登場人物 全員仮名
夫・白石 守(56)自営 妻・咲子(54)会社員 長女 みどり(28)
夫・櫻井 淳(58)会社員 妻・雅子(54)外交員 長男 一雄(30)銀行員
相談概要
依頼者 白石咲子さんが来所。夫・守は駅前で設計事務所を経営している。夫は、昼時間は自宅に戻って昼寝して休んでいる。過日、布団の敷布の上に女性のものらしい髪の毛が落ちていた。不審に思って、二~三日後、更に二~三日後に押入れの敷布団を見たら、やはり長い髪の毛と、陰毛らしいものが落ちていた。夫が、昼休み時間に女を連れ込んでいるらしいことを考えると気が動転して、倒れそうになった。
ある日、昼休みが終わる1時頃、自宅の様子を見に車で行く途中、夫の車とすれ違った。夫の助手席の女は、私の車を見てあわてて膝先に体を屈して隠れたが、一瞬その女を見た。
助手席の女は、私の長女 みどりの夫 一雄さんの母親・雅子に違いなかった。頭が真っ白になり思考が凍りつき、車を側溝に落としそうになって止まった。市内の娘のところで体を休めた。娘から、「それが本当なら大変なことだが、事実をもっと確かめるまで口外しないように」と口止めされた。
夫に、その日の昼下がりのことは問わなかった。夫も、何事もなかったような態度をとった。
一雄とみどり夫婦は、市内のアパート暮らし。同じ銀行員の職場結婚で、みどりは寿退職して、現在妊娠7カ月になる。
数日後、咲子さんと娘みどりさんが深刻な顔で相談に訪れた。「父親・守と、一雄の母親 雅子の不倫が事実だとすると、親戚関係は解除、つまり、私と一雄は離婚せざるを得ない。お腹の子は7カ月になるので中絶して離婚と言う訳にはいかない。神経もずたずたになっていく感じがする。いまは、どうしても父親と、相手の母親の関係の真実を知りたい。」と、悲壮な感じの訴え。
調査結果
対象者は、女を乗せて妻と対向車ですれ違ったため、警戒して昼時間女を自宅いれることはなくなった。平日の昼やすみ、対象者は事務所を出て街角に徒歩で向かう。ある場所に女性が運転する車が停車しており、対象者が乗り込む。車は郊外のモーテルに直行した。午後三時、女の運転する車がホテルから出た。翌日も、翌々日も全く同じ行動だった。
対象者が女の車に乗り込む姿。女の車がモーテルの駐車場に駐車している場面。モーテルから出てくる車中の二人。車から降りて事務所に向かう対象者の姿、など一連の流れをカメラに収めて依頼者に報告。
写真を見た母子は、「あ!」と絶句し顔から血が引いていくのが分かった。やはり、父親の浮気相手は、夫の母親だというのだ。
探偵の眼
娘夫婦、その両親六名の間で壮絶な罵り合い、沈痛な話し合いを三日間行った結果、両家の親族関係を断絶すること。娘は父親と、息子は母親と絶縁する。みどりと一雄は婚姻を継続する。守と咲子、淳と雅子夫婦はそれぞれに慰謝料の請求はしない。ということでとりあえず収まりました。
身重のみどりさんが、人生の岐路に立たされた事件でした。
コメントを残す