夫が早く亡くなるように、夫のおかず類にはすべて塩や醤油をたっぷりかけて出している。
情報提供者のその女性は、「女は怖いな~」とビックリ。「私も我慢して結婚生活を続けていたら同じようになっていたかもしれない」。「私はママ友の話を聞いて悲しいです。今の時代、上手くいっている夫婦の方が少ないのですか?」との報告でした。
上手くいっている夫婦が多いか少ないかは筆者にはわかりません。週刊ポストに夫たちから、妻たちからの投稿された記事を「当世夫婦口論・夫のガマン 妻のフマン」として1993年から2ページの記事として連載が始まり、面白いも部分の切り抜きがずいぶん手元にあります。この投稿特集は1995年に単行本として発売になり、大好評のため翌年「夫のタメイキ 妻のトイキ」の単行本も発売されました。当世夫婦口論への特集に投稿記事が殺到して単行本になるのですから、世の夫たち、妻たちのガマン・フマン、タメイキ・トイキの忍耐の家庭生活がどれほど多いか想像できますね。
1998年7月「夫のガマン・妻のガマン」理想のカップルと私たち・編の見出しです。
理想のカップルってどこにもいない 結局タクワン食ってる俺たちだよ チルチル ミチルみたいにな
オシドリってカモ科の鳥なんですよ。おたがいが相手のカモになり切ることが仲良し夫婦の秘訣とか。
ビビビッと来たか、ドカンと来たかは人それぞれだが、どうにもこうにも、結婚を決めた思い出の瞬間を「クソツ!魔がさしたのだ・・・」と悔やんでらっしゃる方は多いよう。
連れ合いが異常に輝いて見え、結婚すれば人も羨む理想のカップルになれるはずっ、なーんつって思い込んだ結果が、現在の家庭。逢う魔が時に見入られたといいたい気持ちもわかるけど、ある意味、それも正しい夫婦なのだ。「正しい夫婦の基準は、相互の誤解にある」(O・ワイルド)。
理想のカップル、理想の結婚生活には、理解だけではなく誤解が有効だなんて・・・。夫婦って複雑怪奇であります。
続いてこれは掲載された週刊誌名は不明ですが1999年の週刊誌切り抜きの記事を掲載します。前記A子、B子、C子さんの心境、いや、世の多くの妻たちの思いなのです。
「老いた荷物の面倒はいや」45~54歳の妻の6割が「居心地がいいのは1人の時」「退職金が出るまでガマン ガマン」
問題の調査は、「サントリー不易流行研究所」が発表した「ミドル世代の生活実態調査」。45歳から54歳の夫婦200組と、35歳から40歳の夫婦100組を対象に行ったアンケート調査なのだが、驚くべきは、同研究所が「ミドル世代」と定義した45歳から54歳までの夫婦の回答だ。これによれば、「居心地のいい時間を感じるのは誰といる時が多いですか」という設問に、夫の6割は「妻といる時」と回答しているのだが、「夫といる時」と答えた妻は3割だけ。6割の妻は「居心地のいいのは1人の時」と回答しているのだ。さらに愕然とさせられる数字はこれ。「これまでに離婚を考えたことがありますか」という設問に、妻の46%が「ある」と回答しているのだ。夫の75%が「ない」と答えているだけに、夫婦のギャップが目立つ。
事実、熟年離婚は急増している。家庭問題情報センターが算出したデータによれば、97年に離婚した夫婦のうち、妻が45歳から54歳のケースは2万3542組。その27年前の70年が3717組だったのに比べると、実に6.3倍にも増えている。ちなみにすべての世代の離婚件数は70年から97年までの27年間で1.6倍増。他の世代に比べ、熟年世代の離婚率の伸びが飛びぬけて高いことが分かる。
しかも、ミドル世代の妻の半数近くが、「離婚を考えたことがある」と回答したアンケート結果にもあったように、熟年離婚の場合、妻側から離婚を訴えることが多いという。
家庭問題情報センター専務理事の話だ。「熟年夫婦の妻がある日突然、離婚を宣言、夫に財産分与、慰謝料を請求するケースが結構あります。たとえ夫が「一銭もださない」といっても、妻は出ていきます。
>『お金はなくても、老いた荷物の面倒を見なくていいだけ楽』ということなのです」。
熟年サラリーマンといえば、真っ先にリストラにされがちな世代。それと同時に最後の支えである家庭もまた、崩壊の危機に瀕していると言えそうだ。
では、どんな熟年夫婦が、こんな事態に陥りやすいのか。研究員によれば、「役割分担夫婦」だという。自分たちが意識しているかどうかはともかく。「夫は外に出て働き、妻は家庭の中で家事、子育てをやる」という分業体制を指す。「家族のために懸命に働いてきた役割分担型の夫の場合、家庭に戻っても居場所がないことが多いのです。会社人間だっただけに、家のことはわからないし、何をしていいのかもわからないのです」一方の妻。子育ても終り、夫からも自立して、新たな道を歩き始めていることが多い、と研究員は続けた。「ボランテア活動、再就職など夫と関係のないところで第2の青春を楽しむ妻たちがふえています。家では何もすることがない夫。新たにすることを見出す妻」以下、ページ紛失のため終り。
依頼者 妻 大谷真理(45)主婦
対象者 夫 大谷輝雄(47)設計事務所経営 仮名
大学生の息子あり
調査目的
浮気調査
相談概要
夫は、パート婦人5名を使用して土木建築設計事務所を経営している。
ある日の夜、用事があって会社に立ち寄ると、事務所内で下着姿の女が、夫の座っているソファーから、脱いだパンストを持ってあわてて奥の更衣室へ走り去った。夫は、「パートさん(宮崎明子 主婦・42)に娘さんから事務所に急ぎの電話が入ったので、この机の電話を使った」と言い訳したが、そのような状況ではなかった。 夫に強く抗議して宮崎を辞めさせた。
それから3年が経過した。その間、夫婦の会話と夜の関係は極端に少なくなり、ここ2年はほとんど私を求めなくなった。空気が凍っているようで他人の家で生活しているようだ。 夫は、ワイシャツにファンデーションや香水の匂いをつけて帰る。下着に精液のようなものがしばしば付いている。車に隠し持っている、箱の中のコンドームの数が減っていく。車の走行距離が特定の曜日に30㌔くらい多く走っている。
最近は家事も手につかなくなり息苦しい。宮崎との疑惑を口に出すと、「俺は潔白。あの女とは何もない。お前はノイローゼだ」とあざ笑われ、夫の姉夫婦と弟夫婦からも心が病んでいる嫁として白眼視されている。夫の叔父、伯母など親戚からも軽べつ視され孤立した。
地元では屈指の旧家の長男へ嫁ぐとき、遠く離れた田舎の母親が「女は三界に家なしだからね」と静かに話してくれたことわざが、いま身に染みる。 現在、自律神経失調症と、うつと診断され、隠れて心療内科に通院している。 私は、夫が浮気していると確信を持って言える。悔しくて我慢できないので証拠を取って白黒をつけたい。この戦いに負けたら私は田舎へ帰ります。
調査結果
対象者は毎週月曜・金曜の午後3時に会社を出る。途中のコンビニでビール、ジュースつまみ類を買って隣町の総合運動公園の駐車場に入った。駐車場の片隅に女の乗った白のワンボックスカーが駐車している。対象者はこの女の脇に車を止めて、ワンボックスカーの後部座席に乗り込む。それから2~3時間二人は後部座席で過ごす。女は宮崎明子だった。医療事務のパートを3時に終わってからこの駐車場に来て車内デートしていた。1カ月にわたる二人のデート場面の映像を依頼者に提出した。
それから
依頼者は、夫と姉、弟、宮崎夫婦を自宅に呼んで話し合いを開いた。密会現場の写真を開示すると、輝雄と明子は集まった全員から激しい糾弾を受けた。 依頼者夫婦と宮崎夫婦は険悪なやり取りになったが、男女は「不倫関係を清算してそれぞれに謝罪する」念書を書いた。
探偵の眼
ダブル不倫の場合は、秘密裡に処理しないで夫婦双方を参加させて大騒動にした方が結論が早いです。結果、良い解決もあるが、夫婦の破局、血を見ることもある。双方の夫婦ともに、常識人で、社会的にも平均以上の地位があり、世間体をとても気にするタイプで、子供が中学、高校、大学、の在学中などであれば双方の夫婦参加の不倫清算はほとんどが上手くいきました。
依頼者は、毎晩夫の入浴中に車の走行距離をメモし、車内に隠し持っているコンドームの減った数を点検し続けて、夫が女とデートする曜日を特定した。この涙ぐましい努力に胸が打たれました。
高齢の義父母は永く入院しており、家事の合間に病院に毎日見舞って洗濯物の交換、好物の食べ物の提供など献身的に尽くしているのに、夫から「お前はノイローゼ」と嘲笑されては立つ瀬がありませんね。「夫の姉夫婦、弟夫婦からも心の病人扱いされて悔しい日々だった。この3年間の生活は砂漠を彷徨っているみたいでした。調査を入れて立場が逆転したので救われました」との談。
依頼者は調査の当初、「離婚して故郷へ帰る」と涙を浮かべて訴え、私たちがなだめ励ます日々が続きましたが、「不倫清算の話合いのあと夫婦関係が好転した」とうれしい連絡がありました。
女三界に家なし
「三界は仏教語で欲界・色界・無色界、つまり全世界のこと」
女は三従といって、幼い時は親に従い、嫁に行っては夫に従い、老いては子に従わなければならないとされるから、一生の間、広い世界のどこにも安住の場所がない。女に定まる家なし。 「三省堂 大辞林」
依頼人 妻 内田早苗 (40)パート勤務
対象者 夫 内田一郎 (42)会社員
実家に帰り現在妻子と別居中 仮名
調査目的
別居中の夫の浮気調査
相談概要
夫は3年前から毎日飲酒して帰るようになり、帰宅が遅くなった。下着が汚れている。携帯電話を見られないように車に隠しておき、夜中に車の中から電話している。週末に必ず出かけるなど、女の影を感じるようになった。
家族との会話もほとんどなくなって、3年間家庭内別居の状態が続いた。1年前、「実家に帰る」とメモをおいて出て行った。 半年前に家庭裁判所から夫が申立てた調停の通知が届いた。離婚理由は「性格の不一致」といっているが、どこの夫婦にも有るようなことだと思う。こんなことでいちいち離婚請求されたら、どこの夫婦も離婚が成立してしまう。
私は、小、中学生の子を3人育てており、経済的に大変で、夫のわがままな言い分は到底受け入れられない。頑として離婚に反対し、2回で調停は不成立になった。まもなく、原告の夫の代理人弁護士から、離婚請求訴状が家庭裁判所から届いた。 決定的な原因もなく、ただ「性格が合わないから離婚する」という主張です。
このままでは、私が悪者なって離婚されてしまいそうなので、夫の行動を調べてほしい。女が必ずいると思います。
調査結果
対象者は、退勤後市内外れにあるスーパーに向かい、駐車場の車で待っている女と合流。女を乗せた対象者は、(食事をしたり、おでん屋に入ったり、スーパー銭湯に入ったり)したあと、郊外の公園駐車場の車内で2時間くらい過ごしてから11時頃にそれぞれ帰路に就く。週末はドライブに出かけてモーテルへ入る。女の身元は車のナンバーからすぐわかり、両親と同居している独身OLだった。
裁判結果
裁判で、夫は独身女性との不貞を認めた。離婚請求を拒否していた妻は、「破綻した夫婦関係は修復できない」ことを承知した。慰謝料請求が認められ子らの養育費もほぼ要求が通った。
訴状では、「妻は外交的性格で思ったことをそのまま話すタイプ」で、「夫は内向的性格であまり喋らないタイプ」、そして家庭内別居の状態で夫婦の仲は完全に冷え切っており、これは(民法770条[裁判上の離婚原因]第1項5号)の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する、と夫は主張しました。
いわば、「外交的性格で思ったことをそのまま口にするタイプ」の妻と内向的な自分は性格が合わず婚姻が破綻したから離婚する、と言っているのです。
探偵の眼
事例のように、妻が離婚を望んでいないのにもかかわらず、別居から、ずるずると離婚に至ることが多いです。このような立場にいる妻にとって重要な部分なので法律の解説を引用します。「離婚の法律紛争」泉久雄編 ゆうひかく選書
回復の見込みのない婚姻の破綻
夫婦が長期間別居しており、その上、夫婦の一方が他の異性と同棲しているとすれば、その夫婦(少なくとも一方)は既に婚姻継続の意思を確定的に喪失しているとともに、夫婦としての共同生活の実態も存在しないといってよいでしょう。判例(最高裁大法廷・昭和62年9月2日判決)も「夫婦が婚姻の目的である共同生活を達成できなくなり、その回復の見込みがなくなった場合」は、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい事由」にあたり、夫婦のどちらからでも離婚の請求ができることとしました。いわゆる回復の見込みのない婚姻破綻を離婚原因として認めました。
(中略)回復の見込みは将来の予測の問題ですから、確信をもって断言することは誰にもできないでしょう。(中略)
有責配偶者の離婚請求の場合には、妻が真に婚姻継続を欲していれば、有責配偶者さえ悔い改めれば、回復の見込みはあるし、婚姻継続意思が疑わしければ、回復の見込みは乏しくなります。別居期間が短ければ回復の見込みはあるし、相当に長ければ回復の見込みは乏しくなります。
すべて相対的な判断になり、事案により裁判官の主観により、統一性を欠くことになります。そして決め手となるのは、事実としての回復の見込みではなくて、有責配偶者に、婚姻関係回復の努力を要求すべき事情が、存在するかどうかという法的規範判断になります。
そこで、夫婦の一方が、自分の有責行為で婚姻を破綻させておきながら、それを理由に離婚を請求するというのは、原則として、正義・公平の観念、社会的倫理観に反することになるから、その離婚請求が信義則の原則に照らして容認されうるものでなければならないとしています。
婚姻が回復の見込みがないまでに、破綻しているかという判断と、離婚請求が信義則に反しないかという判断は、相関しています。
探偵の眼 Ⅱ
裁判中に依頼者は、「この夫と関係修復はむり」と考えて、有責配偶者からの離婚に応じて高めの慰謝料と子どもの養育費を要求通り認めさせる作戦に代えました。
「このまま悪者にされてはたまらない。夫には女がいる」と、探偵事務所を訪れたのは正解でした。
「裁判中に、『あのパパはいなくてもいいょ』と、子どもたちの声に背中を押されて離婚を決めました。嘘ばかりついている夫の不貞を暴き、逆離婚状を叩きつけた感じで一矢を報いた」と笑顔が清々しいです。
依頼人 妻 永田京子(40)専業主婦
対象者 夫 永田 健(44)銀行員 12歳の子あり 共に仮名
調査目的
夫の行動調査
相談概要
夫は毎晩帰宅が遅い。私も元銀行員だったのでわかるが、業務のための遅い帰宅ではない。土曜日曜の外出が多い。県外からの高速道路料金の領収書がたびたび財布に入っている。夜の夫婦関係も全くなくなった。そわそわして落ち着きがない。確証はないが、女がいるような感じがする。
結婚して分かったが、夫は婚前とは別人の性格だった。暴力、暴言が絶えない。冷酷な夫に委縮し続けた生活の為に神経症になり、2年前自殺を図った。里帰りして半年以上静養していたが、夫は一度も見舞いに来てくれなかった。実家にズルズルしていると戻れなくなる気がしたので思い切って夫の元へ帰った。
実家で静養しているとき、独身時代付き合っていた彼のことを思いだし、懐かしさのあまり「秀樹とキスしたい。抱かれたい」などと手帳に書いたものを夫に盗み見された。夫の部屋に、「離婚の法律知識」「男女間紛争の解決実例百科」などが置いてある。離婚問題について調べているみたいだ。
自殺未遂を起し、「秀樹とキスしたい・抱かれたい」等の空想メモの手帳を見られてから夫は特に冷淡になった。[俺はお前のこと、もともと好きではない」と言ったり、子どもの前で私の非をあれこれと言い立て、「パパとママが離婚したらどうする」などと聞いたりする。
インターネットで人妻の不倫に関する記事を探してプリントし、私の枕元に山のように積み重ねて置いておく。「お前はこの事件のように不倫願望がある女なのだ」と言いたいらしい。底意地悪い夫に私は完全に覚めた。
夫が単身赴任で借りていた部屋に、女が出入りしていたようで、「引っ越しのとき机の中に忘れ物しないでね」「新しい係でお仕事頑張ってください。応援しているよ。いつだって・・チュー」などと書かれたメモを大事に保管している。
義母に相談しても、「男はみんな浮気性だから」といって取り合ってくれない。
不貞の証拠を取って絶対有利な離婚をしたい。
調査結果
銀行の独身女性と交際していた。
土曜、日曜は午前中に待ち合わせをして、東京都内に買い物に出かけたり、関東近郊の観光地にドライブに出かけてラブホテルに入るのが定番コースだった。
探偵が撮影した夫と女のデート場面の写真を見た依頼者は、「え!?・・この女は私と同期入社した同僚で、夫が独身のとき交際していた女性。ずっと続いていたんだ・・・」と絶句。「この絶望感は言い表せない。家にいるだけで自分が壊れてしまいそう。これで終止符を打つ覚悟が決まった」と言ってあわただしく協議離婚を成立させた。
探偵の眼
自殺未遂の過去がある自分が怖かったのでしょう。「とにかく離婚するだけででいい」といって、協議離婚を先行させて子どもを連れて実家に帰り、心身が落ち着いてから慰藉料と財産分与を請求する方法を取りました。尚、夫及び、不倫相手の女に慰謝料の請求権が行使できる期間は3年以内。夫に財産分与の請求権を行使できる期間は2年以内と法律で決められているので注意が必要です。
この事例のように、独身時代に交際していた女と結婚後も続いていたということは結構あるのです。妻は「今までの自分は何だったのだろう。結婚生活を全部否定されたようだ。絶対に許せない」と言って、このケースは100%離婚に至ります。
まあ、このような関係を平然と12年以上も継続できる男の精神構造は異常です。奥さんの離婚の選択は正解でした。
依頼者 夫 小川清二(42)JR勤務
対象者 妻 小川敏江(37)会社パート
仮名
※ これは事件簿を参考にしたフィクションです。
調査目的
妻の行動
相談概要
妻が半年前からパートに出た。
忘年会、新年会、送別会、歓迎会、食事会、カラオケ会などの理由で帰宅が遅くなり、土日も外出することがある。「嘘だろう」と追及すると、「いつも増田今日子(近所の主婦・同じ会社のパート勤務)と一緒だ。」と言い張る。この増田という女も男遊びのうわさの絶えない人で、妻はこの女と男を紹介し合ったり、口裏合わせをしてお互いかばい合っているのだ。髪の毛を染め服装も派手になり、下着も若い女性が身に着けるようなものを着用するので、男性関係を疑うと「証拠を出せ。」と大騒ぎする。
妻が寝ている間にバックの中を点検したところ、数名の男のものと思われる携帯番号と住所のメモが出てきた。食事会、カラオケ会に男女のグループで出かけて、最後はそれぞれのパートナーで別々にホテルなどに行くのだと思う。
ここ2~3カ月の間、同僚や友人に頼んで退勤時の妻を追跡したが、追い越し禁止と信号無視を繰り返しながら100㌔以上のスピードで走行するので追跡が成功しない。妻は、出勤するふりをして会社を休んだり、早退したりして昼間も男とデートしている(妻の車の助手席のシートが倒れていたことがある)。
私が夜勤の日、妻は男を自宅に入れることもあり、隣の主人が「深夜、お宅の玄関を入る男の姿を見た」と教えてくれたこともある。その他、男が家まで迎えに来て2~3時間、近くの空き地に止めて車の中で遊んでいるのだと思う。子どもたちは、一度寝たら朝まで起きないのでいつでも夜間外出ができるのだ。中2、小6の子どもは妻に洗脳されて反抗的になり、私と口も利かなくなった。母の味方ばかりして不審な行動を黙認している。
妻は、「女が欲しいなら商売女を抱いてくればいい」と言って夜の関係を拒む。家族会議をしたこともあり、きずなを強めようと釣りやバーベキュー、買い物に誘うと「あんまりいいパパぶりをしなくてもいいよ。」と否定される。
いまは、子どもに免じて私が折れて表面上は仲良くしているが、嘘の言訳ばかりして堂々と遊びまわっているので悔しい。復讐のために証拠を取る。
調査結果
依頼者の要請で、自宅電話に盗聴器を組み込み、奥さんの車にGPSを取り付けた。土曜日の午後、男女数名で近くのひなびた観光地にドライブして、食事して帰ってきたことや、依頼者が悪女呼ばわりする「増田今日子」と隣町に出かけて買い物、食事して帰ることが数回あったが男性に関する不審な行動はまったくなかった。
妻の夜の外出は、町内の公民館・リフレッシュセンターで行われる子供会、母の会、学習報告会などの集会に参加していた。
妻は電話で、夫のノイローゼ(神経症)状態(注・心理的な要因と関連して起こる心身の機能障害。病感が強く、不安神経症・心気症・強迫神経症・離人症・抑鬱神経症・神経衰弱・解離性障害など種々の病型がある・広辞苑)を心配して、「占いをしてもらう。精神病院へ連れて行く。双方の実家の親も心配している」「本人の自殺や、自宅放火とか子どもと私に危害が及ばないか心配だ。」など、夫の状態について、会社の女先輩や妻の姉などにしきりに相談している会話が録音されていた。音質から深刻さが伝わる。
探偵の眼
二人の子供は部活動と宿題に追われる毎日に加え、反抗期に入り、父親のコントロールに服さなくなりました。妻は、久しぶりの勤務にでて躍動した。このような家族模様は何処にでもあるのに、一部の夫たちはどうして神経症などにおちてしまうのでしょうか?
依頼者は勤勉な人柄(性格的に律義・生真面目の夫たちに心が折れる人がが多いです)。
依頼者の勤務は4日に1日の間隔で宿直が入る勤務体制。 妻の不倫妄想を持っ夫に共通しているのは、転勤で単身赴任の夫、夜勤交代、宿直など不規則勤務の人が多いです(俺の夜勤の留守中に妻は何をしているかわからない、と不信感を持つ夫)。糖尿病や人工透析などで性的能力を失った夫。それに加えて、今回の依頼者の家族のように、妻が、男の多い職場に働きに出て活気づいたこと、そして今までの専業主婦の仕事の他にパート勤務の疲れなどが加わって夜のお付き合いが疎遠になったり、関係を拒否されるようになった夫。
その他の要因として
今まで統率者として家庭に君臨していた夫。妻と子どもが(夫・父親から)自立したため、家族がバラバラになったような孤独感と疎外感。家族の隔たりに焦って、家族で買い物、ドライブ、キャンプ等を計画してもそれぞれの都合で実現しない。妻や子供たちは自分の生活の環境を優先させるため、「あまりいいパパ振りしなくてもいい。」と言われたのを素直に解釈できずに、妻に対する猜疑心が増大して事態は悪化するばかりでした。
自己中心の夫もダメ、妻と子にべたべたまとわりつくのもダメ・・・
妻や子供の環境と心境の変化に夫は気が付くことが大事で、(夫・父)は落ち着いて距離をもって(自分の立ち位置をわきまえて)見ていれば家族全員が救われるのだと思います。
いつまでも妻子の統率者として君臨しようとする夫・父は単なる暴君にすぎなくなり妻子の心は家庭から離れるばかりのようです。