水戸興信所 探偵よろず日記

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依頼者 妻 山田みどり(33)専業主婦
対象者 夫 山田祐二 (35)高校教師 共に仮名

調査目的
 夫の浮気調査

相談概要
結婚以来ずっと夫の浮気と暴力、精神的な虐待に耐えてきた。もう限界なので、浮気の証拠写真を撮って学校に投書する。夫に汚名をきせて離婚したい。

夫の言動
「電話したとき、不在だった。どこに行っていた」「下着が派手すぎる。化粧が入念すぎる。何か目的があるのか?」「帰宅時間が約束より遅れた。外出先からどうして連絡を入れないのだ! 言えない事情があるのだろう」「これからは実家に行くな! 実家にいたというアリバイなど信用していない」「誰のおかげで食べていられるのだ! お前は俺の言うことさえ聞いていればいいのだ!」「食事の用意がしていない。酒が用意していない。お前みたいに気が利かない女はいない」「お前は頭が悪い、洋服のセンスが悪い、実家の姉妹と似ていて陰気だ」「無駄使いが多い。何に使ったのか証明しろ!」などと日常的にいじめられている。育児中の私に自由時間など無いことを知っているのに、男のくせに底意地悪い夫を憎悪する。

夫を殺したい
大声で騒ぐばかりでなく、蹴ったり殴ったりの暴行は日常茶飯事です。学校で嫌な出来事があったり、彼女とデート(出勤時の服装などでわかる)が思うようにいかなかった日は特にひどく荒れて、帰宅するなりいきなり頬を平手で殴り、ネクタイで首を絞めたり、ビール瓶を投げつけたり、テーブルをひっくり返したりする。

過去2回離婚調停を申立てたが、夫は出廷しなかった。教職を理由に出廷できない言い訳が巧妙で、調停がうやむやになって2回とも取り下げた。
偽善者の夫の本性を、校長を始め教職員や周囲は誰も見抜けない。
私は、実家の親の暮らしぶりを考えると、実家に帰ることもできず、お金がないので弁護士にも頼めない。
子どもも父親におびえて暮らしている。夫は、子どもにも暴行するようになり、そんなとき包丁で後ろから刺してしまいたい衝動にかられる。子どもの将来を思って夫の暴力に耐えてきたけど、もう限界。このままでは夫を殺しそう。子どもを、「夫を殺した母の子」の汚名だけは避けたい。夫から、母子で逃げたい。子どもも小学2年になったので私は働くことができる。調停離婚はあの夫に通用しない。何が何でも離婚したい。助けてほしい。

調査結果
対象者は、英会話スクールの講師 咲子(26)と、ピアノ講師 里香(25)と交際していた。 二人ともアパートで一人暮らしをしており、対象者は、二人のアパートを週に二日の割合で交互に訪問していた。

依頼者の行動
依頼者は、夫が咲子のアパートへ出入りする写真を里香へ、夫が里香のアパートへ出入りする写真を咲子へ送りつけて、夫と二人の女との関係を壊した。更に、夫が二人の女の部屋に出入りする写真を、「山田祐二教諭の正体」という糾弾文に同封して、夫の勤務する学校・PTA役員・教育委員会等へ匿名で送付した。
学校内は怪文書の内容で騒然となった。生徒たちも知ることになり、プライドの高い夫は「休職届」を提出した後退職した。妻は、自分にも送られてきた二人の女の部屋に出入りする写真を夫に突き付けて、「離婚裁判をする」と迫ったところ、妻の要求どうりの協議離婚に応じた。

探偵の眼
「暴力夫の素行を暴いて学校に告発し、夫を窮地に立たせて離婚に持ち込みたい。このままでは夫を殺しそう」と必死で相談してきた妻。DVやモラルハラスメントなどによる妻たちの被害が社会問題化していない時の依頼でしたが、東京渋谷の、DV夫バラバラ殺人事件(妻・三橋歌織の犯行)が起きた時、この高校教師妻の相談時の深刻さを改めて思い知りました。みどりさんの、夫に対する憎悪は強烈でした。世の男性たちは、屈辱を打受けつづけた女性の反発心は想像以上であることを肝に銘じることです。

近年、モラルハラスメント(精神的虐待)を理由にした離婚が急増しています。「夫の暴力もひどいが、精神的虐待は長期にわたるのでこれもひどい。身も心も底なし沼に沈んでいくような感じで回復がむずかしい」と相談者は言います。それでは夫の暴力に耐えきれず、夫を撲殺して遺体をバラバラに切り刻んで捨てたという、DV被害妻が反撃した典型的な事件を紹介します。

新宿・渋谷エリートDV夫バラバラ殺人事件の概要
2006.12.16 東京西新宿の路上で、ビニール袋に入った上半身だけの遺体が見つかる。同年12.28 渋谷区内の空き民家の庭で、下半身のみの切断遺体が発見される。この下半身遺体と、西新宿の上半身遺体のDNAが一致し、この遺体は外資系不動産投資会社に勤務する三橋祐輔(30)と判明した。

最初の遺体発見から約1カ月経った2007.1.10 被害者の2歳年上の妻三橋歌織(32)を逮捕。逮捕後、町田市の芹ケ谷公園で頭部を発見。手首はゴミと一緒に捨てたと供述。
2006.12.12 午前6時頃、渋谷区富ヶ谷の自宅マンションにおいて、ワインの入ったビンで夫を滅多打ちにして殺害し、室内で遺体を切断した。解剖の結果、被害者の頭には8か所の挫創と亀裂骨折が刻まれてた。
夫婦は、結婚後数カ月で不仲になった。妻は夫からドメスティック・バイオレンス(DV)を受け、心的外傷ストレス障害(PTSD)を発症した。そして一時期夫の暴力から逃れるためシェルターといわれる(保護施設)に避難したと供述。

※夫の暴力が激越だったことがうかがわれ、その反動で妻の夫に対する憎悪が強烈だったことが想像できる事件でした。
※ただ、この夫婦喧嘩の仲裁のため夫婦の修羅場に呼び出された、夫の同僚の証言や、その他関係者の取材によると、妻 三橋歌織について批判として指摘されることが多くありました。それは別の事件の時に説明したいと思います。

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