水戸興信所 探偵よろず日記

依頼人 妻 内田早苗 (40)パート勤務
対象者 夫 内田一郎 (42)会社員
実家に帰り現在妻子と別居中  仮名
調査目的
別居中の夫の浮気調査

相談概要
夫は3年前から毎日飲酒して帰るようになり、帰宅が遅くなった。下着が汚れている。携帯電話を見られないように車に隠しておき、夜中に車の中から電話している。週末に必ず出かけるなど、女の影を感じるようになった。
家族との会話もほとんどなくなって、3年間家庭内別居の状態が続いた。1年前、「実家に帰る」とメモをおいて出て行った。 半年前に家庭裁判所から夫が申立てた調停の通知が届いた。離婚理由は「性格の不一致」といっているが、どこの夫婦にも有るようなことだと思う。こんなことでいちいち離婚請求されたら、どこの夫婦も離婚が成立してしまう。

私は、小、中学生の子を3人育てており、経済的に大変で、夫のわがままな言い分は到底受け入れられない。頑として離婚に反対し、2回で調停は不成立になった。まもなく、原告の夫の代理人弁護士から、離婚請求訴状が家庭裁判所から届いた。 決定的な原因もなく、ただ「性格が合わないから離婚する」という主張です。
このままでは、私が悪者なって離婚されてしまいそうなので、夫の行動を調べてほしい。女が必ずいると思います。

調査結果
対象者は、退勤後市内外れにあるスーパーに向かい、駐車場の車で待っている女と合流。女を乗せた対象者は、(食事をしたり、おでん屋に入ったり、スーパー銭湯に入ったり)したあと、郊外の公園駐車場の車内で2時間くらい過ごしてから11時頃にそれぞれ帰路に就く。週末はドライブに出かけてモーテルへ入る。女の身元は車のナンバーからすぐわかり、両親と同居している独身OLだった。

裁判結果
裁判で、夫は独身女性との不貞を認めた。離婚請求を拒否していた妻は、「破綻した夫婦関係は修復できない」ことを承知した。慰謝料請求が認められ子らの養育費もほぼ要求が通った。
訴状では、「妻は外交的性格で思ったことをそのまま話すタイプ」で、「夫は内向的性格であまり喋らないタイプ」、そして家庭内別居の状態で夫婦の仲は完全に冷え切っており、これは(民法770条[裁判上の離婚原因]第1項5号)の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する、と夫は主張しました。
いわば、「外交的性格で思ったことをそのまま口にするタイプ」の妻と内向的な自分は性格が合わず婚姻が破綻したから離婚する、と言っているのです。

探偵の眼
事例のように、妻が離婚を望んでいないのにもかかわらず、別居から、ずるずると離婚に至ることが多いです。このような立場にいる妻にとって重要な部分なので法律の解説を引用します。「離婚の法律紛争」泉久雄編 ゆうひかく選書

回復の見込みのない婚姻の破綻
夫婦が長期間別居しており、その上、夫婦の一方が他の異性と同棲しているとすれば、その夫婦(少なくとも一方)は既に婚姻継続の意思を確定的に喪失しているとともに、夫婦としての共同生活の実態も存在しないといってよいでしょう。判例(最高裁大法廷・昭和62年9月2日判決)も「夫婦が婚姻の目的である共同生活を達成できなくなり、その回復の見込みがなくなった場合」は、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい事由」にあたり、夫婦のどちらからでも離婚の請求ができることとしました。いわゆる回復の見込みのない婚姻破綻を離婚原因として認めました
(中略)回復の見込みは将来の予測の問題ですから、確信をもって断言することは誰にもできないでしょう。(中略)
有責配偶者の離婚請求の場合には、妻が真に婚姻継続を欲していれば、有責配偶者さえ悔い改めれば、回復の見込みはあるし、婚姻継続意思が疑わしければ、回復の見込みは乏しくなります。別居期間が短ければ回復の見込みはあるし、相当に長ければ回復の見込みは乏しくなります。
すべて相対的な判断になり、事案により裁判官の主観により、統一性を欠くことになります。そして決め手となるのは、事実としての回復の見込みではなくて、有責配偶者に、婚姻関係回復の努力を要求すべき事情が、存在するかどうかという法的規範判断になります。

そこで、夫婦の一方が、自分の有責行為で婚姻を破綻させておきながら、それを理由に離婚を請求するというのは、原則として、正義・公平の観念、社会的倫理観に反することになるから、その離婚請求が信義則の原則に照らして容認されうるものでなければならないとしています
婚姻が回復の見込みがないまでに、破綻しているかという判断と、離婚請求が信義則に反しないかという判断は、相関しています。

探偵の眼 Ⅱ
裁判中に依頼者は、「この夫と関係修復はむり」と考えて、有責配偶者からの離婚に応じて高めの慰謝料と子どもの養育費を要求通り認めさせる作戦に代えました。
「このまま悪者にされてはたまらない。夫には女がいる」と、探偵事務所を訪れたのは正解でした。
「裁判中に、『あのパパはいなくてもいいょ』と、子どもたちの声に背中を押されて離婚を決めました。嘘ばかりついている夫の不貞を暴き、逆離婚状を叩きつけた感じで一矢を報いた」と笑顔が清々しいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright © 2015. 離婚、浮気調査の水戸興信所 All Rights Reserved.